2002年11月18日 |
厚生労働委員会 会議録 |
不良債権処理に伴う雇用のセーフティーネット、 雇用・能力開発機構、高齢・障害者雇用支援機構について |
民主党の山井和則でございます。これから一時間にわたって質問をさせていただきます。 まず、坂口大臣に現場の声をお伝えしたいと思います。 ちょうど私の地元に国立療養所南京都病院というのがあります。私の知り合いの岡本義孝さんという方は、三十三年以上この南京都病院で医療ケースワーカーとして相談員を務められておられまして、今は引退して私の後援会長をやっていただいているわけなんですが、その岡本さんが独立行政法人化に対してこうおっしゃっておられるんですね。 うちの病院には百十八人もの重度の脳性麻痺の患者さんがいる。そもそも、昭和四十四年に、民間病院では採算がとれないということで面倒を見てもらえないからという理由で、この重度の身障の病棟ができた。それを今になって、独立法人にして、採算をとれるようにしなさい、おまけに一病院当たり約六十億円もの負債を負わせてというのは、余りにも国の身勝手ではないか。これで、もう独立行政法人にしたら、人手が削られて、そういう脳性麻痺の患者さんへの医療の質が低下するに決まっている、わしはこんなことは許さぬぞというふうに、国立療養所で人生をかけて働いてこられた岡本さんは怒っておられるわけです。 そこで、まず最初に基本的なことから大臣にお伺いします。なぜ独立行政法人化をするんでしょうか。 ○坂口国務大臣 先ほど五島議員にもお答えを申し上げましたとおり、国が果たすべき役割といたしまして、国民の健康に重大な影響を与える疾病に関しましてやはり先導的な役割を果たしていただかなければならないところが必要でございますし、そして、他の医療機関では十分に対応することができない困難な難病、今も重度な障害者の皆さんのお話をされましたけれども、そうした医療を遂行していただくというようなことが大事な部門がございます。 そうしたことを含めて今まで国立病院でやってまいったわけでございますけれども、このすべてを国がやるというのではなくて、そうした重要な政策医療というものを、一つの独立行政法人という、国、国立という形から少し離れて、そしてしっかりとやっていただこう、こういうことになっているわけでございます。 ただ、今例を挙げて地元のお話をされましたけれども、そうした政策医療をお願いをいたします限りは、それはもう不採算性であることは間違いがないわけでございますから、その不採算な部分について、それも全部、そこは自分の病院で見ていけといえば、その病院は倒産する以外にありません。したがって、そこに対しましては、これは国の方も適切な支援というものを今後もしていかなければならないのだというふうに私は思っております。 その不採算の部分については適切に支援ということなんですが、具体的に言いますと、これは運営交付金というのがそういう部分については出されるということなんですけれども、坂口大臣、運営交付金の基準というのはどういうふうにして出されるんでしょうか。 ○坂口国務大臣 今そこの部分につきまして検討会をやっていただいておりまして、間もなく結論が出るだろうというふうに思っておりますが、そうした政策医療、さまざまな政策医療がございますから、そのときに、お願いをしたときにどれだけの交付金を出すのかといったことについて、いわゆる、より具体的な問題は別にしまして、その基準となります尺度と申しますか、そうしたものをやはり明確にしておかないと、やはり独立行政法人の中で経営をしていただくときにも、大変それは不安になるだろうというふうに思います。 したがいまして、その基準につきましては明確にしなければならないというふうに思っておりますし、今そこを検討を重ねていただいているところでございますので、できるだけ早くそこはお示しを申し上げたい、そういうふうに思っております。 この不採算ということについてなんですけれども、一つの言い方をするならば、ある意味で診療報酬が低いということになるわけですよね。そうしましたら、診療報酬を高く設定したら民間病院でもできるんではないかという気もするわけですけれども、大臣、いかがでしょうか。 ○坂口国務大臣 診療報酬体系をその不採算部門につきましてもそういうふうに大きく上げるということになれば、それは当然のことながら、公的な機関あるいは独立行政法人という半ば公的な機関ではなくて民間病院でありましてもそれは可能になるだろうというふうに思いますが、しかし、それでもなおかつ、全体としての診療報酬体系を変えたといたしましても、なかなかやはり不採算部門のところというのは、ただ金銭面だけではなくて、非常に人も多く必要でございますし、そしてまた、いわゆる手間暇と申しますか、その一人一人に対するケアというのは非常に難しい、あるいはまた非常にケアが多くかかるということだろうと思うんです。ただお金の面だけではなくて、そうした面を考えますと、やはりどうしても民間からは敬遠をされる。 そして、民間の方はより手間のかからない、採算性のいいところにやはり傾いていく可能性があるわけでございますから、診療報酬体系のこともさることながら、やはり恵まれないそういう疾病を持った皆さん方に、言ってみれば、終生これはお世話をしなければならない人たちもあるわけでございまして、その人たちに対応をしていただきますのには、やはりそれなりの能力を持った人、そしてそれなりのお気持ちを持った人におやりをいただく以外にないというふうに思います。 そういうふうな意味からいたしますと、財政的な面も含めてではございますけれども、やはり公的な機関の果たすべき役割というのは私は大きいと考えております。 今大臣が、やはり非常にある意味で手間暇のかかるということをおっしゃいましたけれども、私も最近、難病患者の方々から話を聞いてみました。