2002年12月11日 |
厚生労働委員会 会議録 |
一般質疑 |
○山井委員
坂口大臣におかれましては、一日一般質疑、本当にありがとうございます。最後になりますが、五時八分ぐらいまでの間、また四十五分、主に坂口大臣になりますが、どうかよろしくお願いいたします。 そして、きょうは資料を配付させていただきましたので、この資料、七ページ、見ていただきたい。 もう一つ、冒頭に、先ほど金田議員、中川議員の質問にもありましたが、民主党としてもう重ねて、在外被爆者の認定をめぐる今回の裁判で、郭さんが十二月五日に大阪高裁で全面勝訴となりました。「被爆者はどこにいても被爆者」ということでありますから、控訴は絶対にしないでいただきたい、このことを民主党としても改めてお願い申し上げたいと思います。 きょうは医療中心の一般質疑ですが、冒頭に少し、支援費制度についての質問をさせていただきます。余りにも地域でのサービスがおくれているからであります。 まず一問目、坂口大臣にお伺いします。 これは、前回もお見せしたグラフでありますけれども、諸外国に比べると、知的障害者の入所者数というのが、日本は施設に入っている方が非常に多いわけですね。それで、欧米ではもう脱施設ということで地域で生活をされているのに、その中で日本だけが施設に入る人が年々ふえているということであります。そういう意味では、これから策定される新障害者プランの中で在宅重視ということをどうやって打ち出していくのか。その大臣の決意をお伺いしたいと思います。 ○坂口国務大臣 山井議員にはいつもたくさんの質問をしていただいて、感謝をすべきか、恨みを持たれているのか、いつも戸惑うわけでございますが、きょうもまたたくさんの御質問をいただいて、まず感謝を申し上げておきたいと思います。 障害者プランの問題は、先般、法務委員会で議論をされました精神障害者の問題も同じでございまして、やはり地域で、そしてまた家庭でどう皆さん方を受け取っていくか、あるいはそこで生活をしていただくようにしていくかということが今問われているというふうに思います。 したがって、一つは、お父さん、お母さんがおみえにならない方もおみえでございましょうから、そうした皆さん方に対する施設というものもつくらなければなりません。そして、病気を持ちながら、しかし障害もある、障害と他の病気と合併しておみえになる方もおありでございまして、そういう皆さん方には医療と福祉が同じになったようなところを用意しなきゃならない。あるいは、もう御家庭で生活をしていただきますときに、相談をする人たちをどうするかといった問題もある。精神障害者の問題と同じように、この障害者全般にわたりましても同様のことが言えるのではないかというふうに思っております。 精神障害者の問題につきましては、一気にこの際に前進をさせようというふうに思っておりますし、山井議員から社会的入院ゼロ作戦という名前までつけていただいたわけでございますので、一生懸命そこはやりたいというふうに思っておりますが、この全体の障害者の問題もあわせてこれは前進をさせなければなりません。特に来年は、この障害者プラン、基本計画なるものをつくり上げる年になるわけでございますから、これを一つの機会として、ひとつ、地域でその皆さん方をお受けできる体制をどうつくるか、これは大変大きな問題でございますし、またお金もかなりかかる話だというふうに思っております。 厚生労働省だけの考え方で済むことではございませんので、他の省庁とも十分話をしていかなければなりませんが、必要なものは必要だということで、できる限り早くその体制をつくり上げたいと思っているところでございます。 ○山井委員 大臣、精神障害者についてこれからどんどん地域で暮らしてもらえるように一気に進めていく、まさにそのような思いでこの知的障害の方々についても施策をぜひとも進めていただきたいと思います。 それで、予算の関係もあるということですが、例えば、このグラフを見てみても、たくさん施設に入っているのと地域に暮らしているのとどちらが予算がかかるかというと、実は地域に暮らされた方が高くはつかないわけなんですね。そういう意味で、必ずしも在宅はお金がかかるという見方はしていただきたくないと思います。当初はそれは投資にお金がかかるかもしれませんが。 そして、このことに関して、まさに多くの方々が、この支援費制度導入をきっかけにして、地域で知的障害の方々が暮らせるようにしてほしいという山のような要望が来ております。恐らく私だけじゃなくて国会議員すべての皆さんに来ていると思います。大臣のところにも行っていると思います。 この二枚目に、そのことを書いた朝日新聞の記事が、「知的障害者「脱施設」へ 生活の足場、地域に」と出ております。 