○山井委員
民主党の山井和則でございます。
本日は、たった二十分しかありませんので、三点についてお伺いします。一つは、不良債権処理に伴う雇用のセーフティーネット、二つ目、三つ目は、雇用・能力開発機構、高齢・障害者雇用支援機構についてお伺い申し上げますので、よろしくお願いいたします。
まず、坂口大臣にお伺いします。
こういう雇用に関する独行法人化の前提として、不良債権処理に伴う雇用のセーフティーネットをどうするのかということは非常に重要な問題であります。全国平均では失業率五・四%でありますが、私の住んでおります近畿地方ではもう七・六%、さらに不良債権処理の加速により、ある調査機関の推計では、全国平均の失業率は七%を超え、失業者も新たに百万人以上ふえるんではないかという予測もあります。また、少なくとも、昨日も坂口大臣が「日曜討論」で、十五兆円の不良債権を処理すると六十万人強の離職者が発生し、このうち三十万人強が失業者になり得るという見通しを述べられました。
小泉内閣は、不良債権処理に伴う雇用のセーフティーネットには万全を期すと述べていますが、今までいただいております資料では、全くけた違いに不十分であります。私自身、不良債権処理の加速には賛成でありますが、その前提は、雇用の万全なセーフティーネットであります。
坂口大臣、三十万人新たに失業者がふえるということでありますが、その具体的な雇用創出策について、坂口大臣の、まだまだ合意はもちろんできないんでしょうが、お気持ち、決意をお聞かせ願えればと思います。
○坂口国務大臣
今回の不良債権処理につきましては、その全体の額がどのぐらいの額に及ぶのか、そして、それはまた何年間で行われるのかというそのスピード、そうしたことがまだ明確ではございません。そして、そこが決まったといたしましても、その後のいわゆる産業の再生と雇用の推進というこの二本を柱にいたしました本部ができ上がって、産業の再生というものがどこまでそこで行われるのかというこの前提によりまして、失業者の数は私は変わってくると思っております。
それらのことがもしなかったとしたら、そして十五兆円という不良債権が、一気に処理されるとしたらという前提のもとに、しかも内閣府が昨年試算をいたしましたその試算方法を用いればという、こういう前提のもとに昨日申し上げたわけでございまして、そうしたことも念頭に置きながら我々は雇用対策というものを考えていかなければならないというふうに思っております。
現在、当面は、まだ補正予算の問題、これは具体的になってきていないわけでございますから、この十四年度、既にでき上がっております予算の中で、どう前倒しをし、どのようにその中で組み入れることができるかということでございまして、その中で、今まで基金としてやられておりましたものを、それをどう新しい立場から使っていくかといったようなことで、新しくもしそこで失業者が出てくれば、その人たちを雇い入れてくれる企業に対する支援、それから新しく企業を起こす人たちに対する支援、そうしたことを中心にしてそれらを使おう。あるいはまた、特別交付金として市町村に既に平成十五年度、十六年度の分をお渡ししてございます二千億円、これを前倒ししてお使いをいただけるような体制をつくり上げよう。これらのことを少なくとも十二月一日か、あるいは半ばまでにはそれをはっきりさせて、そしてお示しをしたいというふうに思っております。
そして、二弾目といたしましては、今回の不良債権処理がどういう内容かということに合わせて、そして補正予算が組まれれば、その中でセーフティーネットをぜひ構築するように我々も努力をしたい、こういうことを私は考えているわけでございます。そうしたことを申し上げたわけでございますし、そういうふうにしたいと思っているところでございます。
○山井委員
いろいろな交付金、奨励金、メニューはあるわけですけれども、十分な雇用が創出できるとは到底思えません。そこで、民間の活力を引き出しながらも、やはり早急に公的な事業による雇用創出ということも必要になってくると思います。私自身としては、不良債権の処理を急ぎながらも、同時に早期に大型の補正予算を組むべきだと考えますが、この補正予算について、坂口大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
それと同時に、坂口大臣も今までから、雇用効果の高い補正予算ということを発言されておられます。私も同感でありまして、大型の建設型の従来の公共事業よりも、医療、介護、環境、教育というような分野の方が雇用効果が二倍ぐらい高いということも調査によってわかっております。かつ、介護や医療というのは、そこを充実すると老後の安心がもたらされて、ある意味で日本で問題になっております高齢者の貯蓄も減る、それで消費も拡大するということも言われております。そういう意味ではやはり、一石二鳥ということで、医療や介護にこれから補正予算の中で重点を置いていく、そして老後の安心をもたらすことによって消費も活性化していくようにしていく、こういう補正予算のあり方が必要ではないかと私は思います。その補正予算というものについて、坂口大臣の御見解をお伺いします。
○坂口国務大臣
補正予算は私の願望を申し上げればぜひお願いをしたい、こう思っておりますけれども、ここは財務大臣なり総理大臣がお決めになることでございますから、これ以上私から申し上げることはできません。ただ、今おっしゃいましたように、これからの雇用対策としてその効率の高いところをぜひ行っていかなければならないというのは私も同感でございます。