そうしたら、やはり大臣がおっしゃるように、民間病院と国立療養所と両方かかっているけれども、やはり国立療養所の方が専門の先生がそろっている、かつ懇切丁寧に難病についてレクチャーをしてくださる、そういう意味で非常にやはりありがたいということをおっしゃっておられるわけです。そのよさが独立行政法人化でなくならないようにしてほしいというふうに思うわけです。 そこでお伺いしたいんですが、合理化を独立行政法人化によって進めるということなんですけれども、医療内容は低下しないのか。そもそも、医療の質はこの行政法人化でアップするのか。一病院当たり平均六十億円の負債を負ってスタートするわけですけれども、結局、人件費や人手を削って医療の質が低下するんじゃないか、そんな不安を持っているんですが、その点について、医療の質、アップ、どうやってさせるのかということ、大臣、いかがでしょうか。 ○木村副大臣 けさほどもそのような御指摘をいただいたわけでございますけれども、質の点とそれから今言った効率化の点と、これが必ずしも、相矛盾しているように見えますけれども、私は矛盾していない部分もあるんではないか、このように思えてならないわけでございまして、先ほども申し上げたんですが、今度は親方日の丸でない、意識改革をしてもらうんだ、私はそこは非常に重要なことではないかと思うんです。 それともう一つは、やはり国立病院が持っております高コスト構造、これをやはり効率化の点から直していっていただく、このような両方の、新しい意欲に燃えた、まさに意欲の転換点、そのように今度の独立行政法人化というのを位置づけていただいて、それこそまさに意識改革によって、多少B29に竹やりで向かうような面もあるかもしれませんけれども、ぜひこの点、職員の皆さん方にこの新しく変わったんだという意識改革の点を強調していただけたらな、このように思えてならないわけでございます。 これは割と根本的な議論だと思います、効率と質。私が思いますのは、私も過去十五年来、医療そして介護の問題、現場を回って研究をしておったわけですけれども、やはりこういうのは労働集約型の仕事なわけですから、コストを削るということは、往々にして人手を削ったり人件費を削って、やはり質の低下につながりやすいわけですね。ですから、そこを私は非常に難問だと思っております。 具体的なケースについてまた坂口大臣にお伺いしたいんですが、例えば私の同僚議員であります谷参議院議員は、難病問題に命をかけて国会議員になられたわけなんですけれども、谷参議院議員がおっしゃっておられますには、国立療養所山形病院にはALSの専門病棟があり、全国的に評価が高く、県外からも多くの患者さんが治療を受けている。このようなケースは独立行政法人化でどうなるのかと。 このALSの専門病棟の場合も、ALS治療に熱心な院長先生の裁量で、限られた予算の中でやりくりして、特色ある専門性を発揮して、あいていた病棟を、ALS病棟をつくったわけですね。こういうふうな場合、独立行政法人化によってどうなるんでしょうか。坂口大臣、いかがでしょうか。 ○坂口国務大臣 山形病院のお話は、私も具体的にはちょっと存じ上げませんけれども、今お話しいただきましたように、そうした難病の病棟をお持ちいただいているんだということでございますから、独立行政法人になりました後も引き続きまして、そうした今までの難病対策をおやりいただけるようにしていくということだろうというふうに思っております。 ぜひとも独立行政法人の役割というものをしっかりと堅持していっていただきたいと思います。 では、木村副大臣にお伺いしますが、今回独立行政法人化になっても職員の方の身分は国家公務員を付与するということになっておりますが、なぜでしょうか。お答えください。 ○木村副大臣 今度の国立病院機構、この大きな目的が、今までお話ありましたように災害などに対する対応、それから今お話ありました難病、こういうような二つの大きな意識が重要じゃないかと思うのでございますけれども、その中でやはり特に大事な危機管理の医療、私はここが相当これからも重要な点ではないかと。 この危機管理の医療について言わせていただきますと、国の医師として、危険な場所、例えば地震のときとか、また大使館の占拠事件とかがありましたが、そういう危険な場所であっても、相当な数の医師や看護師の方々の医療スタッフを長期間にわたり派遣することが当然出てくるわけであります。これはとても民間の医療機関では担えないわけでございまして、現にペルーの大使館事件やキルギスの事件等、また阪神大震災で多くの医療スタッフを派遣した実績があるわけでございます。 ですから、こういうことを含めまして、やはりこの国立病院機構の独立行政法人としての公務員型を採用した最大の理由は、私はその点にあるんではないかな、このように思っております。 同じ公務員のままということなんですけれども、では独立行政法人化によって、待遇、給与はどのように変わるんでしょうか。このことを現場の人々の職員さんは非常に不安に思っているわけですが、副大臣、いかがでしょうか。 ○木村副大臣 先ほども御質問ありましたけれども、一方でそういう崇高な任務とともどもに、一方でやはり高コスト構造を是正し、効率化を図っていかなきゃいけない面も当然あると思うわけでございますけれども、今御指摘のありました国立病院機構の職員の待遇、すなわち勤務条件、給与とか勤務時間につきましては法人みずから決定をする、こういうことになっているわけでございます。その一方で、任用、定年、懲戒、公務災害等の勤務条件につきましては国家公務員法が適用されることになっています。 なお、労働三権につきましては、団結権、団体交渉権が付与されますが、争議権、つまりストライキは、争議権は付与されていないということになっているわけでございます。 ○山井委員 その中で、現場の方々の一番大きな不安が、全体の二、三〇%を占める賃金職員、非常勤職員の方々のことなんです。