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2002年11月8日 

厚生労働委員会 会議録 

母子寡婦福祉法の改正について
○山井委員

 一時間質問をさせていただきたいと思います。特に、坂口大臣に質問する点も多いんですが、どうかよろしくお願いいたします。

 きょうは、私、この母子寡婦福祉法の改正について質問できますこと、非常に万感胸に迫るものがあります。

 というのは、多少個人的なことになりますが、大学時代、私はバイオの研究をしておりまして、酵母菌の研究をしておったんですが、その私が福祉や政治に関心を持ったきっかけが、学生時代、六年間母子寮でボランティア活動をしておりました。それまで全く福祉には関心を持っておりませんでしたけれども、そこで私が感じたのは、今は母子生活支援施設という名前になっておりますが、そこが駆け込み寺なわけなんですね。

 京都駅から電話があって、今から行ってかくまってもらえますかと言って、子供さんを二人連れて逃げ込んでこられるお母さん。DVの御主人から殴られて顔にあざをつくって、あるいは肋骨にひびを入れて、子供を抱えて駆け込んでこられるお母さん。また、その母子寮で出されたボンカレーを食べて、こんな白い温かい御飯を食べるのは一週間ぶりですと言って涙を流されるお母さん。また、当時、京都の高校進学率は九八%ぐらいでしたけれども、その二%、なかなか高校に行けないという状態がその母子寮のお子さん方にもありました。

 私は、その母子寮でボランティアをするまでは福祉には関心がなかったわけですけれども、そういう本当にお母さんと子供が不幸と幸せのはざまで必死になって自立に向かって生きていられる、そういう姿を見て、こういう問題を何とかしたいなということを切に感じました。それで私は、化学の研究の道から、福祉や政治に関心を持つようになったわけです。
 そういう意味では、まさに今回の法案というのは、そういう命綱である児童扶養手当を減額するということも含んだ非常に問題点の多いものだと思っております。

 また、もう一つ私ごとになりますが、私の妻も小学校のときに父親を亡くしました。今回国会でこういう法案の審議をしているんだと言ったら、それはとんでもない、私はこの児童扶養手当があったから大学まで行くことができたんだということを言っておりました。

 母子世帯九十五万世帯、そして大体そのお子さん方は約二百万人とも言われておりますけれども、その子供たちはこの場に来ることはできません。そういう意味で、そういうお母さん方、またこの法案の影響で人生や進学、そういうものがある意味で悪くなりかねないお子さん方の声を私は代弁させていただきたいというふうに思っております。

 それで、冒頭少しだけ、この母子家庭の自立支援の前に、同じ自立支援ですが、障害者の自立支援について坂口大臣にお聞きしたいと思います。

 来年四月から支援費制度が導入される予定です。私も勉強会を仲間とやったりしましたが、どういう制度なのかさっぱりわからないと。この支援費制度、いいですか悪いですかと私が聞いても、それ以前に、どんな制度なのかがよくわからないという声が非常に強いわけです。具体的な姿が見えない。サービスがふえるのか。選べると言うけれども、実際、サービスがふえなかったら選べないじゃないか。自己負担がふえるだけではないか。そういう心配を多く持っておられます。
 実際、支援費制度になって何が具体的によくなるのか。坂口大臣、お聞かせください。

○坂口国務大臣

 障害者の支援費制度の導入に向けまして、現在さまざまな問題の詰めを行っているところでございます。

 障害者福祉サービスにつきましては、これは、利用者の立場に立ちました制度を構築するために、行政がサービスを決定する従来の措置制度を改めまして、障害者みずからがサービスを選択するいわゆる支援費制度という新しい仕組みへ来年度から移行させたい、こういう考え方でございます。

 今もお話がございましたとおり、選択ができるようになるというふうに言いましても、その選択の幅がなければ何も選択できないではないかというふうに言われますのはそのとおりでございまして、したがいまして、利用者みずからがサービス提供事業者を自由に選択できるようにいたしますためには、その選択を広げていかなければなりません。

 利用者がサービス提供事業者との対等の関係に立ちましてサービス提供を受けることができるようにしますためには、どういう幅を広げていけばいいか。現在までも既にさまざまな仕組みがありますけれども、現在までの仕組みだけでいいのか、さらにこれからその中間的なものですとか新しい質のものをつくっていくのか、そうしたことも含めてこれは考えていかなければならないわけでございますが、現在までありますさまざまな選択肢というものを一層これはふやしていく、ふやさなければ選択できないわけでありますから、そこを行っていきたいというふうに思っております。