三ページ目は「入所施設の利用者負担分を地域生活のために回してください」という要望でありまして、これは多くの知的障害関係の団体の方々、また五十五名の研究者の方々からも緊急アピールが出ております。 ごく簡単に要約して読みますと、「二〇〇三年度から実施される支援費制度では、知的障害の入所施設での日常生活品費が支援費の中に入っているという解釈がなされ、必要経費とはならず、利用者の自己負担が一人あたり約二万円上がります。その結果、国レベルで百億円近くの新たな財源が生まれると言われています。この資金を障害者の地域生活のために回してください。」と。 続きはぜひ読んでいただきたいんですけれども、このような要望、厚生労働省にも行っていると思いますが、このことについて厚生労働省のお考え、お聞かせ願いたいと思います。 ○坂口国務大臣 この支援費制度につきましては、多くの皆さん方から御意見をちょうだいしているところでございます。 利用者本人の前年の収入から必要経費だとか、そうしたことの問題等も正直なところあるわけでございますが、いずれにいたしましても、この障害者の皆さん方が地域でより健全な生活を送っていただけるようにするためにはどうするか、そして、一般障害者の場合にはやはり雇用の問題もあわせて考えていかなければなりませんので、地域の企業に対するお願い等も含めて、これはトータルでひとつ前進をさせなければいけないと思っているところでございます。 単なる福祉という形ではなくて、多くの皆さん方に、自分たちは福祉として支援をしてもらっているんではないんだ、自分たちはもうちゃんと生活ができるんだというふうに思っていただけるようにしなければならないというふうに思っております。 ○山井委員 また続けて大臣にお伺いしたいんですが、この九月、大臣が続投されるかどうかというときに、ぜひとも続投をお願いしたいということを小泉首相にも言ったのを私は覚えておりますけれども、その一つの理由は、ハンセン病のことに象徴されるように、本当に人権感覚を持たれた坂口大臣、やはり精神障害者の問題また知的障害者の問題、そういう地域で暮らせる社会づくりのためにやはり坂口大臣が二期続けられた中で、あのときが一つのきっかけで、入院中心あるいは施設中心の医療福祉から地域に大きく変わったなと言ってもらえる大きな仕事をぜひとも坂口大臣にしていただきたいと思います。 このことに関連して、午前中まさに公明党の福島議員からも質問ありましたように、そういう大臣の思いとは現実は大きくかけ離れておりまして、四ページにございますように、きょうされんが調べたところによりますと、支援費制度がスタートするにもかかわらず、この四ページの毎日新聞の記事ですね、「施設・事業体一つもない」というのが約一五%なんですね。ホームヘルプがない市町村が二〇%、デイサービスは八七%、ショートステイがないところは六一%、グループホーム七三%。 私、こういう現状とこの支援費制度のパンフレットを見て、その差に愕然としたんです。どう書いてあるか。大臣、この支援費制度のパンフレットには、「支援費制度では、サービス利用者は都道府県知事等が指定した複数のサービス提供事業者・施設の中から自ら選択してサービスを受けることができます。」 みずから選択してサービスを受け、みずから選択して施設か在宅か選べるというのが支援費制度の理念なのに、実際にはサービスが全然ないわけですね。(発言する者あり)選びようがない。このことについて、もう来年四月に支援費制度、スタートするわけですから、絵にかいたもちになっては困るわけですから、大臣、いかがですか。 ○坂口国務大臣 褒めてもらうと必ず悪いことがあるわけでございまして、後はだんだん厳しくなるわけでございますが、これはもう病院も施設も同じでございますけれども、医療費の問題等をやりますと、そうすると幾ら保険料を出しても、それを受ける病院もないところが存在するではないか、無医村はどうするんだというお話になるわけであります。これも同じことだというふうに思いますが、施設もないのに選択のしようがないではないかというお話だろうというふうに思います。 したがいまして、これも、小さな町村もありますからその小さな町村に全部つくるというのもこれはいささか大変だというふうに思いますけれども、ある程度やはり一つの、医療でも一次圏とか二次圏とかいろいろつくっておりますが、そうした一つの地域ごとに必ず一つはできるといったようなことにしていかないと、一つができたのでは選択できないわけで、幾つかできるということにしていかないとこれはいけないんだろうというふうに思っています。 そうした計画的な対応というものがこれから要求されるというふうに自覚している次第でございます。 ○山井委員 大臣、その財源の厳しさはもちろんわかるんですけれども、私が言っているのは、パンフレットにはもう書いてあるということなんですね。