これは非常に重要なことなので、坂口大臣にぜひとも御答弁いただきたいんですが、この賃金職員、非常勤職員の方々に国家公務員としての身分が付与されるかどうか。 今回対象となる、独立行政法人化される病院、療養所、全体で約七千人おられます。総定員法が外れるので、正規の職員に雇ってもらうチャンスであり、逆に考えれば、首切りをされる危険性もはらんでいるわけであります。この賃金職員、非常勤職員の方々の継続雇用を約束してほしいと思いますが、坂口大臣、いかがでしょうか。 ○坂口国務大臣 賃金職員の中身もいろいろだろうというふうに思います。中には、半年とか一年というような期限を区切って雇用する、あるいは雇われているという場合もございましょうし、もう少し長期なものも中にはあるかと思います。 したがいまして、そうした皆さん方も全体として含めてどうしていくかということは、先ほど部長が答弁をしましたように、いわゆる平成十六年四月に独法化をしましたときに、新しい理事長を初め、その幹部の皆さん方によって、その後の人事につきましては決定をされるわけでございますから、今おみえになります方をどうする、こうするということを私の方から申し上げることは、これは適当でないというふうに思っております。 しかし、必要があってと申しますか、現在の病院を運用していくためにどうしても必要だということで現在はそれは雇用をされている人たちでございましょうから、そのことを新しい理事長がどういうふうに判断をされるかということになってくるというふうに思います。 したがって、今私の方から、その皆さん方をどうするということは申し上げることはできませんけれども、やはり過去の経緯も当然のことながら配慮に入れて、そして判断をされるのではないかと私は思っております。 ○山井委員 新しい理事長が判断されるということですけれども、その理事長を任命されるのは大臣であられるわけであります。そういう意味では大臣の意向が一番反映されるわけでありまして、正直言いまして、私たち民主党もまだこの法案の賛否も決めておりませんが、ここの問題、最大のポイントの一つだと思います。 言うまでもなく、医療現場においては人員配置というのが生命線でありまして、人を減らして、そしていい医療をするというのは本当に難しいわけであります。そういう意味では、理事長さんを任命するときに坂口大臣から、こういう方針でというのを言っていただければいい話であろうと思いますので、坂口大臣、今までから働いてこられた方はできる限り当然継続して雇っていくというような御趣旨で、大臣、改めてもう一言、もう一息お願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。一番重要なところでありますので。 ○坂口国務大臣 先ほど申し上げたとおりでございまして、現在の段階で私からそれ以上のことは申し上げることができません。 必要な人がおみえになることは当然でございますけれども、しかし、先ほど副大臣からも答弁がありましたように、効率的にやっていかなければならないことも事実でございますから、それらのことを、状況を十分に判断できる人を理事長に選ばせていただく、こういうことだろうと思っております。 ○山井委員 ちょっとよくわかりませんが、ここが現場の一番の不安であります。やはりこれによって独法法人化がいい方向に向かうのか、それとも悪い方向に向かうのかという分かれ目でありますから、その法案審議をしているときに、それは新しい理事長にお任せしますからというのは、ちょっとこれは無責任ではないかと思います。 このことについてこれからも各議員からまた問いたださせていただくと思いますけれども、大臣ぜひとも、これが今回の法案審議の一番重要な点でありますので、よろしくお願いしたいと思います。 それで、この資料の一ページ目、まさに今のこととも重なるんですが、見ていただきたいと思います。 要は、これは国立病院、国立療養所の、例えば看護師さんの数を見てもらいますと、国立療養所が患者さん百人に対して五十二人、国立病院が五十九・七人ということで、一般の病院よりもこれはかなり低くなってしまっているわけですね。それで、現場の職員さんは、本当に少ない職員で、医療事故の不安も非常に抱えながら働いておられるわけです。例えば、三人夜勤体制にしていくためには全国で七千二百人看護師が新たに必要という政府の見解も出ているわけですが、過去五年で千人しかふえていないわけですから、あとこのペースでいけば三十六年かかる計算になります。 こういうふうに、今までから大臣も看護師の増員に努めるということは答弁なされているわけでありますけれども、独法法人化によって、こういうほかの病院との格差の是正、早くなるのか遅くなるのか、当然早くしてもらわないとだめなんですけれども、大臣の決意をお聞きしたいと思います。 ○木村副大臣 このいただきました表でございますけれども、残念ながら民間の病院の方が出ていないのでございます。これはやはりぜひ民間の病院との比較においても検討していただきたい。 そして、ではその民間の病院で、中にはいろいろおありになると思いますけれども、やはりまことに一生懸命やって患者サービスに努めていただいているところもあるわけでございますから、どうぞその点も御考慮いただきまして御判断をいただければな、このように思っております。 ○山井委員 ちょっとこのデータには出ておりませんけれども、百床当たりの看護師数は医療法人は四十・四人でありまして、それよりも少ないわけです、国立療養所は。だから、これは厚生省さんの資料なわけですから、そういう意味では医療法人の一般よりも少ないわけですから、そこの増員はよろしくお願いしたいと思います。 改めて坂口大臣からも一言言っていただきたいと思いますが。 ○木村副大臣 今言った民間の病院は、幾つと言っておられましたですか。(山井委員「四十・四です、医療法人は」と呼ぶ)国立病院、国立療養所ともに五十……