 ただこれも、もうかなり選択のできる地域もあるわけでございますが、地域差もかなりあるわけでありまして、そのことをこれは解消していかなければならないというふうに思っております。


○山井委員

 まさに今、地域間格差ということもおっしゃいましたが、それも開きつつあります。

 きょう、資料を三ページお配りさせてもらいました。

 その一ページ目にありますように、基盤整備計画についても、全国平均で、計画がないという都道府県が二五%、四つに一つもあるわけですね。また、私の知り合いの視覚障害の友達からもメールが来ましたが、説明会が今まで一回しかない、自分は仕事があって行けなかった、困ったからテープを聞いたけれども、そのテープを聞いてもよくわからない。実際、説明する方が未定という言葉を連発されているというわけですね。

 本来、福祉をよくするはずの支援費制度であるはずですのに、逆にそれが不安を与えているという現状があるわけです。そういう意味では、基盤整備のバックアップ、地域間格差が開かないように、さらにこういう説明会や広報の周知というのをお願いしたいと思います。これは要望にとどめさせていただきますが。

 もう一点、坂口大臣にこの支援費制度についてお伺いしたいと思います。

 二ページ目のこの資料を見てください。

 これは、私が本当に尊敬するジャーナリストであり研究者である大阪大学の大熊由紀子教授からいただいた資料であります。ここに、日本の障害者福祉の問題点がこの一枚のグラフに象徴されていると思います。大臣、副大臣、これを見てください。

 七〇年代、日本は知的障害者の入所数が少なかった。それで八〇年代、ふやしていったわけですね。ところが、そのころにはもう施設入所というよりも地域福祉だということで世界の流れは転換していた。ところが、日本だけが逆行していったわけです。そういう意味では、坂口大臣にお伺いしたいのですが、この支援費制度において、今までの施設に余りにも偏り過ぎていた福祉を地域に移行させていく、そういう方向性を持っておられるのか。

 ここに本もありますけれども、「グループホームからの出発(たびだち)」という本や「ふつうの場所でふつうの暮らしを コロニー雲仙の挑戦」という本もありますが、こういうふうに、やはり地域で暮らす時代にしていくその後押しが支援費制度だということでないとだめだと思いますが、坂口大臣、いかがでしょうか。

○坂口国務大臣

 それは御指摘のとおりだと私も思っておりますし、今般もそういうふうにしたいと思っております。やはり、いわゆる施設入所というのが何か金科玉条のように言われた時代があったわけでありますけれども、そうではなくて、家庭に戻り、地域に戻っていただいて生活をしていただける、そういう体制をつくり上げていかなければならないわけであります。

 したがいまして、施設におきましても一定の計画を立てていただいて、そして、地域に帰っていただけるように、あるいはまた家庭に帰っていただけるようにする。そうしたことをおやりいただくときには特別にバックアップをしていくとか、そうしたこともやりたいというふうに思っておりまして、地域あるいはまた、地域という言葉が即在宅ということではないかもしれませんけれども、しかしできる限り在宅で、そして生活をしていただけるような環境というものを整えていかなければならない。

 そのときにやはり大事なことは、これは財政的な問題ではなくて、やはり障害者に対する国民の理解というものも大事でありまして、その理解がなければ、なかなかそこは実現できない難しい問題もあるというふうに思っております。やはり、国民が障害者に対する正しい認識を持って、そして、やはり支えなければならないという気持ちをみんなが持つということが大事でありまして、その辺の啓蒙ということも大事だというふうに思っております。


○山井委員

 今、地域の受け皿、意識ということもありましたが、まさにこのグラフを見ていると、日本にはそういうものも欧米に比べて少ないのかという気もしますけれども、そのことを啓蒙していくこと、そのこと自体も行政の重要な仕事でありますので、ある意味では、その地域の理解がないというのが言いわけにならないように、何としても方向転換をしていただきたいと思いますし、介護保険と違いまして、やはり予算が十分についていない。老人福祉、介護保険の場合は予算もかなりふえたわけですね。そういう意味では、選べるということが絵にかいたもちにならないように、しっかりと予算的な裏づけもこれからしていっていただきたいと思います。