「自ら選択してサービスを受けることができます。」と。だから、そこはやはり、一回こうやってパンフレットに書いて配ったことは実行してもらわないと困るわけで、例えば、私も地元で障害者の方々との勉強会でこのパンフレットをもとに説明しているんですから。ところが、山井議員の言うたことは全部うそか、全然サービスないじゃないかというようにならないようにしてほしいと思います。 では、そのために何が問題かというと、要は、一つには、私は単価の問題だと思うんですね。単価が低いからなかなかサービス事業所が手を挙げないというふうに思っております。 そこで、具体的に、大臣、一つお話ししたいんですけれども、例えば、家事援助は千五百三十円なんです、一時間、ホームヘルプで。家事援助千五百三十円です。これはどこからとってきたかというと、介護保険の家事援助が千五百三十円だったんですね。それと横並びでこの支援費の障害者福祉のホームヘルプサービスも千五百三十円なんですけれども、大臣御存じのように、今回その千五百三十円じゃ介護保険の方は成り立たないということで値上げを決められたわけですね。おとついの厚生労働省の分科会で。 片や介護の部分では、一時間千五百三十円では安過ぎるから成り立たないといって値上げすると厚生労働省が決めた。ところが、支援費の方では、その古いままの金額でやっていたらそれは赤字というのは介護保険の経営実態調査でもう結果が出ているわけですから、やる事業所が少ないのは当然だと思うんですね。やはり、その辺、単価を上げる必要があると思うんですが、大臣、いかがでしょうか。 ○坂口国務大臣 介護保険とそれから障害者施設の場合と、これは同じにしますから。 ○山井委員 そこで言っているでしょう。一緒だったんですけれども、介護保険の方は一時間千五百三十円の単価では安過ぎて多くの事業所が赤字になっているということが厚生労働省の実態調査でわかったわけです。それで今度、来年四月から引き上げるとなったわけです。となると、支援費の方も一緒に引き上げないと、介護の方は引き上げるとなって支援費の方は据え置かれたままでは成り立たないと思います。いかがですか。 ○坂口国務大臣 ですから、一緒にしますということを言っているわけでございます。 ○山井委員 ありがとうございます。介護サービスの方でもう採算がとれないとわかったのを、支援費でも同じようにするということがないようにぜひともしていただきたいと思います。 そこでもう一つ。やはり、これはなぜ採算がとれないかというと、高齢者に比べて障害者のサービスの利用者は約十分の一なわけですから、どうしても、デイサービスにしてもホームヘルプにしても広域化をするわけですね。デイサービスも遠くまで行かないとだめだ。送迎のお金と時間がかかる。ホームヘルパーさんも遠くの人が来る。 そうしたら、移動時間もかかるということで、やはりこういう広域化ということを考えながら、私は、やはりそういう意味では、近所にたくさんお年寄りがいるというケースよりも、介護保険よりも障害者の支援費の方が、この単価を、実は私は、やはりアップしないと常識的には成り立たない、広域化して、障害者の数は少ないわけですから。その点について、大臣、いかが思われますか。 ○坂口国務大臣 済みません、もう一遍ちょっと言ってくれませんか。 ○山井委員 かみ砕いて申しますと、介護保険のサービスを利用している高齢者に比べて、この支援費を利用する対象者というのは十分の一ぐらいなんですね。ということは、デイサービスも障害者を受け入れてくれる施設は少ないし、ホームヘルパーさんも、障害者が利用できるホームヘルパーさんは少ない。そうしたら、移動距離がホームヘルパーさんも長くなる、デイサービスも遠くになる。そうしたら、ある意味で非効率になりますよね。 ということは、同じレベルで考えたら、介護保険の単価よりも、デイサービスにしろホームヘルプにしろ、支援費の障害者の方が割高になるから、単価、ちょっと高くしないとだめなんじゃないか、そういう質問なんです。 ○坂口国務大臣 介護の方もそれは地域によって差がつけてあるというふうに思いますから、そういう差があります場合には差がつくようにひとつ検討します。 ○山井委員 これは、それこそ公明党の福島議員も先ほど、かねてから要望されていた支援費制度のことですので、どうかよろしくお願いいたします。 では、次に、それとともに、地域で暮らすためには小規模作業所がますます必要であるんですけれども、これに対する支援がやはり非常に少ない。やはり昨年から生まれた小規模通所授産施設も、年間一千百万円という公費では小規模作業所問題の解決にはほど遠いわけですけれども、小規模作業所並びに小規模通所授産施設に対する補助金制度を、現行の通所授産施設に出している公費と同水準にやはり引き上げるべきではないか。