三十七・五人、看護師数はそうなっています。 ○木村副大臣 いただいた資料では五十九・七人になっています。 ○山井委員 またその資料は後で突き合わせましょう、二つの資料をまぜて言っていますので。 ○木村副大臣 資料が違うわけですか。 ○山井委員 はい。 坂口大臣も、看護師さんを増員するということは今までから答弁でもおっしゃっていますので、改めてそのことは確認したいと思います。 ○坂口国務大臣 看護師さんは、必要なところには必要な人が要求されるのは当然だというふうに思っております。 それは、やはり、どういう患者さんを取り扱われるかということによっても違ってくるわけでございますし、今最低限これだけが必要だということが決まっておりますけれども、それが最低限で済むのか、それ以上の人が必要なのかということは、どういう人たちを中心にして治療を行う、あるいはまたその人たちのリハビリを行うか、そうしたことにかかわってくるというふうに思いますので、一律してどうするということはなかなか言いにくい問題でございます。 この独立行政法人化に伴って総定員法を外れるわけですが、ぜひともそれによって正規雇用職員をふやしてほしいというふうに要望いたします。 そこで重要になってくるのが、中期目標を立てて、中期計画を立てて、そして業績評価をやっていくということであります。この業績評価とは何かというのが最大のポイントだと思います。要は、収支ばかりを重視して合理化を進める一方だと政策医療から外れるわけですし、また、収支が悪化し過ぎても当然問題なわけですね。 そこで坂口大臣にお伺いしたいのが、この質ですね。正直言って、医療の質、病院の質をはかるというのは非常に難しいと思います。そのことをどうやって評価していくのか。そこのところをきっちり入れないと、ただ単に収入がふえたからよかった、合理化が進んだからよかった、でも一方では評価できない、患者さんが泣いていた、差額ベッド料がふえて患者さんが泣いていたとか、今までよりも早く退院させられてしまったとか、そういうことでは本当のための業績がアップしたということにならないと思うんですね。 例えば患者さんのアンケートを入れるとか外部評価をするとか、その辺、質の評価ということを業績評価の中にどのように入れていくか、この業績評価をどのような観点で行うのか、坂口大臣、御答弁ください。 ○坂口国務大臣 この評価のいわゆる基準というものにつきましても現在進めているところでございまして、これはやはりかなり明確に示さないといけないんだろうというふうに思っております。この基準として何を挙げるかということは、今お話ありましたように、これはなかなか難しい問題であることは、私もそのとおりというふうに思います。 どこに焦点を合わせて考えるかということなんだろうと思うんですが、これはやはり患者さんから見て質のよい医療とは何かというところに焦点を合わさないといけないんだろう。医療従事者の側あるいは病院経営の側に焦点を合わせるというのではなくて、患者さんにとってよい医療とは何かというところにやはり焦点を合わせながら質は考えていかざるを得ないというふうに思っております。今、鋭意その基準づくりというものをやっているところでございます。 抽象的な答弁でありますけれども、具体的に改めてお伺いしますと、患者さんのアンケートや外部評価というものを導入するということに関しては、坂口大臣、いかがでしょうか。 ○坂口国務大臣 それは、患者さんの御意見や外部評価というのも大事でございます。その外部評価というのは、その基準をつくるときに外部の皆さん方の御意見を聞くということならば、私は、それはそういうふうにしなければいけない、多くの立場の皆さん方の御意見を聞いて、そして基準をつくっていかなければならない、そういうふうに思います。 ただしかし、そうはいいますものの、独立して病院をやっていただくわけでございますから、質は上がったけれども全く採算がとれないというようなことであってもこれはいけないわけでございますから、採算ということも当然のことながら考えていただく。そしてその中で、しかし質をいかにすれば落とさないようにしていくかということについて知恵を絞っていただくということになるんだろうというふうに思います。 ただし、どこに焦点を当てるか、何を見ていったらばいいのか、幾つかの指標があるんだろうというふうに私は思います。それらの点を明らかにしていかなければならないというふうに思っております。 先ほども言いましたように、医療の質あるいは介護の質をはかるというのは非常に難しくて、多くの場合、民間委託や合理化によって安くはなったけれども質も下がったというケースが多いんですね。正直言いまして、私もスウェーデンに留学していたときに、どうやって介護の質をはかるか、定量的にはかるかということを研究しておったわけなんですけれども、そういう意味では、ぜひとも財政面だけに、お金の面の合理化だけに業績評価がならないようにお願いしたいと思います。 それで、具体的に、次は精神疾患病棟についてお伺いしたいと思います。 不採算な部分、難病あるいは精神疾患のことというのがこの資料の中に入っておりますが、その精神疾患の中でも、政策医療としては、厚生労働省さんのこの説明の中には、困難なケース、こういう言葉が入っております。精神疾患で困難なケースというのは、坂口大臣、大体どのようなケースでしょうか。 ○坂口国務大臣 今ちょっと最後のところ、聞こえにくかったんですが、精神疾患のうち対応困難な領域というのはどういうことか、こういう御質問でございましたか。(山井委員「そうです、ここに書いてございます」と呼ぶ) 従来から、国立病院ですとかあるいは療養所におきましては、いわゆる政策医療分野の一つとしまして精神疾患を位置づけておりますし、今までの国立病院・療養所におきましてこの治療を行っていただいてまいりましたし、そしてまた、各病院の間のネットワークというものも構築をしてきていただいたところでございます。