2003年5月20日 |
決算行政監視委員会第一分科会 会議録 |
本日の会議に付した案件 午後五時三十分開議
休憩前に引き続き会議を開きます。 主査が所用のため、その指名により、私が主査の職務を行います。
それでは、本日、公務員制度改革の中の再就職承認、天下り問題、まさにこれは今国民から一番批判が多い部分であります。このことについて、私、今まで三回取り上げさせていただいておりますが、本日、四回目、取り上げさせてもらいたいと思います。 まず冒頭、石原大臣にお伺いしたいんですが、この公務員制度改革の法案ですが、今議論になっておりますが、今国会に出されるのでしょうか。
先日、先週だったと思うんですが、閣議の後に、この公務員制度改革を所管しております、法案提出は私でございますが、このほかILOの問題等々、結社の自由委員会の中間報告、勧告等々も出ておりますので、厚生労働大臣、また人事・恩給局がございます総務省の総務大臣、そして官房長官と私と集まらせていただきまして、現在、法制面の調整等々準備作業を進めてきて、当初の予定よりはおくれておりますけれども、今国会に国公法の改正等々の関連法案を提出すべく引き続いて努めていくということで一致をいたしたところでございます。
この公務員制度改革の中で最も批判が多いのが、天下りがふえるのではないか、いわゆる大臣承認制のところであります。 このことも今まで何度か石原大臣と議論をさせてもらいましたが、その後、報道を見ておりますと、大臣承認制が内閣承認制になったとか、いや、大臣承認制のままだとか、いろいろな報道があるわけですけれども、このことについて、いわゆる大臣承認制でいくのか、あるいは内閣承認制でいくのか、そのことを、石原大臣、明確に御答弁いただきたいと思います。
これは山井委員とも、もう何度も御議論をさせていただいたわけですけれども、行政事務の執行に関する国民に対する責任は一体どこにあるのか。第一義的には、間違いなくやはり大臣にあると私は思いますし、そこのところでは、皆さん方もやはり、長たる大臣に責任があると。しかし、大臣がそれだけ多くの天下り案件等々を見ることができるのか、あるいは、小泉内閣は大臣が今二年目に入らせていただいておりますけれども、仮に一年間しか大臣がいなければ、役所の側から上がってくることをうのみにすることしかできないんじゃないか、こういう御批判が、委員との議論の中でも、あるいは他の委員会等々でも出たと思います。 そういうものにどうこたえていくのかということで、内閣官房、内閣が持つ総合調整機能というものをどういうふうに具体化していくのかということで、委員の今の御質問の答えになってくるのではないかと思っております。 これは、我が党の中でも、あるいは与党の公明、保守新党の中でも、やはりこの公務員制度改革の法案を出すに当たっては、国公法の改正、これは能力等級制の導入でありますけれども、これと双璧の大きな課題が、今御議論をさせていただいております再就職の問題であると。 そこで、同じような意見が各党の部会等々でも出まして、それに対しまして、大臣承認制、一義的に責任を持つのは大臣であるけれども、これだけ与党の中、野党の皆さんから批判があるということは、やはりそこに抜け道があるのじゃないか、抜け道をつくるんじゃないかというおそれがある以上は、大臣承認制というものはそのままにしますけれども、先ほど来話しております内閣の総合調整機能というものをどういうふうにかませていくのか、二重、三重の規制というものはあるわけですが、それによって三重、四重になる、抜け道をつくらせない方法はどうあるべきかということで、議論を今深めております。 参考までに、自由民主党の方の議論の中では、大臣承認制のもとで、閣議了解を得た後に各大臣が承認する、あるいは、大臣承認制のもとで、官房長官主宰の審査検討会で基準適合性について審査した後各大臣が承認する、こういう二案が議論の俎上に上がって、今この有力な二案を中心に、法制的にしっかりとしたものをどうするか、法制局等と検討させていただいているのが現状でございます。
ある意味で長い答弁でありましたが、もう一度聞きますが、内閣承認制か大臣承認制か、二つに一つ、もう一度、明確にお答えください。
先ほど、冒頭申しましたように、やはり行政の一義的な責任というものは大臣が持つ、こういう考え方にはやはり間違いはないと思うんですね。 ですから、大臣承認制のもとで、しかし今、これまでも山井委員と議論をさせていただいた中で、あるいは他の与党の中からも同じような声が出ているということに真摯に耳を傾けまして、大臣承認制のもとで、内閣を、どういうふうに総合調整機能というものを発揮する仕組みをつくれるかという形で、三重、四重のバリアができるように、今法制的な詰めの作業をさせていただいているところでございます。