 それでは、母子の問題に移らせていただきます。

 今回、母子家庭の方々の話を聞いてみますと、この法改正というのは逆に自立に逆行するのではないか、要は、手当の減額によって生活保護がふえるのではないかという懸念がふえております。

 本来、児童扶養手当をもらいながらも自立している方の方が生活保護の方よりも楽でないとおかしいわけですね。しかし、今回の改正で、もし五年後に手当も大幅に減額をされたとしたら、逆に、生活保護でない方の方が苦しくなりかねない。そういうふうな逆転現象であるわけで、そもそも生活保護は最後の手段であるわけですから、そういう意味では、自立している方が苦しくなって生活保護の方がまだましだということにならないようにせねばならないと思いますが、この点、坂口大臣、いかがでしょうか。

○坂口国務大臣

 それも御指摘のとおりというふうに思います。そうあってはならない。

 先ほどからお話ございますように、いわゆる母子家庭という立場によって起こるハンディキャップ、そこをどうなくしていくかということが一番大事でございまして、それを取り除くことによって、そして母子家庭のお母さん方が自由に働いていただく、あるいは子育てもしていただけるという状況が起こるわけでありますから、そこをやらなければ、今おっしゃいましたように、生活保護にならざるを得ないというようなことも起こってくるわけでございます。

 先ほどから議論になっておりますように、年間所得二百二十九万というのは、いかにしろそれは低過ぎる、そこは日本の社会の中のシステムがそのハンディキャップを克服していないというふうに私は理解をいたしております。一番政治が力を入れなければならないのは、格差のあります、ハンディキャップのありますそのシステムをどう変えるかというところに最大の課題があると思っている次第でございます。


○山井委員

 昨年末の調査によりますと、母子世帯の人々の収入は三年前より減って、失業率も、三年前の九%から一四%に母子世帯の中でふえている。その中では、八七%の方が生活意欲をなくしたりすることがあると答えられて、二六%の方、何と四人に一人のお母さんが死にたいと考えたこともあるという、こういう本当に厳しいデータも出ております。そういう意味では、生活保護も受けられない、また本当にぎりぎりの児童扶養手当さえ削られるということにならないようにしていただきたいと思います。

 そこで、今回は、この法改正の趣旨は、手当を削って就労支援へと、ある意味で方向性としたらなるほどなと思える部分がないでもありません。しかし問題は、この就労支援が本当に実効力を持つかということなんです。

 実際、NPOの団体の方々の話を聞くと、最近はもう研修会ばかり行って仕事が見つからないお母さんがふえている、あるいは、資格を取って、資格をいっぱい取って仕事が見つからないお母さんもふえている、そういうことを聞いております。ですから、今回の就労支援策によって、結果的にはなかなか、スキルアップや、あるいは正職員になれない、あるいは職につけないというふうなことでは、結局はやはり手当を削られただけになったということになってしまうわけです。

 そのような意味では、就労支援は、国や地方団体などの公的機関等において、母子家庭のお母さん方に対する一定の雇用率の義務づけや、母子福祉団体等に対する事業の優先発注の義務づけなども決めて、公的責任で考えていく必要があると思いますが、そのあたり、実効性のある就労支援策ということで具体的にいかがお考えでしょうか。

○坂口国務大臣

 お母さん方のお仕事が少なくなってきている、現在の経済状況を考えますとそれは事実だろうというふうに私も思います。先ほど出ました障害者の雇用の問題も大変悪くなってきております。これはトータルでその辺のところは考えなければならない。とりわけ、格差のある立場の皆さん方に対して、それをまず保護するということが大事だろうというふうに思っております。

 したがいまして、現在、トータルで申しますと、リストラ等が行われますとその企業の株価が上がるといったような状況がございます。しかし、それは証券の話でございまして、そのことをもって、同じような考え方で施策を国が行っては、あるいはまた地方自治体が行ってはならないというふうに思っておりまして、もう少しやはり雇用を重視した社会をつくり上げていかなければならないわけでありますから、その中で、この母子寡婦の問題もどのように位置づけていくかということをやらなければならない。