これは、現在でも全国三十四カ所の国立病院・療養所におきまして精神疾患の医療に取り組んでいただいているところでございます。 御指摘の、精神疾患のうちで対応困難な領域としてどういうものがあるかということでございますが、特に難治性の精神疾患でありますとか、重症の情動行動障害、いわゆるADHDと言われておりますもの、そうしたものを初めといたしまして、精神科救急あるいは薬物依存でありますとか身体合併症を伴う精神障害、こうしたものが難治性のものとして当てはまるのではないかというふうに思っております。 今、そういう難しい重度の治療を必要とするものということなんですけれども、最初の議論とも少し重なるんですが、そのような困難なケースでも、要は診療報酬を上げて採算がとれるようにすれば、人員配置を多くすることができて民間病院でも対応できるのではないかというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか、大臣。 ○坂口国務大臣 先ほども御答弁を申し上げたとおりでございますが、精神科の問題につきましては、他の分野に比較をいたしまして、現在、検討をしなければならない分野が多いというふうに思っております。 したがいまして、今後、精神疾患の分野におきましては、いろいろと人の配置等につきましても考えていかなければならない点は多いというふうには思っております。しかし、今回のこの独法化の中におきましては、そうしたことをここで位置づけるというわけにはまいりません。今後の課題として、これは取り組んでいくつもりでおります。 今後の課題ということですけれども、私の資料の二ページ目を見ていただきたいと思います。 国立病院・療養所の中で精神病床を百床以上保有している施設のデータをまとめてみました。 例えば、善通寺病院は精神疾患の入院患者さん九十一人に対して精神科のお医者さんが二人、十勝療養所は百三人の患者さんに対して六人というふうに並んでいるわけなんですけれども、善通寺病院は患者さんと精神科医の割合は四十五対一、それで平均も二十六対一、あるいはこれは榊原病院も二百四十六人の患者さんに対して六人、四十一人と。 最初、要は、困難なケースで、非常にいわゆる重度な、高度な医療が必要なケースを政策医療としてここで診ていると言う割には、四十人に一人しか精神科医の方がいないとか、平均しても二十六人に一人しかいない、これで高度な医療が必要だと言うのは、ちょっと私は話がかみ合わないのじゃないかなというふうに思います。 これは、要は精神科特例で患者さん四十八人に一人でお医者さんはいいというそもそもの大問題があるわけなんですけれども、大臣に改めてお伺いしたいと思いますが、この人手で、高度な難しい医療を行っているにしては、平均二十六・二五人の患者さんにお医者さん一人というのは余りにも少な過ぎるんじゃないですか、大臣いかがですか。 ○坂口国務大臣 これは、一つは精神科の先生が非常に少ないということも影響しているのだろうというふうに思っております。そうしたこともございますが、やはり国立病院あるいは療養所であります以上、高度な医療を心がけていただかなければならないわけでございます。 ここに挙げられましたところについて、大体、どういう患者さんと言うと、まことに患者さんに失礼でございますが、病気の程度がどういう方がここに療養をしておみえになるのかということによりましても実情はかなり違ってくるというふうに思いますが、これから独立行政法人化をされるされない、それはもう別にいたしまして、この精神科領域におきます対応というのは十分検討に値していくというふうに思っております。 そうした意味からも、平成十六年から起こりますところの医師の研修におきましても、精神科は三カ月、やはりどうしても研修をみんながやっていただく、そして精神科に対応していただく、そういう時間をつくることによって、この分野に対する必要性、あるいは学問的な必要性、あるいは興味と言うと大変言葉は悪いですけれども、必要性というものをやはり感じていただけるようにしなければいけない、そんなふうに思っている次第でございます。 改めてこの資料を見ていただきたいのですけれども、平均在院日数ですね。上から、二百六十三日、二百十九日、長いところでは五百七十八日、五百二十日というふうに、一年、二年という平均になっております。常識的に考えたら、大臣、これ、もっとお医者さんがいて、看護師さんもいて、それこそ手厚い医療をしたら、もっと早く退院できるんじゃないかというふうに思うわけです。 ついては、業績評価の中に在院日数の長さとかそういうことというのは、やはり評価基準の一つに入るんでしょうか。この非常に長い平均在院日数に対して、坂口大臣、いかが思われますでしょうか。 ○坂口国務大臣 業績評価の中では、それらのことも検討したいというふうに思いますが、年度別の精神病床の平均在院日数がございまして、これは少し粗っぽい数字でございます。 全国の数字と国立療養所のものとの比較でございますが、全体で見ますと、全国の場合には三百七十六・五日というのがございまして、国立療養所では二百八十二・一日ということでございまして、全国レベルで見ると療養所の方が百日ばかり短いということは言えるわけでございますが、しかし、この二百八十二日が果たして適切な日数かどうかということがまた問われるわけだろうと思います。 今後、やはり精神科で治療をお受けになります患者さんも、できる限り地域に帰し、あるいはまた家庭に帰って治療をしていただく、そういう時代になってまいりましたから、病院の中の体制だけではなくて、地域におきます体制もつくっていかないといけないわけでございまして、それらのことを総合的に考えていく時期に来ているというふうに思っております。 ありがとうございます。 ですから、これからはもっと手厚い、お医者さん、看護師さんやコメディカルの方々とともに集中的に治療をして、できるだけ早く在宅に戻ってもらう。