大臣承認制でいかれるということですが、問題は、今の閣議のように、各省が上げてきたものをそのまま承認するというような、そういう形でチェックをするのであれば全くチェックにならない。逆に、大臣承認制で、その後、内閣官房や内閣の中に第三者機関のようなものをつくったり、しっかりした基準をつくる、そういうふうなことにしていくわけなんでしょうか。そこのところを御答弁ください。
これはまた、しつこいようですけれども、我が党の議論の中で、やはり責任というものは一義的には担当大臣が負う。これは情報公開をもう既に始めておりますし、どれだけのものをどれだけの大臣が求めたのかということが明らかになるわけですから、これまでとはかなり違って、大臣に批判があるとしたならば、大臣の責任というものはより明確になる。 そこでもやはり、二重、三重にしているけれども、そうはいっても、大臣がかわったりしたら、すき間をついてまたふえるんじゃないかというような御批判等々、いろいろ批判が各委員会で出てきた。そういうものにどうこたえるのかということで、先ほど申しましたけれども、大臣に一義的な責任があるということは今度の公務員制度改革大綱の中で決めている話でありますから、これはやはり守っていかざるを得ない。 そんな中で、さっき言いましたけれども、閣議了解を得た後に各大臣が承認する、あるいは大臣承認制のもとで、官房長官主宰の審査検討会で、基準適合性について審査した後に各大臣が承認するといったような、三重目、四重目の案というものを議論させていただいたということもあるわけであります。この有力な二案を中心に、法制的にどういうふうに仕組むことができるのかということを、現在鋭意検討させていただいているというのが現状でございます。
今、内閣官房の中に審査会のようなものをつくってきっちりチェックしていくということなんですけれども、そこでまさに問題なんですが、今の話を聞いていると、今人事院がやっていることとそう変わらないように思うんですが、石原大臣、どう違ってくるわけですか。なぜ人事院だったらだめなんですか、その審査会が。
冒頭に申しましたように、営利企業への再就職については、今回の改革では、行政事務の執行に関する国民に対する責任は一体どこにあるのかというところがそもそもの論点であるわけで、それはやはり、行政の長は大臣でありますから、担当大臣が負うべきである、そこが基本なわけですね。 この基本をやっていく上で、しかし、そうはいっても、担当大臣がすぐかわったり、大臣が忙しい中でそんなところまで目が届くのかとか、さまざまな問題の指摘があったわけであります。それを、どういうふうに三重、四重にフォローしていくのかという議論をさせていただいているのであって、これまでの制度とは、抜本的に、大臣が一義的に責任をとるんだ、行政の長が責任をとるんだというところは大きく違うと御理解をいただきたいと思います。
やはりそこは、役人の方と大臣との関係というのは、どうしても密接になってしまいます。そういう意味で、お手盛りになりがちだというのが今の一番国民からの不信であります。そういう意味では、やはり私は独立した部署の方がいいんではないかと思うんです。 人事院の中島総裁、お越しくださっておりますが、今のようなことというのは、今の人事院ではできないんですか。やはり新しい組織をつくらないとだめなんでしょうか。総裁、いかがですか。
石原大臣の答弁を聞かせていただきました。一応理屈が通っているようで、実は非常に不安なところがございます。 それは、なぜかといいますと、行政責任というものを大臣が負っておる、もう少し具体的に言うと、請負契約について、あるいは許認可権について大臣が責任を負っておると。そのとおりでございまして、その大臣に天下りの最終的な決定をさせるというのは、癒着が生ずるということで皆さん心配をしておられるわけです。したがいまして、行政責任を負っておる大臣が天下りの審査権を持つということについては、国民の疑念というのはどうしてもぬぐい切れないというふうに私は思います。 それよりも、やはりその疑念が生じないシステムというものをつくっていかなければ、今度の行政改革というものは国民から支持されないだろうというふうに考えております。
ある意味で、ここはお二人に議論してもらう場ではないんですが、こういう意見もございましたので、石原大臣、今の御意見、いかがですか。 ○石原国務大臣 これは、冒頭申しましたように、今回の公務員制度改革で、行政庁の長たる大臣が、政治家がしっかりと責任をとっていこうということに今回の改革の原点があると御理解をいただきたいと思います。