ただ、今お挙げになりました医療でありますとか、あるいはまた介護の問題、そこに集中してというお話ございましたが、確かにここはさらに雇用を生む可能性のあるところであるというふうに思っておりますけれども、しかし、医療そのもの、介護そのもの、ここに切り込んでいくと申しますか、ここを大きくしていくということになりますと、医療費あるいは介護に対する費用がさらにまた膨らむということにもなってくるわけでありまして、この医療費や介護費を今後どうするかということとのこれは合意の話でなければならないというふうに思っております。
ただ、医療ですとか介護ですとか、そうした周辺に、いわゆる健康産業という形で、これからさらに大きな費用が待ち受けているであろうということは私も想像いたしておりますし、そうしたことも含めて、全体としてのいわゆる第三次産業としての場をつくり上げていくということには私も賛成でございますし、そうした努力はしなければならないと思っているところでございます。
○山井委員
まさに今、医療費や介護の費用の増大という議論がありましたが、欧米と比べて日本はやはり従来から公共事業が多過ぎるということが言われておりました。そういう意味では、今のばらまきの公共事業の部分を減らして、そしてトータルの負担がふえることなく医療や介護をふやして安心感を高めていくということが、私はこれから政策転換として必要であると思っております。
そこで、高齢・障害者雇用支援機構についてお伺いしたいと思います。
この中で、これから障害者の雇用をふやしていかないとだめなわけですけれども、新障害者プランの策定や支援費制度の導入ということで、在宅重視ということを今厚生労働省さんもおっしゃっておられます。
しかし、幾らこの高齢・障害者雇用支援機構の動きによって、在宅での生活をふやして、そして雇用を創出していっても、福祉と雇用政策との連携というのがまだまだ不十分であると思います。旧労働省、旧厚生省の縦割り行政があると思うんですが、これから、そういう地域での障害者の暮らし、また障害者の雇用をふやしていく面におきまして、雇用政策と障害者福祉の連携、うまくどうやっていくか、そのことについて坂口大臣の御見解をお伺いします。
○坂口国務大臣
雇用に対しまして、先ほども御指摘になりましたように、介護の分野でありますとかあるいは福祉分野におきます雇用が大きな影響を与えることは、私もそのとおりというふうに思っているわけでございます。ただ、先ほど申しましたように、やり方によりましては、国民の皆さん方の御負担をまた大きくするということにもなりかねませんので、そこは注意をしてやらないといけないというふうに思っている次第でございます。
厚生労働省でございますから、雇用の問題とそして福祉の問題と両方、両輪相まって進めていかなければならないわけでございますし、そこは十分に考慮をしていく必要があるというふうに思っております。
介護等の問題につきましては、かなりケアハウスのところも民営化をいたしましたり、あるいはまた特養につきましても、これは特区でございますけれども、民営化を試みるといったようなこともこれから念頭に入れながら、そして規制改革に努めて、そこにより多くの雇用が生まれてくるように私たちも心がけていかなければならないというふうに考えている次第でございます。
○山井委員
今の特区での特養やケアハウスの民営化ですが、私は、質が十分担保できるのかということで少し懸念を持っております。
今の障害者雇用と障害者の福祉についてなんですが、最初述べました不良債権処理に伴う雇用のセーフティーネットの中でぜひともお願いしたいのが、真っ先に今障害者が首を切られているという現状があります。ですから、雇用のセーフティーネットという議論をするときに、その中に障害者の雇用もセーフティーネットで守るという視点を入れていただきたいと思います。ぜひとも、この不況の折に障害者のことを忘れないでいただきたいんですが、坂口大臣、雇用のセーフティーネットの中に障害者雇用というものをしっかり組み込んでいくということについて、御見解、いかがでしょうか。
○坂口国務大臣
障害者が最近雇用の場から除外されているということは、これは御指摘のとおりでございまして、平成十三年度におきましても、前年に比べまして六〇%解雇者の率がアップをしているわけでございます。
そうしたことも踏まえまして、今月の五日にも、経済団体に対しまして、私の名前で雇用の維持及び雇用の場の確保につきまして一層のお願いを申し上げたところでございます。また、全国の労働局長に対しまして、緊急の障害者雇用支援対策を立てるように今命じているところでございまして、公共職業安定所における緊急雇用支援の窓口の設置をとにかく行う、そして雇用の維持及び雇用の場を確保するための事業主団体への要請も、より積極的にひとつ行ってほしいということを今指導しているところでございます。
行政機関の官公需における障害者多数雇用事業所への発注の配慮。いわゆる、たくさん雇っていただいているところに対しまして、さまざまな事業を行っているところがあるというふうに思いますが、公的な機関からそういうところにより積極的に注文をして、そしてそこがやっていけるようにやはり支援をするといったようなことも大事ではないかというふうに思っておりまして、それらのことをあわせて積極的にやる体制を今とっているところでございます。