 そういう意味で、先日も申しましたけれども、省庁におきましても、あるいはまた地方自治体におきましても、率先してやはり雇い入れをしていくということが必要だというふうに思っておりますので、厚生労働省に対しましても、各省庁に先駆けて厚生労働省がその手本を示すということが大事だということを先日来言っているところでございます。
 厚生労働省と申しましても、これは本省だけの話ではありませんで、全国にたくさんの厚生労働省関係の職場というのはあるわけでございますから、そうしたところにできる限り雇用が可能になるようにしなければならないというふうに思っている次第でございます。


○山井委員

 今、やはり公が率先してという御答弁をいただきましたが、私も、先日ある母子家庭の方々の勉強会に参加したんですが、その中でも、もう本当にここ一、二年でばたばたと首を切られておられます。それで、やはり安定して残っているのは公的雇用の方なんですね。

 だから、そういう意味では、公的な機関が率先するということで、ぜひともお願いしたいですし、今大臣の御答弁の中に、リストラという言葉がありました。確かにそうです。企業はリストラができる。しかし、日本の社会が母子家庭の方々をリストラするということはあってはならないことなんですね。ですから、先ほど金田議員の中でも、北風ではなくて南風と。やはり母子家庭の方々との格差を狭めるような、そういう政治をしていかねばならない。

 次に、国土交通省の審議官の方にお伺いします。

 また高齢者の住宅支援策についてで、公営住宅についてはもう附帯決議に入っておりますのでお聞きしませんが、高齢者の住宅支援策と似たようなことがこの母子家庭の方にもできないか。つまり、高齢者居住法に基づく高齢者居住支援センターによる家賃債務保証と同様の制度を母子家庭にも創設すべきじゃないか。

 実際、母子家庭の方々は、なかなか保証人もいないということで、民間の住宅が借りられない、そういうふうなことがあるわけです。これについて、国土交通省さんは、民間の債務保証会社やそういうところでできるということをおっしゃっているわけですが、実際、現場からは保証人がいなくて借りられないという悲鳴が上がっているわけです。
 そのあたり、繰り返しになりますが、高齢者の住宅支援策と同様の家賃債務保証の制度を母子家庭にも創設すべきではないかという点について、答弁をお願いします。

○小神政府参考人

 今先生からお尋ねのございました高齢者の方々に対する債務保証の制度、これは昨年から高齢者居住法に基づきまして実施いたしております。それに対しまして、母子世帯に対する債務保証について同じような仕組みでやれないかというお尋ねでございますけれども、今委員も御指摘ありましたように、民間の保証会社で債務保証ということを実施しております。これにつきましても、その実績は着実に今増加、ふえてきているというような実態もございます。

 こういった状態を踏まえて、私どもといたしましては、公営住宅の優先入居の制度の活用状況も勘案しながら、これから必要な策についても検討をしてまいりたい、かように考えております。


○山井委員

 民間会社による家賃債務保証も伸びてきているということなんですが、実際には、子供がいるからとか所得が少ないからとか、保証人がないからということで、いろいろな理由で、その民間の会社でもいろいろな制限、条件があるわけで、はじかれているケースが多いわけですね。

 そのあたりで、ぜひともこれは御検討いただきたいんですが、民間会社での家賃債務保証が母子家庭についてもふえているということですけれども、ただ、まだまだ足りないと思いますので、もう一歩、やはり足りないという現状であればそのことも検討するということを、もう一歩踏み込んで御答弁願えないでしょうか。これは非常に重要な点ですので。

○山井委員

 今もお答え申し上げましたように、母子世帯の方々に対する居住の安定、これについては非常に重要な課題だというふうに私どもも認識しております。

 そういった認識のもとに、公営住宅の優先入居とかいろいろな手当てが行われているところでございますけれども、今の民間の賃貸住宅についての家賃の保証システム、これを高齢者の方々と同様にという御指摘でございますけれども、実際には、今先生からもお話ありましたけれども、民間の家主の方々が、いろいろな方々を事実上敬遠している。高齢者の方々ですとか障害者の方々とかあるいは多子世帯の方々とか、そういった方々を敬遠する傾向にございます。特に敬遠する率が高いのは高齢者の方々でございまして、特にひとりの高齢者というのが一番多いかと思います。

 それに比べますと、母子世帯につきましては、高齢者の方々と比較いたしてみますと、民間の調査でございますけれども、十分の一ぐらいの状態にはございます。高齢者を敬遠する率が十倍ぐらい高いというような実態もあります。