そこで、二〇〇二年十月一日の新聞報道で、過去三年間に営利企業に再就職した課長補佐以下の国家公務員二千四百十八人の約四割が、勤務していた工事事務所や郵便局の事業受注先企業に天下りしている、こういうふうな問題が起こっているわけです。 これについては、やはり、今、人事院がタッチしていなくて、各官庁に委託をしてチェックをしている、承認を委託しているというのが私は問題だと思うんです。逆に、こういうふうな問題が大臣承認制にすると出てくるんではないでしょうか。このような現状を石原大臣はどう受けとめて、これからどう改善していこうと考えておられるんでしょうか。 ○石原国務大臣 委員御指摘の記事は多分、平成十四年の十月の「天下り四割は受注企業」というこの記事を念頭にお話をされているんだと思うんですけれども、営利企業への再就職承認に関しましては、各府省が委任に基づき承認を行った件数というものがこの新聞に示されている七百二十五件であったということが、この記事には書いてあるわけであります。このうち、人事院の直接承認ですか、幹部の方だと思うんですけれども、そういうものが五十九件であったという記事の内容だと思っております。 考えてみると、いわゆる天下り問題というのは何が問題なのかというと、その人がこれまで培ってきた各府省でのキャリアによって、権限あるいは予算というものを背景にして、仕事をとりまっせというようなことで押しつける、こういうものが非常に大きな問題があるということが、この問題の私はスタートであったのではないかと。そして、国民の皆さん方が、これだけ民間企業が苦しい中で、リストラをしている中で、それだけのことで押しつけられるのはどうかと。 もちろん、公務員の中で、公務員の皆さん方の職業選択の自由を奪うということはできないわけですから、優秀な方がいて、ぜひ来てくれといって企業が採っているという話も伺っていますけれども、やはり、こういう押しつけ型のものについては、あるいは、先輩、後輩がこの人事制度の中でしっかりとできていますから、後輩に対して電話一本言うと、過去の人間関係から、不正とは申しませんけれども、断り切れない、こんなケースも報道されていることもありますけれども、こういうものに実は批判が強いんじゃないかと私は思っております。 ですから、こういう押しつけ型の再就職というものは、絶対にこれから認めていってはいけませんし、大臣承認制のもとで明確な基準というものを内閣がつくり、統一的で、そして客観的な運用というものが確保されるように、制度の透明化を図ることによって、情報公開が最大のツールになると思いますけれども、こういう批判に対してこたえていく体制をつくっていくという形で努力をさせていただいております。
でも、実際そういうきっちりした承認基準がつくれないから、こういうふうに再就職の四割が受注企業に行っているわけですよね。ここをどうしていくのかということが、やはり現時点ですらできていないわけであります。 中島総裁にお伺いしますが、私は、今回のように大臣承認制にすれば、この新聞記事にありますように、やはり、こういうお手盛りというか天下りが非常にふえてしまう、そういう危機感を持っているんですが、総裁、いかがでしょうか。
現在、一年間に公務員で民間企業に天下りしておる人間というのは、年によって少し変動はありますけれども、大体八百人前後でございます。 そこで、その八百人の天下りを審査するというときに、幾ら審査基準を詳細にかつ厳格につくってみても、八百人の天下りの人間というものが、きちっとその審査の基準に適応して可否というものが判断できるというのは、なかなかこれはできない。どうしてもそこに裁量というものが入るということでございます。その裁量というものが、ともすれば癒着の原因になるというふうに世の中で言っておるわけでございますから、そのことを防止しなきゃならない。 私は、各大臣は一生懸命なさると思います。しかし、やはり人間でございますから、時たま誤ったことが起こる。その誤ったことというものによって、公務員の天下りに対する国民の批判が厳しく出てきておる。この現実というのは、やはりしっかり受けとめなきゃならないというふうに考えております。
やはり私は、これは独立性というものをきっちり担保しないと、お手盛りの承認になってしまうというふうに強い危機感を持っております。 先ほど、石原大臣は、そういう承認基準をきっちり厳しくするということでありました。実は、過去の議事録を見てみると、過去二年間ぐらいずっと、厳しい承認基準にする、その承認基準も公表していくということを言い続けておられるわけですけれども、冒頭の石原大臣のお話によりますと、今国会にも、そろそろ公務員制度改革を出そうかというときであります。ということは、その厳しい、自信のある承認基準というのは、もうできているんでしょうか。
現在鋭意つくらせていただいておりまして、法案審議の際には、この承認基準というものが一つの大きなポイントでございますので、基本的な考え方について、山井委員にも、このような場を通じまして議論をさせていただければ幸いと存ずる次第でございます。
まさに今の点なんですが、やはりこの議論の一番の核になると思うんですね。どれだけ厳しい承認基準にするのか。そういう意味では、法案に先立って、この厳しい基準というのを、これだけ国民の方々から大臣承認制というのはお手盛りになるんじゃないかと、国民の方、マスコミの方々からも、ある意味で最も危機感が募っている部分であります。 その部分については、法案の前にしっかりと出して、パブリックコメントでもやっていく。やはり、石原大臣のそれだけの強い自信と決意があるんだったら、そういうふうにすべきじゃないかと私は思います。石原大臣、いかがですか。