そうしないと、長期入院するとますます社会と隔絶してしまうわけです。そのためには、大臣もおっしゃったように、受け皿として、新障害者プランの中でいろいろなデイサービスや援護寮やグループホームやホームヘルプや、いろいろなサービスをセットで整備していく必要があると思います。 それで、もう一つ、不採算部門についてお伺いしたいと思います。 これは午前中に宮澤議員、福島議員からも御指摘があり、まさに阿部知子議員の専門分野であります小児救急の分野であります。これは三ページ目、3の資料、大臣がいらっしゃらない午前中にもここは議論になっておったのですが、「小児救急輪番制 国立の参加わずか二五%」。三百六十の二次医療圏のうち、二十四時間体制の小児救急が整っているのは百十五、三二%にすぎないということですね。これから独立行政法人化するこのような国立病院・療養所の役割は何かと考えたときに、やはり社会的ニーズが高くて、かつ不採算と言われているこういう小児救急の部分、先頭を切って取り組んでいくべきだと思いますが、坂口大臣のお考えをお聞きしたいと思います。 ○坂口国務大臣 午前中にも議論をしていただいたようでございますから、多くを申し上げる必要はないかというふうに思いますが、いずれにいたしましても、小児科関係の先生方が最近減りつつある、これは大変大きな問題だというふうに思っております。 したがいまして、多くの皆さん方が、小児科あるいはまた産科といったようなところは非常に厳しいところではあるけれども、しかし、本当に医療現場としてやりがいのあるところ、場所だということをおわかりいただけないといけないわけでありまして、やはりそうした医学教育とあわせて、これも研修等におきましても小児科を三カ月つくらせていただいて、多くの、医師になろうとする皆さん方、あるいは医師の免許を取られた直後の皆さんにぜひ理解を深めていただきたいというふうに思っております。 もう一つは、現在の医療現場におきまして、小児科の免許をお持ちになっていると申しますか、小児科を標榜しておみえになります医師の先生方がどのようにタイアップをしてやっていただくかという問題もあるわけでございますので、そうしたことを地域の医療に対しましてもお願いをしていきたいというふうに思います。 しかし、前回も阿部議員から御質問ございましたように、御意見がございましたように、そうはいっても地域で、ないところすらある。一人とか二人しかもともとおみえにならないといったような医療圏も存在する。そうしたところで一体どうしていくかといった問題もあるわけでございますので、それらのことも考慮に入れながら、我々としては、日本各地域、やはり二次医療圏に何とか救急医療が確立ができるような対策を考えていかないといけないというふうに思っている次第でございます。 まさに坂口大臣は少子化対策に今全力で取り組んでおられますし、やはり、国民皆保険制の、世界一アクセスがしやすいと言われるこの日本の中で、幼い子供さんたちがたらい回しに遭って命を落とすということは決して繰り返してはならない問題ですので、ぜひとも小児救急の問題、早急に取り組んでいただきたいと思います。 それで、救急医療について少し、救急救命士のことについても坂口大臣にお伺いしたいと思います。 といいますのは、三月十四日、今は亡き今井澄参議院議員の質問に対して、救急救命士の業務拡大ということをやってほしいという質問に対して、坂口大臣のリーダーシップのもと、救急救命士の業務拡大の検討委員会がスタートをされたわけでありまして、そのことには本当に感謝をしております。 実は、先日も私の知り合いのおばあさんが亡くなられまして、その方はトイレで倒れて心肺停止状態になったんですが、嘔吐しておられて気道確保ができず、食道閉鎖式エアウエーやラリンゲアル・マスクという今認められている方法では気道確保ができず、もう病院に運ばれたときには手おくれであった。御家族の方が、救急救命士さんが来たときに気道確保さえしてくれていたら助かっていたかもしれない、六十歳で亡くなられたわけですから、非常に悲しんでおられました。 そこでお伺いしますが、七月に中間報告がこの問題について出たわけでありますが、簡単に御報告を坂口大臣からお願いしたいと思います。 ○坂口国務大臣 七月に、救急救命士の業務のあり方等に関する検討会、ここで中間報告をしていただきました。 この中間報告によりますと、一つは、除細動について、包括的な指示による実施を認めること、二番目として、気管挿管につきまして、救急救命士に認める場合の諸条件について早急に具体化を図ること、三番目に、薬剤投与については、高度の医学的判断を要するため、慎重な議論をさらに継続すること、この三つのことが中間報告として発表になったところでございます。 さらにもう少しつけ加えさせていただきますと、さらにこの一番の、除細動につきましては、いわゆる事後検証の仕組みというものをどうつくり上げていくかということが問題でございますし、気管挿管につきましては、どういう症例のときにこれを行うかというその判断基準みたいなもの、いわゆるプロトコールの策定、こう書いてありますが、そういうことだと思います。それから養成カリキュラムの見直し、研修、実習のガイドラインの策定、実施に当たっての必要なメディカルコントロール体制のあり方、こうしたことを整えていかなければならないということだと思います。 薬剤投与が一番難航しておることは御承知のとおりでございまして、この容認の適否や認める場合の条件について関係学会による検討、検証を行う、こういったことが三つのことに対する取り組み方として行われているところでございまして、そして研究班ができまして、その検討をしていただいてまいりました。あと二、三日しますとその研究班の結論が出るようでございますけれども、それをもう一度もとの検討会に戻していただいて、そこでどのように結論をしていただくかということになるだろうというふうに思っております。 