このような小規模共同作業所への支援について、いかがでしょうか。 ○木村副大臣 御質問の、いわゆる小規模作業所は、親の会とか地域の全くのボランティアとか、そういう方々の自主的な活動として展開をされているんですね。障害者の方々にとって非常に身近な活動の場として重要な役割を果たしているということは、これはもう私どものよく認識をしているところでございます。 こうした作業所は、法律上の施設や事業ではなくて、地域に根差して運営をされているものでありますので、地方単独事業の活用や関係民間団体への助成を通じてその振興を現在図っているところでございます。 さらに、より安定した経営を確保するために、社会福祉法人の設立要件を緩和することにより、平成十三年度より、法定施設である小規模通所授産施設への移行を進めているところでございます。これは、人数をぐっと減らしまして、より一層設立をしやすくしたわけであります。 小規模作業所については、今後ともこうした取り組みを進めることにより、その特性に十分に配慮し、規制や助成という政策手段を用いるよりも、むしろ、そのよさを失うことのないような対応をしていく必要があると認識しています。 つまり、余り予算をつけるということは、助成をするということは、逆にいろいろな規制も伴うわけでありまして、自由にやれる、さっき言ったように、親の会やボランティアが自由にやれるというのも、またそれこそ認可をもらったりなんかすると、今度はがちがちになって、はしの上げ下げまで言われるので、そういうことがない施設があってもいいのではないか。そういう観点も含めまして、できることはしていきたいな、このように思っております。 ○山井委員 余りにもその格差が大き過ぎるわけですから、ぜひともそれは是正をしてもらいたいと思います。 次に、医療のことに移りますが、この五ページにありますカルテ開示の問題であります。 これは坂口大臣に、六月ころに質問で何度か取り上げさせていただきまして、中川議員や私の質問をもとに坂口大臣が、七月の五日に第一回の診療に関する情報提供等の在り方に関する検討会、いわゆるカルテ開示に関する検討会を開いていただいたわけですね。 最近、東京女子医大の問題でも、医療事故でカルテの改ざんが行われた。また、やはり医療というのは、そもそも患者を中心に、医師と患者との共同作業で行われるべきものであって、そのためには、やはり情報公開、また、インフォームド・コンセントを定着させる基本となるのはカルテの開示である、そういうことで、私たち民主党も、患者の権利法を前国会で提出したところであります。 そこで、七月五日に一回開かれたきりなんですけれども、大臣、カルテ開示について、検討状況はどうなっていますでしょうか。 ○木村副大臣 診療に関する情報提供等の在り方に関する検討会は、議員お話しのように、第一回が七月の五日に開催をされたところでございます。第二回目を十二月の二十六日に開催をいたします。 この間、この検討会の今後の議論に大きな影響を与える個人情報保護法案の審議の推移を見守ったり、地方自治体における診療録の開示の状況など、前回の検討会において事務局に求められた事項について調査を行ってまいりました。 検討会では、今後、医療現場等の専門家の御意見を伺うとともに、診療情報の提供のあり方について精力的な御議論をお願いしてまいりたいと考えているところでございます。 ○山井委員 坂口大臣にお伺いしますが、この検討会については、私の資料の五ページにもありますように、日経新聞の調査でも、カルテ開示を八六%が希望していると。八六%が希望しているけれども、カルテ開示を求めた人は七%であって、その理由は頼みにくいということですね。 その次に、どれぐらいカルテの診療情報の提供がされたかというのが六ページ。 それで、七ページに、そもそもこの問題は、平成十一年の七月一日の医療審議会の中間報告で、真ん中のあたりに、「患者が診療記録の開示を求めた場合には、原則として診療記録そのものを示していくことが必要である。」ということが書いてあります。その次に「当面の取組み」、「医療従事者の側の自主的な取組みが不可欠」である、一番下、「三年を目途に環境整備を推進する」ということになっております。 つまり、わかりやすく言えば、このとき法制化の議論がされておったわけですけれども、現場の方から、ちょっと待ってくれ、法制化されなくても、自主的にガイドラインをつくって開示するから待ってくれ、三年間で環境整備をするからということであったわけです。 ですから、今回の検討会では、この三年間で自主的に開示が十分に進んでいるかどうかということが検討されることになるわけですけれども、大臣、そのように、法制化じゃなくて自主的にやってカルテは十分に開示されているんでしょうか。その現状はいかがですか。 ○坂口国務大臣 これは、できることならば、自主的に開示されるようになるのが私は望ましいというふうに思っています。 一つの流れができますと、私は一挙に進むんだというふうに思っておりますから、ここは、検討会も重ねまして、そして、早くそうした議論を終結して、そして現場の皆さん方にできるだけ早く開示をしていただけるような体制になっていけばというふうに希望いたしております。 それで、どうしても進まないということになれば次のことを考えなければいけないというふうに思いますけれども、できることならば、自主的にやっていただくということが私は望ましいというふうに思っています。 この検討会も、これは少しおくれて申しわけないんですが、皆さんから、これも検討しろ、あれも検討せい、たくさん言っていただいて、私も安受け合いしたものですから、三十九できたんですよ、検討会が三十九。それで、これはなかなかこなすのが大変になってきて、事務局は、大臣、幾つ引き受けてくれるんだと文句を言っているわけでございますが。 そんなこともございまして、たくさん引き受け過ぎたということもあって、全部進めていくのが少しおくれたりもいたしておりますけれども、精力的に今後やらせていただきたいと思っております。 ○山井委員 問題は、三年間、自主的にやってきて、カルテが十分に開示されているかということなんですけれども、それは六ページを見ていただけますでしょうか。 ここに、平成十二年度の調査報告書の中で、例えば、患者本人によるカルテ閲覧の請求に対しても、原則的に開示、提供しているのは三五・七%しかないわけですね。そして、その次の下の表七、医療者側への不信感を伴った開示請求ということに関しては、本人から開示請求があったら、原則的に開示は二七・六%。また、訴訟が推測される場合というのは一七・一%ですね。 おまけに、大臣、私がびっくりしたのは、この調査の回答率が二九・四%、三〇%もいっていないんです。逆に、熱心なところがこれに当然回答していると思うんです。 ということは、これ、やってみても、自主的には進んでいない。例えば、医療者側に不信感を伴った場合には開示しなくていいというのは、おかしくないですか。大臣、このような現状をいかが思われますか、坂口大臣。 ○坂口国務大臣 いろいろのそういう状況がありますから、自主的にやっていただくように、これは今進めているわけでありまして、自主的に今後進んでいきますように努力したいと思います。 ○山井委員 いや、まさにそこなんですけれども、こういうデータを見ていると、自主的にはなかなか進んでいない。私の知り合いでも、カルテの開示を請求したけれども拒否されたという例を幾つも聞いているわけですね。病院やお医者さんにとって都合が悪いときには拒否するというのでは、やはりそれではだめなわけであって、それだったら、やはり法制化が必要なのではないかということになってくるんです。 大臣、このような調査というのは、三年後の見直しで、六月の答弁では、今年度末、来年の三月末にはカルテ開示の法制化についてまた一定の結論を出すということなんですけれども、そういう自主的にきっちりカルテ開示が進んでいるかというちゃんとした調査というのは、そもそもできているんですか。いかがですか、坂口大臣。 ○坂口国務大臣 今、委員がお配りになりましたのは十二年度の調査だそうでございまして、十三年度の調査というのも今集計しつつあるそうでございますから、それはまたごらんをいただいて、また御質問いただいたらと思います。 ○山井委員 ちょっと念のために確認しますが、それはいつ明らかになりますか。三月末までにもう答えを出すと言っているんですから。 ○坂口国務大臣 済みません。私、ちょっと間違えました。十三年度のはもう既に出ておるんだそうです。十四年度のを今やっている、こういうことだそうです。(山井委員「それはいつ出るんですか」と呼ぶ)ですから、来年の三月までにはちゃんとできるんだろうと思います。 ○山井委員 ちょっと多分今の答弁は違うと思う。もう一回どうぞ。 ○坂口国務大臣 十三年度のがこの十月ごろに出たんだそうでございます。そうしますと、大体十四年度のも、急ぎますけれども、それ以上のことは、お聞きいただいた中から大体おわかりいただけると思うんです。 ○山井委員 ということは、その十三年度の結果、まだ私は見せてもらっていないですけれども、見せてもらいますが、それで十分に自主的に開示がやはり進んでいないということになったら、これはやはり法制化が必要だということになりますか。大臣、いかがですか。 ○坂口国務大臣 ちょっと私もまだ見ておりませんので何とも申せませんが、その状況も踏まえて、そして、でき得る限り自主的にやれるようなことを考えていきたいというふうに思います。 ○山井委員 これは坂口大臣と通常国会でも議論したことなんですけれども、そもそもなぜ開示できないのかということなんです。 