○山井委員
私の知り合いの障害のある方も、今回の不況でリストラされて困っておられます。また、私の近所のグループホームの住人も四人中二人が今回リストラをされておりますので、そういう視点を忘れないでいただきたいと思います。
続けて、坂口大臣にお伺いします。
このような障害者雇用を支援するのがまさに高齢・障害者雇用支援機構なわけです。独行法人化により中期目標を立てて業績評価も導入することになりますが、このような機構の何が目標になるのでしょうか。
この機構は、障害者の法定雇用率が未達成の企業が払う月五万円の納付金が事業の大きな部分を占めております。つまり、障害者雇用率が上がるほど、財政は逆に厳しくなってしまいます。実際、民間企業の平均障害者雇用率は一・四九%で法定雇用率一・八%を大きく下回り、企業の五六%がこの法定雇用率を満たしていません。皮肉にも、その結果、機構の財政は非常に豊かになってしまっております。
そこで提案したいんですが、独行法人化を機に、この機構の評価基準や中期目標を今後作成される際に、ぜひ、障害者雇用率のアップを数値目標で入れたり、法定雇用率に達していない違反企業を減少させる数値目標を中期目標として入れるべきではないでしょうか。行革というと合理化ということが言われがちですけれども、財政だけではなく、その本来の目的である障害者雇用が進んだかどうかということをきっちりとチェックしていただきたいと思います。坂口大臣、いかがでしょうか。
○坂口国務大臣
高齢・障害者雇用支援機構が財政的にピンチになるぐらいなら結構な話というふうに思っております。むしろそういうふうになることを私は期待しているわけでございますが、残念なるかな、現在はそういう状況になっておりません。
それで、今御指摘をいただきましたように、実雇用率に対する中期目標を立てる、そして実雇用率のアップということを数値目標に掲げるべきではないかというお話でございますが、これは非常に適切な御提言というふうに受けとめさせていただきまして、そういうふうなことをこれから取り入れていきたいと思います。
○山井委員
ありがとうございます。ぜひとも、財政が豊かになったということを中期目標にしないでほしいと思います。
それで、あと少しだけ時間がありますので、石原大臣にどうしても確認したいことがあり、早口になりますが、お伺いします。
先週から、天下りの大臣承認のことについて繰り返し質問してまいりました。私には、大臣承認制により天下りが民間企業に対して減るとは到底思えないのです。私の知人の公務員制度改革を専門とする大学教授から、次のようなメールをいただきました。長いですが、早口で読ませていただきます。
石原大臣の大臣承認制についての答弁を聞いていて、黙っていられずメールを書いています。天下りが減らないのは、人事院の各省庁に対する力関係が弱いからではないでしょうか。人事院はここ数年、公務員の天下り承認をなかなか認めない方向へ規制強化しようとしていました。それで、天下りをさせないと人事が回転しない各省庁から不満が爆発したというのが、今回の公務員制度改革大綱が出てきたいきさつです。多くの省庁からは、大臣承認になれば、やっとうるさい人事院から解放され、ほっとしたはずです。ですから、石原大臣の言うように大臣承認制により天下りを減らすなんてとんでもない、絶対に無理です。民間と公務員との間の人の動きについては、中立性や公平性という観点から、絶対に人事院のような第三者機関の介在が必要です。行政法や行政学の多くの研究者はそう考えています。こんな理不尽な改革案、日本の公務員制度の将来のためにも許してはいけないと思います。この問題は公務員制度の根幹にかかわることですというメールです。
ついては、国家公務員から民間企業への天下りは、二〇〇一年度末で、課長以上が七十人、課長補佐以下が八百二十七人で、合計が八百九十七人、ほぼ九百人です。
そこでお伺いします。
公務員制度改革大綱による大臣承認制を実施することによって、天下りの数は現状の九百人より減るのですか、ふえるのですか。お答えください。石原大臣。
○石原国務大臣
将来のことについて数値でお示しすることは現在はできませんが、承認基準は厳しくさせていただきます。
○山井委員
石原大臣、お答えください。減らすのかふやすのか、これは根幹にかかわる問題です。もう一回答弁してください。
○石原国務大臣
何度も申しますように、年度によってやめる方の人数が違いますし、早期勧奨退職制度の是正をするんですから、それを見なければ人数なんか言えるわけありません。
○山井委員
もし天下りがふえたらバッジを外すということをここで宣言してください。それぐらいの覚悟で改革をやってほしいと思います。大臣。
○石原国務大臣
私が議員であるか議員でないかは、有権者の方がお決めになることです。
○山井委員
まさにそのような、ふえるか減るかもどうかわからない。やはり、そういうふうなことではこの国家公務員制度改革、本当に禍根を残すことになります。今回のことをじっくり、一年、二年後覚えておいていただいて、またそのとき改めて石原大臣の責任のとり方を問いたいと思います。
ありがとうございました。
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