私も実は秘書と一緒にその検討会を傍聴させていただいておりますが、非常に熱心に検討してくださっていて、私も感謝しているところでありますけれども、これは本当に一刻の猶予もございません。 例えば、私、先日、山形県の酒田市まで行ってまいりまして、何と気管内挿管のおかげで命が助かったという富樫さん本人にお目にかかって話も聞いてまいりました。この方の場合は、交通事故に遭われて、それで心肺停止状態になられた。それで、救急車に運ぼうとしたところ、嘔吐して、嘔吐物を取り出すことができなかった。それで、今認められている食道閉鎖式エアウエーやラリンゲアル・マスクでは気道確保ができなかった。そこでやむを得ず救急救命士が気管内挿管を行ったところ、心拍再開し、その後三週間入院されて、無事退院することができました。私も一緒に記念写真を撮ってきたぐらいですから、非常にお元気になっておられました。 また、除細動でありますけれども、この三月、国会で議論が始まってから、もういろいろな問題が起こっておりまして、例えば先日も、トンネル内の交通事故で心肺停止状態になられた患者さんが、トンネル内では医師と連絡がとれず、トンネルを抜け出すのに十分かかって、ようやく連絡がとれたのはいいが、そのときにはもう除細動不適応の状態になってしまっていて、亡くなってしまわれたということなんですね。 ですから、これは一刻も早く結論を急いでもらいたいと思いますし、医師の指示なし除細動、そして気管内挿管、薬剤投与、一刻もこの業務拡大を急いでもらいたいと思います。 大臣、もう一度改めて決意をお願いいたします。 ○坂口国務大臣 先ほど申し上げましたような経緯で、今進行いたしております。できるだけ早く結論を出していただき、そして実現できるものはできるだけ早くしたいと考えております。 ぜひともよろしくお願いいたします。 社会福祉法人でも、ある意味で、かなりやられている部分はあるわけでありまして、独法法人化して行う重度の心身障害者の患者のための政策医療とはどのようなものか、この点について、坂口大臣、お答えください。 ○坂口国務大臣 重度の心身障害児あるいは障害者も含むのかもしれませんが、につきましては、個々の患者の重症度等で程度差がありますものの、常時、医療的なケアと福祉的なケアを必要とすることから、病院機能を有する施設への入所措置というものが行われているところでございます。 国立病院ですとか療養所におきましては、従来から、重症心身障害児あるいは障害者の入所施設としてこれらの方に対する医療を提供してきたところでございます。国が担うべき政策医療におきましても、重症心身障害につきましては、国が中心的役割を果たすことが歴史的、社会的にも要請されていると考えております。 こうした考え方を踏まえまして、今後は、社会福祉法人等との役割分担も図りながら、いわゆる超重症児というものを積極的に受け入れていく等の対応が必要であるというふうに思っている次第でございます。 この重症心身障害患者に関して一番気がかりなことが、退院促進をすることがあるのかということであります。ある意味で、冒頭に述べましたように、採算がとれないから国立病院や国立療養所で診ていたわけであって、これから独立行政法人になって採算がとれないからという理由で退院を迫れば、それこそ行き場がなくなってしまうわけであります。 そこで、先ほどの話とも関連しますが、業績評価の中で、やはりこういうのは、重症心身障害の患者さんに対しても退院促進をした方が、いい病院なんだというような業績評価になる可能性というのはあるのでしょうか。坂口大臣、お願いします。 ○坂口国務大臣 そこまで具体的なことがその評価の中に入ってくるのかどうか、私はまだそこまでは考えておりませんが、どういう人たちは家庭に帰った方がよりよいのか、しかし、そうはいうものの、超重度の方々で、家庭に帰すということはあらゆる面から見て不可能だと言われる人たちもおみえだというふうに思いますので、その辺のところは一律的になかなか言えない問題だと思っております。 したがいまして、こうした重度の方々をお預かりする、そのことが採算性を問わずにお預かりをしなければならないということであるならば、これは非常に優先順位の高い政策医療であるというふうに思っております。 一つのジレンマであると思います。政策医療を進めると採算がとれにくい。それで、採算を考えると、ある意味で採算がとれやすい一般医療に広げていったらいいわけですね。 私も、正直言って、南京都病院に知り合いのおじいさんやおばあさんが脳梗塞で倒れられて入院されて、よくお見舞いに行ったりもするんですけれども、ところが、そうやって採算をとろうとすると、逆に地域のお医者さんからしたら、もうやめてくれ、お客さんをとるのはやめてくれということにもなりかねないわけであります。 そこで、私たちのように療養所の周りで療養所の恩恵をこうむっている人間にとりましては、独法法人化によって、一般の患者さん、一般の地域住民にとってどう変わるのかということが一番大きな関心なんですけれども、医療の中身というのは何か変わるんでしょうか、一般の地域住民にとって。副大臣、お願いします。 ○木村副大臣 先ほどからもお話をしておりますように、今までやはり親方日の丸だ、残念ながらそういう意識があったのではないかな。私は、独立行政法人へ変わるときにぜひ意識改革をしていただきたいというのは、こういうことなんです。 そして、もちろん効率化とか医療の問題もありますが、やはり患者サービスにおいてもぜひ意識改革をしていただいて、国鉄がJRになったときのような感覚をある程度持っていただくということは、大丈夫だ、期待していいのではないかなと。 ぜひその辺のことを今の職員の方々は考えていただいて、まさに意識改革の第一歩、これが独立行政法人化だ、こう位置づけていただきたいな、私はこのように思っているような次第であります。 