これは、国会という場は立法府でございます。法案を審議し、法律をつくっていく、その過程の中で、十分に時間をとっていただいて、この承認基準はポイントでございますので、深い議論をさせていただきたいと考えております。
国会で深い議論をするということですね。ということは、これはやはり、天下りの承認基準というのは、政令ではなくて、国会でしっかり議論するんでしたら、法律に書き込む、それで国会でしっかりと議論するというのが、今の石原大臣の答弁の趣旨にも合っていると思います。
各役所あるいは行政というものの時代の変化ということがございますので、すべてを法律に書き込むということは私はできないと思いますけれども、基本的な事項は、委員御指摘のとおり、法律に定めるということが望ましい姿だと確信しております。
その基本的な考え方だけでは、やはりどういうものかはわからないわけですね。そこをなぜ法律に書き込めないんですか。それほど重要なポイントだということをわかっておられるならば、そして、国会でしっかりと議論をするということを石原大臣おっしゃるならば、やはりそれは法律に書き込むべきではないでしょうか。やはり、そこを何か隠し立てしているから、国民から見ても、何かお手盛りになるのではないかという不信感がぬぐえないんじゃないですか。 この議論、ずっと二年間国会でも行われているわけなんですけれども、なぜ法律の中に書き込めないのか、明確に御答弁ください。
これはかなり私も踏み込んで実は答弁をさせていただいているんですけれども、国家公務員の営利企業への再就職の承認基準というものは、どう取り扱うということは、一昨年、公務員制度改革大綱において、「内閣の責任において、政府全体の行政の公正な運営等を確保するため、再就職の承認基準については政令で定めることとする。」と閣議決定をしているわけであります。 しかしながら、この議論の中でさまざまな問題が露呈してきて、できる限りのものは法律に書いていこうと今御答弁をさせていただいたところでございます。
そこをきっちりと、できる限りと言わずに、法律に書いていくという方向でぜひとも検討いただきたいと思います。 そしてもう一点、民間企業への天下りも問題ですけれども、特殊法人や公益法人への天下りこそ、人数も多く、ますます大きな問題になってきております。これからは、民間企業への再就職のみならず、このような特殊法人や公益法人への再就職も一元的に規制すべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
この天下りの問題というのは、冒頭お話をさせていただきましたように、公務員の方々を公務員の世界だけに閉じ込めるということを行えば天下りはないんですね。しかし、公務員の皆さんといえども職業選択の自由がある。 そんな中で、六十歳が定年でございますけれども、さまざまな組織、今回小泉内閣になりまして、早期勧奨退職、今平均で五十四歳ですけれども、これも昨年から、平成二十年までに三歳上げて五十七歳にするということを決めて、もう現に動いております。あと三年退職年数が、もう一回同じ試みを行えば六十歳まで働くわけです。 では、六十歳の後も一切、公務に従事した方々は、特殊法人はなくなります、独立行政法人あるいは公益法人、民間事業会社、ここに勤めちゃいけないんだということを決めれば、では六十五歳の年金までの間は国で新たな恩給でも出してやろう、そういうことをすれば全部なくなりますけれども、やはり、先ほども申しましたように、民間企業の中でも、こういう優秀な方がいて、こういう方に来てもらいたいということで、現に、公務の世界をやめて今民間の部門にトラバーユしている方々というものは非常に多いわけであります。 これまでは、どちらかというと官と民は交流はままならぬ、やはり官は官、民は民と言いましたけれども、時代の変化で、これからはもっと官民の交流というものは深めていこうというのが、大きな変化としてあるんだと私は思うんですね。 ですから、山井委員の言うように、全部、民間企業への天下りだけじゃなくて、公益法人あるいは独立行政法人等々へももう行っちゃいけないんだ、規制するんだというのは、これは一つの考えではありますけれども、現実に即した考えでは私はないと思っております。 それよりも、さっきから言っているように、押しつけ型、あるいは権威をかさに着る、あるいは後輩を人間関係で縛るといったようなことがあってはならないし、安易な受け皿になっちゃいけない。小泉内閣になりまして、これまでは公表されていなかったのに、一体どれだけどこの役職に最終的にいてどこの企業に行ったかということも公表しているわけですね。そこに、公表するということの抑止によって、今言ったような不正というもの、押しつけるとか、後輩にいろいろ働きかけるということが十分にこれまでよりは抑止できているのではないかと考えております。 それともう一つ、国民の皆さん方の大きな批判は、わたりというものに代表されますように、二年、三年やってぽんぽんぽんと退職金を何回ももらう、そういうことは厳に戒めるという形で整備をさせていただいておりますし、さらに、一般民間企業と比べても、退職金給与が高いんじゃないか、こういうものも十分な是正を図っているわけでございます。
