■2001年8月25日土曜日は、
4時から老人保健施設を訪問し、障害者福祉施設の夏祭りに参加。
◆老人保健施設では相談員さんに案内してもらったが、次のような話であった。
「入居者は、半年から2年くらい入居している。痴呆性高齢者の入居者が6割以上だが、終のすみかではない。
特別養護老人ホームに申し込んでもらうようにしている。
長期になる場合には、他の老人保健施設と行ったり来たりしてもらうケースもある。でも、痴呆性高齢者には環境の変化が良くないので、本当はあまり施設を変わるのはよくないのだけれど」ということだった。
看護婦長さんも、「痴呆性高齢者の入居者は、自宅復帰は無理なので、最後まで面倒みられるようになればよい」と言っておられた。
◆実際、先週には東京で全国老人保健施設協議会の大会があり、増える痴呆性高齢者をどうするか。最後まで面倒を看るのか、否か、も一つの課題であった。
●私は、「老人保健施設が痴呆性高齢者にとって、特別養護老人ホームの待合室になっているのはおかしい」と思う。
痴呆性高齢者は、症状が一時的に老人保健施設でやわらぐことはあっても、治らないのだから、老人保健施設に望めば最後まで入居できるようにすべきだと思う。
ドイツの老人福祉のことわざにも、
「老いた木は植えかえるな」と、環境の変化を避けるべきだという言葉がある。
ただ、相談員さんは、「痴呆性高齢者が最後まで入居しつづけると、新しい待っている待機者が入居できない。その結果、待機者が増えると、痴呆性高齢者の長期入居者にも退去してもらうということになる」とのことであった。
●ちなみに、私の愛読紙「シルバー新報」8月17日号は、老人保健施設の特集記事があったが、そのアンケートによると、半年くらいの短期で退去する入居者が多い老人保健施設と、最後まで入居できる「入居期限なし」の老人保健施設の両方の方式が全国にある。
私は、痴呆性高齢者に関しては、老人保健施設も「終のすみか」にすべきだと思う。そのほうが、スタッフも働きがいがでるのではないか(一定期間を過ぎれば、また移ってしまう繰り返しよりも)。
この老人保健施設の玄関には、
「老人保健施設では身体拘束(ヒモでベッドや車いすにお年寄りを縛ったりすること)は行いません」というポスターが貼ってあった。感動した。
しかし、最近の調査では、老人保健施設で骨折事故が増えているという。そして、その原因の1つが、身体拘束を減らすることと関係があるのではないかと言われている。
その老人保健施設のスタッフは、
「身体拘束(抑制)をなくすには、スタッフの意識改革が必要。さらに、ハードや器具を改善すれば、身体拘束せずに済むケースもある。でも、今のギリギリのお金の中では、ハードや器具の改善ができない」と言った。
確かに、今年度の身体拘束ゼロ作戦の予算は全国で3400万円程度。身体拘束をなくすマニュアルや研修会の費用が中心だ。
この担当者が言うように、身体拘束をなくすためのハードや器具の改善にも予算をつけるべきではないか。
さらに、人員配置を増やす議論も避けては通れない。身体拘束をゼロにすることは現場では本当に大変な取り組みであると思う。
その現場の必死の取り組みを後押しできるように、私たちも国から後押しせねばならないと思う。
やまのい和則
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