まさにそこのところで、多くの現場の方も患者さんも不安に思っておられるわけなんですけれども、坂口大臣、例えば差額ベッド代がどんどん上がってくるんじゃないか、そんな心配も患者さんとかがされているんですね。そのあたり、一定の歯どめが必要だと思うんですけれども、坂口大臣、この件についていかがでしょうか。 独立行政法人化によって、同じような医療を受けられるけれども、自己負担がどんどん上がっていった、昔の方がよかったなということになったら、やはり本末転倒であると思います。坂口大臣、いかがですか。 ○坂口国務大臣 そこは、それぞれの病院の経営方針と申しますか経営努力といいますか、それにかかってくるわけでございますので、それはそれぞれお任せする以外にない。 地域の方々に対してよりよい医療をどうしてやっていくかということをやはり中心にしてお考えをいただく。しかし、そこは、今もお話ございましたように、経営努力をしていただいて、採算ベースに合うということはどういうことかということも考えていただかなければならない。意識改革を、それこそやってもらわなければならない。 こういうこともあるわけでございますから、一概にいいとか悪いとかということはなかなか言いにくいわけでございますが、一番大事なことは、やはり患者さんを中心に考えて、どう考えていくかということだろうというふうに思います。 ○山井委員 改めて坂口大臣にお伺いしますが、聞きたいことは本当に一点なんですね。独立行政法人化によって国立療養所や国立病院の医療はよくなるのかということに尽きるわけなんです。改めて、よくなるということを、よくしますということを、坂口大臣、この場で宣言をしていただきたいと思います。 というのが、地域住民の方も現場の方も、言ってはなんですけれども、先ほども私、南京都病院の地域の方やまた患者さんとかと電話で三、四人話を聞いていたら、独法法人化によって医療が悪くなる、もうあきらめているという声が強いんですね。そうじゃないと言うのだったら、坂口大臣、よくなりますということをこの場でぜひとも宣言していただきたいと思います。坂口大臣、よろしくお願いします。 ○坂口国務大臣 よくなりますというのは私が言う話ではなくて、新しくできる独法の方がよくしますということを言うてほしい、そう思っております。 それはちょっと、余りにも無責任だ。 というのが、理事長を指名するのは坂口大臣というか所管大臣なわけですから、それは責任は所管大臣にあるわけですよ。当然、悪くするような人を理事長にしてもらったら困るわけであります。 それで、その理事長さんについてお伺いしますが、独立行政法人の基本に、事前関与、統制を極力排し、事後チェックへの移行を図り、弾力的、効率的で透明性の高い運営を確保するとあるわけですけれども、その理事長を、どういう人を、坂口大臣、選ばれるんですか。 ○坂口国務大臣 その地域に最も適切な人を選ぶ、こういうことでございます。 私も一時間質問をさせてもらいましたけれども、私の心の中で、独法法人になって悪くなるんじゃないかという不安を払拭したいというつもりで一時間議論をさせてもらいました。 ところが、答弁を聞けば聞くほど、坂口大臣自身が、わからない、理事長が決めることだと。ところが、まだ理事長というのは当然決まっていないわけですね。ということは、独法法人化してこれがよくなるか悪くなるかは現時点ではわからないということになってしまうんじゃないですか。 大臣、もうちょっと前向きな、よくするんだという姿勢はやはり示していただきたいと思います。 ○木村副大臣 御質問の点は、やはり大臣もさることながら、何といっても一番大事なのは現場を担っている方々ですよ。この意識改革をぜひ先生も進めていただいて、やっていただきたいなと思えてならないわけであります。 何かちょっと議論が、確かに現場も大切ですけれども、それ以前に、首を切るとか給料をばんばん下げるとかいったら、幾ら現場が頑張っても限界があるわけですね。 そういう意味で、基本的にはやはり現場で働く方がハッピーになれないと患者さんもハッピーになれないというのは、これは医療、介護の原則であるわけです。副大臣。 ○木村副大臣 少なくとも、正規の職員の方は、これは公務員型でありますから首になりません。 そして給料の点だって、もちろん、一生懸命やっていただいている方が下がるということは、これはやはりなかなか考えにくいわけであります。まさに業績が反映するような仕組みをつくっていく。そこに、この独立行政法人の質と効率化と両方を相備えたいい点が出てくるのではないか、それを期待しているんです。 時間になりましたが、やはり大臣、一言。何かもう、この委員会室にいるみんな、暗く落ち込んでしまいましたよ、聞いていて。よくならないみたいなという感じで。 やはり法案を出していられる以上は、よくするんだ、これはよくする法案なんだということをぜひとも、私、正直言って、厚生労働省の方々と議論していたら、厚生労働省の方々は、これはよくする法案ですからといって、ぜひとも賛成、こうおっしゃっていられるわけですから、その総元締めである大臣が、理事長によってどうなるかわかりませんでは余りにも無責任だと思いますので、大臣、最後に一言だけお願いします。 ○坂口国務大臣 それは、よくするために出すんですよ、この法律は。それは間違いがないけれども、具体的な問題まで厚生労働大臣が指揮命令をするような、そういう体制ではなくなるということでありますから、私はそのことを言っているわけであります。 もう時間が来ましたので、一言だけ意見を言わせてもらいますが、要は、幾ら独立行政法人化しても、評価委員会があったり理事長があったりしても、こういう重度な方々の幸せ、治療、医療の責任はあくまでもやはり国にあるんだ、国がやはり責任をとらないとだれがとるんだということを最後に訴えて、私の質問を終わります。 ありがとうございました。 |