私、よく覚えておりますけれども、当時、坂口大臣は、いや、がんのケースもあるとか、精神病のことがカルテに書いてあるケースもある、それで患者本人のためだということを答弁でおっしゃったんですけれども、開示しないケースというのはそれだけですか。本人にとって告知の問題で不都合なケースだけですか。病院やお医者さんにとって都合が悪いというので開示しないというケースはないですか。大臣、いかがですか。 ○坂口国務大臣 それは、個別的なケースはさまざま考えられますから、個別的なケース、どういうふうなのがあるかということを私もここでなかなか言うことはできませんけれども、トータルで見て、そして、これは進んだ、やはりその流れができたというふうに言われるようにしないといけないというふうに思っております。 したがいまして、先ほどの表を御指摘いただいたように、やはり本人がこれは公開をしてほしいというふうに言われたらそれは公開になるといったような、そういう流れができるということが大事でありまして、そういうふうになるように努力をしたいということを申し上げているわけであります。 ○山井委員 ここは非常に重要なところなんで改めて聞きたいんですけれども、本人にとって不利益があるから開示しないという話と、病院やお医者さんが開示したら都合が悪いというのとでは百八十度違うわけなんですね。それで、先ほど言いましたように、六ページの資料にありますように、例えば、医療者側に不信感を持った患者本人から、どないなってるんやといって開示請求があったときには、原則的に開示というのは二七%で非常に低いわけですね。 大臣、そういう、患者のためではなくて、病院やお医者さんにとってちょっと見せにくいなということで開示しないというのは、原則としてこういうのは許されるんですか。 ○坂口国務大臣 許されるとか許されないということではなくて、ですから、開示をしないという場合にはさまざまな理由があるでしょうということを申し上げているわけで、そのさまざまな理由を乗り越えてやはり開示をしてもらうようにしていかないといけないわけで、それを開示していただけるようにするのに、法律で縛ってしてもらうというのでは、これは主体性がなさ過ぎる。 ですから、そうではなくて、自主的にそれは開示をしていただけるような体制をどうつくっていくかということが大事、そういう方針で進めていきたいということを申し上げているわけであります。 ○山井委員 ぜひとも、その十三年度の結果で、こういう不信感を持ったケースでも開示が非常にふえているというデータが出ていることを願っております。もしそうでなかったら、やはり法制化しないとだめだという議論になってくるわけであります。 では次に、医療全般のことを聞きたかったんですが、ちょっと時間の関係もありますので、特に歯科医療について坂口大臣にお伺いしたいんですが、私は、一般の医療と歯科とは多少、ちょっと違うところがあると思うんですね。 この十月からの老人の定率一割負担で、歯医者さんも非常にお客さんが減ったということをおっしゃっておられます。それで、どう違うかというと、風邪とか頭が痛かったら、ほっておいて治ったというのでいいんですけれども、歯の場合は、お金が高くなったから行くのをやめておいたといって勝手に治ることはなくて、どんどん虫歯とかは進行していくわけですね。 そういう意味では、私たち民主党も、歯科医療改革案というのを発表しまして、その中で、歯科医療の中の治療よりも予防に力を入れよう、早目に歯科にかからないと結局は医療費全体が上がっていくんではないかということを提言しております。また、かむことというのはお年寄りにとって特に大切で、そういう歯をしっかりさせることが痴呆予防にも効果があるということが言われているわけです。 そういう意味では、今、老人の一割定率負担、また、来年四月からの健保本人の三割負担という中で、かえって歯科の医療費も上がっていって問題が大きくなるんではないか。具体的に言うと、八〇二〇運動、八十歳で二十本のいい歯を持とうという運動も、結局はとんざしてしまうんではないかというふうに思うんですが、その点について、坂口大臣、いかがでしょうか。 ○坂口国務大臣 今お聞きをいただきましたのは、いわゆる受診抑制になるというお話でございますが、これは、医療にいたしましても、歯科にいたしましても、現在の経済動向もございますしいたしますから、すべてが今回のこの法律の改正によるというふうには私は考えておりません。 いずれにいたしましても、早いうちにかかっていただかなければいけないことだけは事実でございます。ですから、これは国民の意識の問題もあるというふうに思います。