 もちろん、そういった実態があるからもうやらなくてもいいということを私ども考えているわけではありませんで、そういった実態も踏まえながら、かつ今申し上げましたように公営住宅の入居の状況等も見ながら、今後検討してまいりたいと考えております。


○山井委員

 離婚直後、あるいはDVの被害に遭ったりして逃げ出してきた、そういうふうな直後というのは、お金もありませんし、本当に安心して住める場所を探すのは非常に難しいことですので、ぜひとも御検討いただきたいと思います。

 それでは次、坂口大臣にお伺いしたいと思いますが、児童扶養手当の申請のときや、あるいは減額するのかどうかという、その個々に対する五年後の見直しのときの調査、そこで、窓口で、窓口ハラスメントと言われる被害に遭っているお母さん方が非常に多いんです。そこのプライバシーの尊重のことについてお伺いしたいんです。

 どういうことがあるかというと、養育費をもらっていたら受給できないというふうに誤って答えた窓口とか、あんたみたいな未婚の母は受けられないというふうなことを言われた事例。あるいは、レポート用紙三枚に離婚した経緯を書いて持ってこいと言われたケースとか、なぜ離婚したのか、あんたの辛抱が足らぬかったんやないかというふうに窓口で説教されたケースですとか。やはり、本当に命綱を求めて窓口に行かれる方に対して、こういうふうな対応というのは非常に問題が多いと思います。逆に、人権侵害とも言えると思います。

 このような点について、はっきり言って、窓口の人一人一人は離婚に対する考え方あるいは家族に対する考え方はいろいろあろうかと思いますが、そんなところで説教をされたり、ねちねちと根掘り葉掘り聞かれても、やはりそれは大きな心理的な圧迫になるわけで、もちろん不正受給は防がねばなりません。しかし、今言いましたような余りにも行き過ぎているケースが多いわけですから、窓口でも法律に準拠した対応をすべきであって、プライバシーに最大限に配慮すべきだと思いますが、坂口大臣いかがでしょうか。

○坂口国務大臣

 きのうも、中津川先生からでしたか、不正請求もかなりあって、それはそれできちっとやらなければならないというお話がございました。それはそれでやらなければならないというふうに思いますが、今お話がありますようなそんな行き過ぎたことをお聞きするということも、またこれは母子家庭に対して甚だ失礼なことでございまして、そうしたことのないようにやはりしていかなければなりません。

 それは、地方自治体の担当者の皆さん方にも我々の方もそれは言わなきゃいけないのかもしれませんけれども、そこは、国がそういうことを言うとかどうとかということの前に、やはり公務員として、国民の皆さん、そして地域の市町村の皆さん方に接する心構えとして持っていただかなければならない問題だというふうに思っております。

 最近、この問題に限らず、やはり窓口におけるそうした心ない言葉というのが大変大きな問題になっております。それは医療の現場におきましても同じことでございまして、そうしたことが堂々と語られるというようなことは非常に大きな傷をその人に与えることになるわけでございますし、しかし、必要な聞くべきことは聞かなければならない、そこのところをよくわきまえてやるように、私たちもそれは申しますけれども、そこはしかし公務員としての自覚の問題でもあるというふうに思っております。


○山井委員

 そういうひどい対応によって、受けられるはずの児童扶養手当を受けられなかった、それによって本当にもう家庭的にも崩壊してしまったというケースが起こらないようにぜひともお願いしたいと思います。
 それに関連して、坂口大臣にもう一つお伺いしたいんですけれども、今回の条文の十四条の中に、受給者が、正当な理由がなくて、求職活動そのほか厚生労働省令で定める自立を図るための活動をしなかったときには支給しないという条項があるわけなんですけれども、これについて、やはり削除すべきではないか。

 というのは、これはどのようにして調査を行うのか、それで、母子家庭の生活状況を丸裸にするような運用によって、勤労意欲、生活意欲、人間的な誇りを奪いかねないというふうに思うわけですが、この求職活動の条項、これについて削除ということ、いかがでしょうか。もしかしたら事前に言っていなかったかもしれませんが、御見解をお聞かせ願いたいと思います。

○鴨下副大臣 事前に伺っていなかったものですけれども、十四条のことにつきましては、昨日もお答えしましたように、特別な、まれなケースとして、就職活動等、それからスキルアップのための講習会等も含めて、そういう努力をなされていないような方について、特別まれな場合だけ考えるというようなことでありまして、一般的にはそういうようなことはできるだけないように努めるということでございます。