まさにそういう石原大臣がおっしゃっているような危惧がこの大臣承認制でますます大きくなっていく、そういうことを国民の多くは心配しているわけです。この問題については、これからもまた私も質問をさせていただきたいと思います。 では、引き続き、もう一個別の課題を農林水産省さんに質問させていただきます。 茶業については、近年、ペットボトルのお茶の飲料など、新たな需要の増加を背景とした低価格のお茶の需要の増加に対して茶葉の輸入量が増加する中で、国際競争力を強化することが重要な課題となっておるわけであります。 こんな中で、例えば産地表示の問題、静岡茶、宇治茶、ブランドの問題、そういうブランド志向の中で、これからは雇用の確保、過疎の解消、環境保全、日本の伝統産業を守る、そういうふうなことで、もっと産地でお茶をつくっていこうという機運が高まっている地域も多いわけですけれども、こういう産地表示に伴う生産拡大ということについて、茶業の振興、もっとやはり産地でつくっていけるように振興していくべきだと考えますが、いかがでしょうか。
お茶につきましては、先生御案内のように、鎌倉時代以降長い歴史を持っておりまして、議員地元の宇治茶、これはまろやかという形で特徴がありまして、またマイルドな静岡茶とか、香りの狭山茶とか、そういう形で各地域に有名な産地が形成されるなど、地域の重要な基幹作物というふうに私ども認識しております。 また近年、お茶の効能ですか、従来のミネラルとかビタミンという以外にも、例えばコレステロールを下げる作用を持っているカテキンを含むとか、そういうことがさまざまマスコミ等に取り上げられまして、消費者も高い関心を持たれているところであります。 農林水産省としましても、従来から、産地の方々に、高品質なお茶の生産に対する取り組み、すなわち、生産をどのように省力化していくか、また栽培加工技術を高度化しまして品質を向上させる、さらに、年間を通じて安定的な生産をするということにつきまして支援を行ってきておりまして、今後ともお茶の振興に努めてまいりたいというふうに考えております。
もうちょっと具体的にお伺いをしたいんですが、輸入の茶葉との競合やお茶の農家の減少ということもあるわけで、これからは国際競争力を高める上で大規模、効率化をしないと生き残っていけないというのがあります。 お茶も、新たな土地でやるとなると、実際収穫できるのに五年かかると言われております。そういう意味では、やはり国からの補助というものも、こういう過疎地域あるいは産地での茶業の振興というのは、非常に雇用確保にもなりますし、環境保全にもなるし、日本の伝統産業を守るということにもなっていくわけです。 そういう意味で、これから、そういう効率化という面も含めて、集団茶園や大規模茶園への支援ということをどのように考えておられるでしょうか。 ○坂野政府参考人 お茶の振興につきましては、先ほど議員御指摘のように、嗜好がかなり多様化しているとか、また輸入品との差別化という課題に対処するために、それらの地域の気候風土、特徴を生かした産地形成とか、それからもう一つ、お茶は極めて労働集約的であります。例えば、十アール当たり、平均すると百二十時間ほどかかります。さらに、特に茶を摘む作業、これはそのうちで四割程度かかる。非常に労働集約的であります。そういった意味で、集団化とか大規模化とか流通の合理化というのは、労働負担の軽減にとって極めて重要であるというふうに認識しております。 そういうことに対処するため、十五年度の予算におきましても、高品質な品種を含む茶園の改植、植えかえですね、いいものに植えかえるとか、それから、先ほど言いましたように、非常に手間がかかりますから、そのための摘む機械、それとあわせてまた防除もできるというような複合管理機というのがございます、そういうものの導入。それから、産地で荒茶加工をする施設の整備。それから、お茶の産地で、大きな防霜ファンがありますから、ああいったような霜よけの施設の整備。さらには、先ほど言いました、近年、血圧を降下するような作用のあるギャバロン茶、こういうような機能性に着目したお茶もあります。そういうふうな製品の開発、こういうことにつきましても支援を行うこととしているところであります。 ○山井分科員 最後に一つお伺いします。
結構でございます。
時間が来ましたので、これで終わります。ありがとうございました。
これにて山井和則君の質疑は終了いたしました。 |