早く、安いうちに早くかかるということでなければならないわけでありまして、虫歯等も、中には、ひどい人は、歯があるから虫歯になるので全部抜けばいいんだということを言った人がありますけれども、それではいけないわけでありまして、ぜひそれは早いうちに治すということでなければならないというふうに思いますから、そういうふうに皆さん方に心がけていただくような運動を展開していくということが八〇二〇に結びついてくるんではないかというふうに思っております。 ○山井委員 まさに坂口大臣おっしゃっているとおりで、そういう早目に歯科にかかってもらうためには、今の定率一割負担や健保本人の三割へのアップというのは逆行しているということを言っているわけでありまして、ぜひとも再考をお願いしたいと思います。 また、歯科に関して、これも通常国会の引き続きなんですけれども、訪問歯科診療について坂口大臣に質問させてもらったんですけれども、その後も、あれから五カ月たって聞いてみましたら、訪問歯科診療、要件が厳しくなったり制限がきつくなったりして、もう三、四割利用者が減った、あるいは、そんなややこしいことだったらもうやめたといって訪問歯科診療をやめる歯医者さんも出てこられているわけですね。実際、御存じのように、寝たきりのお年寄りにとっては本当に歯というのは大切なわけです、なかなか歯医者さんに来れないわけですから。 そういう意味で、これはゆゆしき問題で、高齢化時代においては訪問歯科診療というのは推進していくべきところを、逆に今回の診療報酬の改定でどんどんやめさせていっている、やはりこういう問題は、二年後の診療報酬の改定を待たずに何とか改善すべきだと私は思います。 大臣、いかがでしょうか、歯科の訪問歯科診療について。 ○坂口国務大臣 そのときにもいろいろ議論をさせていただきました。 中には、施設等に出かけられて、そしてまとめて何十人もの治療をされる、それで、それを個々にやられたように報告をされるというようなことがあったりして、これは歯科全体の中からも、そういうことは公正を欠くのではないかといったような声もあってこういうことになったというふうに私は理解をいたしておりますが、しかし、中には本当に出かけていってやらなければならない人のあることも事実でございますから、そうしたことにも今後配慮をしていくようにしたいというふうに思います。 いろいろの診療報酬の問題、やってみて、そしてある意思を持ってやったんだけれどもうまくいかないということも、それは率直に言ってほかにもあるというふうに私は思います。そうした問題は、悪ければやはり正していくということでなければいけないわけで、次の機会にそうした問題は検討したいというふうに思います。 ○山井委員 坂口大臣がおっしゃる、一部にそういう不正なものがあるというのは、確かにそうかもしれません。しかし、それによって大部分の非常に切実なケースがそのチャンスを、お年寄りが訪問歯科診療を受けるチャンスを奪われていくというのは、結局は時代に逆行しているということを言いたいわけであります。ぜひとも早いうちに改善をしてもらうようにお願いしたいと思います。 話は精神医療に戻ります。 坂口大臣は先日、心神喪失医療観察法案の私への答弁で、七万二千人の社会的入院の解消を十年で行うには、七年ぐらいで達成する年次計画が必要と答弁をされました。そのときに、年次計画をつくるということを、対策本部でやるということを言ってくださったわけですけれども、対策本部はいつつくって、いつごろに年次計画を発表するのか、そのことを坂口大臣にお願いします。 ○坂口国務大臣 年内には対策本部はつくりますから計画が年内という調子にはいかない。もう少しそこは検討を幾つかして、そして本当にそれが実現可能かどうかの案をつくらないと、案はつくったけれどもそれは案だけで進まないじゃないかとまたおしかりを受けることになりますから、そこはしっかりやらせていただきたい。(山井委員「大体何カ月くらい」と呼ぶ)だから、それはできたときに発表させていただくということにしたいと思っておりますので。(山井委員「大体半年ぐらいですか、三カ月ぐらいですか」と呼ぶ)そんなに急がずに、七年でやらなきゃならぬのですから、そんなに長くかかっておりましたら七年でできませんから、七年でできるようにやらせていただきたいと思います。 ○山井委員 先日の法案審議とちょっとトーンダウンしているんですけれども、そうしたら、大体半年ぐらいで発表していただけますか。もう一回ちょっとお願いします。やはりそれは一年、二年もかかったらだめなわけですから。 ○坂口国務大臣 それは一年目からスタートしなきゃいけないわけですから、七年計画というのは一年目があるわけでありますから。