○山井委員

 まさにまれなケースという御答弁でしたけれども、ぜひともそうしていただかないと、頑張っているのか頑張っているのかということで問い詰めることは、逆に自立心を引き立たせることにはならないわけですね。だから、そういう意味では、まさにこれは母子家庭を励ますための手当なわけですから、その手当をもらう、あるいはその減額のときの対応で、そういう母子家庭が働く意欲や生きる意欲を失うことがあってはならないと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 次に、坂口大臣に、母子支援施設についてお伺いしたいと思います。

 これはまさに私が学生時代ボランティアをしていたところでありまして、私のライフワークであるんですが、現在、母子支援施設が二百四十六あります。地方都市ではニーズが減っている母子生活支援施設もありますが、逆に都市部では、DVの被害者もふえて、非常に数が足りないということもあります。これについて、ふやすべきだと思いますが、いかがでしょうか。

 また、それと、サテライト生活支援施設というのが来年度予算の中で十六カ所入っていますが、これもそういうニーズの高まりにおいては十六カ所では少ないと思います。これももっとふやすべきではないかと思いますが、大臣の御見解をお願いします。

○坂口国務大臣

 母子生活支援施設といいますのは、今さらもう申し上げるまでもありませんけれども、母子家庭のお母さんやそのお子さんを入所させて、これらを保護するということにあるわけでありまして、自立を促進するためにその生活を支援することを目的としているわけです。

 サテライト型の母子生活支援施設は、離婚等によりまして一時的に生活上の困難を抱える母子世帯を対象に、既存の住宅施設等を活用いたしまして、通常の地域生活が可能になるようにすることを目的としたいわゆるグループホームでございます。

 これは、こうした問題も地域格差は多分あるんだろうと思いますし、今お話ございましたように、やはり地方の方は余っていると申しますか、あいている。しかし、人口過密地帯におきましては、やはり足りないというところも率直に言ってあるわけでございます。そうした格差をできるだけなくしていくということが大事でございまして、そうした意味で、我々も努めたいというふうに思っておりますが、しかし、財源の制限もありますので、一遍にというわけにはまいりませんけれども、できるだけ足らないところを中心にして早く格差をなくしていくようにしたいというふうに思っております。


○山井委員

 足りないところを中心に格差をなくすということですが、私、母子寮でボランティアをしていて痛感したんですが、やはりDVの被害の方とか、本当に深刻なんですね。例えば、暴力を振るう夫が追いかけてくるからといって、名札もはっきり言って偽名になっている。酒に酔っぱらった夫が子供に会わせろといってどなり込んでくる。あるいは、子供が住んでいる部屋に、母子生活支援施設の外から、別れた夫が石を投げ込んでくる。

 私は一番ショックを受けましたのは、暴力を振るう夫が包丁を持ってやってきた、子供に会わせろと言ってきた。それで、そこの職員さんが、こんなもの、家に行かれたら大変なことになるということで立ちはだかって、女性職員さんがその夫を押しとどめた。その瞬間、刺されたわけですね。それでも、これじゃ大変だということで、血を流しながらも、その女性職員さんは電話をして、お父ちゃんがどなり込んでくるで、絶対戸をあけたらあかんで、殺されるでといって守っている。そういう、本当にこれは大変な世界。本当に駆け込み寺として重要な位置づけで、それが今都市部で不足しているわけです。

 今、格差を、足りないところを埋めていくということですが、DV防止法によってそういう問題が本当に顕在化して、安心して子供と一緒に住める場所がないという女性が多いわけです。女性一人だったらどこでも逃げられるんです。子供を抱えているから逃げられないんですよね。

 そういう点に関して、どうでしょうか、母子生活支援施設、都市部で足りないところはふやす方向で検討するとか、そういう御答弁、いかがでしょうか。

○坂口国務大臣

 先ほども申しましたとおり、足りないところにつきましてはこれはもうふやしていかなければなりませんので、それは十分に配慮したいと思っております。

○山井委員

 ありがとうございます。

 それで、この母子生活支援施設、私も過去二十年間接しておりますけれども、変わってきております。最近の傾向は、障害者がふえてきているんですね。例えば、私の知り合いのある施設では、二十世帯入っていて、その二十世帯の中、親が知的障害者がお二人、子供が知的障害者が四人、そして親が精神疾患を患っている方が二人、子供が精神疾患を患っている方が三人。要は、ほぼ半分が親なりお子さんが知的障害や精神疾患に苦しんでいる。ところが、こういう方は普通の方よりも当然ある意味でお世話に手がかかるということで、母子生活支援施設ではそういう方を受け切れないという部分もあります。

 では、なぜこういうことになるのかというと、一般の施設に行くと、子供は知的障害だから預かってもらっても、お母さんと子供が離れ離れになってしまうわけですね。お母さんが知的障害で障害者の施設に入っちゃったら、子供がまず養護施設に行かないとだめだ。これは国際家族年のモットーでもあります母子一体という原則に反するわけですね、離れ離れになったら。

 そういう意味では、これからは、ダブルハンディキャップという障害のある母子の方々をどうするのかというのも現に重要な課題になってきていますが、障害者の加算というものを母子生活支援施設に検討するということ、坂口大臣、いかがでしょうか。それがないがゆえに、なかなかそれは受けられないというケースがあるわけですね。そのあたり、いかがでしょうか。

○坂口国務大臣

 最近、障害者の皆さん方も結婚をされて、そして立派におやりになるケースもふえてきておりますし、普通の生活ができる状況になってきたということは、ある意味ではこれは非常に前進してきたというふうに思っております。しかし、その皆さん方の生活が全部うまくいくかといえば、今御指摘になりましたようなことも当然のことながら生まれてくるわけでございますので、これは母子家庭の問題と障害者の問題と両面にわたる問題でございます。

 これを母子寡婦の範疇でとらえていくのか、それとも障害者の来年やりますその中で適切に対応をしていくのか。ややもいたしますとその谷間になる可能性がありますから、谷間にならないように、双方それをどういうふうにしていくかということをよく連携して、そうした人のためにも配慮していくということをしていきたいと思っております。


○山井委員

 まさにこれは縦割り行政のはざまで、それは障害福祉課の問題だとかということで、どうしても立ちおくれがちですので、よろしくお願いしたいと思います。

 私、ショックを受けましたのは、学生時代ボランティアをして、当時二十二ぐらいでしたけれども、二十のお母さんが、私より年下のお母さんが赤ちゃんを抱いて入所してこられました。そのお母さんは知的障害の方でした。なぜこういうことになったのかということで聞いてみたら、言ったらなんですけれども、悪い男にだまされたわけですね。それで妊娠したのがわかったら男が逃げちゃった。お母さんは知的障害、子供が生まれてきた、育てられないわけなんですね。やはりこういうケースも本当に実際あるわけですので、この障害者加算のことをぜひとも御検討いただきたいと思います。

 次に、鴨下副大臣にお伺いしたいと思います。

 今回、母子家庭等日常支援事業というものの充実というのがまたうたわれておりますが、現状は、悲しいかな、余り普及していないんですね、御存じだと思いますが。年間一万四千三百件しか使われていない。これは全国ですから、九十五万人母子世帯がいて一万四千三百件ですから、使っていられる人数でいうと、もうほとんど利用されていないと言えるぐらい残念ながら少ないんじゃないか。

 もちろん母子寡婦福祉団体の方々は精いっぱい頑張っておられると思うんですが、いろいろな規制の中で、なかなか努力にもかかわらずふえていないんだとは思うんですが、その理由は、用途が決まっているとか、使い勝手が悪い、風邪や熱で急に利用したいと思ってもだめで、本当にしんどいときに頼めないとか、そういうこともあるんです。
 今回、母子家庭等日常支援事業というふうに名前も変えて普及されるに当たって、従来の団体であった母子寡婦福祉団体だけではなく、今はもう介護保険に関係した介護事業者というのは町の至るところにあるわけで、近所だったら使いやすいという声が非常にやはり強いわけですね。そういうところのホームヘルパーも利用できるようにすべきではないかと思いますが、鴨下副大臣、いかがでしょうか。

○鴨下副大臣

 ただいまお話がありましたように、これからはより使い勝手のいい制度としてやっていこうじゃないか、こういうような方向ではあります。

 日常生活支援事業そのものは、母子家庭のお母さんが例えば病気になったとか、それから、さまざまな就業支援の講習会等で勉強に行く、こういうようなときに一時的に保育等のサービスをしていこう、こういうようなことでございますけれども、先生おっしゃるように、今まではこれを事業として都道府県がやっていたわけでありますけれども、今回の見直しとして、より身近に利用できやすいようにということで、市町村を補助対象としてやっていこうじゃないか、こういうようなことでございます。