だから、来年が一年になるということになれば、来年できぬような計画を立てておりましてはいけませんので、そんなにかからないというふうに思っておりますが、しかし、それはちゃんと、本当にできるという案をつくらないと、七年計画はつくったけれども一年目から進まぬじゃないかとまたしかられるようなことがあってはなりませんので、そこはちゃんと踏まえてやりたいというふうに思っておりますから、どうぞひとつそのときまでお許しをいただきたいと思います。 ○山井委員 再来年の予算のこともありますから、来年の夏までには発表できませんか。ちょっとそこだけ、当たり前のことだと思いますけれども。概算要求とかもいっぱいありますから。 ○坂口国務大臣 では、概算要求が出ますまでにはまとめたいというふうに思っております。 ○山井委員 それで、最初から二番目の質問に戻るんですけれども、要は、今回、知的障害者の施設入所の自己負担アップの分を地域福祉に回してほしいという全国からの自発的な、本当に悲願ですね、この支援費導入を機会に、施設中心から在宅重視に変わってほしいという悲願なんですけれども、先ほどの大臣の答弁では、ちょっとその決意があいまいだったような気がするんです。そういう施設の二万円分の自己負担アップの部分をできる限り地域福祉の方に回していく、これは当たり前のことなんですけれども、ぜひともその決意を、全国の方々からの要望が今上がっているわけですから、大臣、一言お願いいたします。 ○坂口国務大臣 決意はしっかり持っておりますから、大丈夫でございます。 ○山井委員 またちょっと精神医療のことに戻ります。 七万二千人の社会復帰ということですが、一つ私が懸念しておりますのは、精神病院の社会的入院の方が七万二千人社会復帰される、しかし、例えば、病棟をかんかんかんと改築して、そこに施設ですと看板をかけて、社会的入院、減りましたと言われたり、あるいは、病院の敷地の中にグループホームをつくって、はい、社会的入院、減りました、社会復帰しましたよと言っても、それはちょっと違うと思うんですね。 基本的に、社会復帰ということは、隔離された病院の社会から地域に社会復帰することだと思うんですけれども、そこで、これは施設の敷地内ではなくて、地域に社会復帰するということでいいのか。その結果、病棟が七万二千ベッドぐらい減るということでいいのか。その二点、ちょっと確認をさせていただきたいと思います、坂口大臣。 ○坂口国務大臣 それはやはり、地域にお戻りをいただかないと意味がありませんから、そのように理解をいたしております。しかし、病院が存在するのも一つのその地域でありますから、その病院が存在するところの地域について、どこにつくるかということは、あるいはその病院に近いということだってそれはあり得るというふうに思いますが、そこに入っている人が、それぞれの郷里の、郷里と申しますか、おうちがあります地域にやはりお戻りいただけるようにしなければいけないというふうに思っております。 ○山井委員 やはり、長年精神病院に入院されていた方が地域に帰られるというのは並大抵のことではないと思いますし、また、病院の関係の方の御苦労も大変だと思うんですね。 それで、いかにその受け皿をつくっていくかということですが、同じきょうされんの調査によりますと、精神障害者の施設がない自治体が八九%、そういうデータも出ているわけであります。そういう意味では、在宅サービス、また精神障害者の施設、その受け皿が全然まだまだ足りないと思うんですけれども、そのあたり、社会復帰される施設や在宅サービスをどのように整備されていくか、坂口大臣、いかがでしょうか。 ○坂口国務大臣 それは七カ年計画をつくります中で明らかにしていく以外にないというふうに思いますが、いずれにいたしましても、ほとんどないところからつくり上げていくわけでありますから、これは大変な作業であるというふうに思っております。かなりな決意を持ってやらないとできないことだというふうに思う次第でございます。 ○山井委員 介護保険でも、介護保険という一つの新しい制度をきっかけに権利性に、介護サービスというのは、今まで割とお恵みだと言われていたのが、権利となっていった。また、この支援費制度をきっかけに、今までの措置から、サービスを選べる、施設にいるも在宅にいるも自己決定できる、また、どんなサービスを利用するかも自己決定できる、今やはり千載一遇のチャンスだと思いますので、この機会によろしくお願いします。 それとともに、最後になりますが、カルテ開示の問題でありますが、そもそも三年前に、法制化すべきだという意見が大勢だった中で、三年間待ってくれ、自主的にやるからその結果を見てくれということで今日に至っているわけですから、今回また先延ばしということはある意味であり得ないわけですから、その結論を三月末までにしっかりと出していただきたいと思います。 ○坂井委員長 次回は、来る十三日金曜日午前九時四十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 |