 またさらに、本事業を積極的に実施していくために、保育については、例えば保育を行ってくれている人、ヘルパーさんだとかそういうところの自宅、もしくは母親が就業支援等の講習会に行っているときはその講習会場、そういうところでも実施できるように検討しようじゃないか、こういうようなことでございます。

 さらに、これについては地域の母子寡婦福祉団体に委託してやっていただいているわけでありますけれども、それに加えまして、先生がおっしゃっているように、NPO団体もしくは介護保険の事業者についても活用が図られるように努力してまいりたい、このように考えます。

○山井委員

 ありがとうございます。それによって本当に使い勝手のいい制度になっていくと思います。

 母子世帯の方々の平均収入は、一般世帯の三分の一、二百三十万円。それを唯一補うのが児童扶養手当でありまして、それを切ればますます格差は広がっていく、進学にも響くということであります。
 ある母子生活支援施設の方に聞いたんですけれども、過去の高校生の進学について聞いたら、やはり私立はほとんど行けないということ。そして、例えば京都になりますけれども、公立はなかなか難しい面もあったりして、逆に公立に行けなかったら私学に行くという選択肢があるんですけれども、母子生活支援施設の子供はお金がないからそこにも行けない、だから最近では半数ぐらいの高校生が定時制に通っているということもあります。

 そういう意味では、今回の制度改革というのは、お母さんのみならず、昨日赤石参考人さんもおっしゃっておられましたけれども、子供の未来、子供の進学というものに非常に影響を及ぼされる。例えば、本当に所得の低い家庭の子供が医学部に行きたいとか弁護士になりたいとかそう思ったときに、ますますそういう夢も遠ざかってしまうのではないかと思います。

 そういう中で坂口大臣にお伺いしたいんですが、一番重要な、先ほど金田議員からも質問がありました児童扶養手当の一部支給停止のことなんですが、児童扶養手当を支給開始から五年後に一部支給停止をするということ自体に重大な問題意識を私は持っておりまして、五年後の一部停止という部分を法案から削除すべきだと私は思います。なぜ削除しないのか、できないのか、明らかにしてください。

○坂口国務大臣

 五年後の一部支給停止は、現行のシステムのままでありますならば、離婚の増大等により支給者が累増することになりまして、給付制度全体を不安定なものとしかねない状況にあることにかんがみまして、自立を一層促すことが制度の本旨であることから行うものであります。このことをぜひ御了解いただきたいと存じます。

 先ほどからも述べておりますように、やはり自立をいかにして支援するか、そして格差をいかになくしていくか。母子家庭のお母さん方をすべて弱者という形でとらえるのは私はどうかというふうに思っておりますが、そうではなくて、やはりその格差をなくして、そして堂々と生きていただけるような体制をどうつくり上げていくかということが大事でありまして、そのことに重大な責任を持った法律であると思っている次第でございます。


○山井委員

 削除ができないということであるならば、減額率がどうなっているということが母子家庭にとって極めて重大な影響を与えることになります。

 私としては、政令で定めることになる減額率については、母子家庭の就労支援策がどのように実効を上げているか、あるいは就労することによる母子家庭の所得の変化、さらには養育費の確保の状況がどのようになっているのかということ抜きでは決定できないと考えます。ついては、関係国会議員を含め、実際に影響が出る関係者からあらかじめ十分に意見を聞き、それを反映できるようにすることが不可欠であると考えますが、いかがでしょうか。

○坂口国務大臣

 五年後の一部支給停止にかかわります具体的な減額率を定める政令は、法施行後における子育て、生活支援策、就労支援策、それから養育費の確保策、経済的支援策の進展状況及び離婚の状況などを十分踏まえて制定したいと考えております。また、その際には、先生の御指摘も踏まえつつ、NPO法人を含む母子福祉団体など、幅広い関係者の意見を十分お伺いすることにしたいと考えております。


○山井委員

 ぜひとも五年後の見直しのときに、国会での議論、また母子福祉団体、NPO団体の方も含めて、あらかじめ幅広い意見を聞いた上で、その上で減額をどうするのかということを再度議論していただきたいと思います。実際、ますます今より不況になって、失業率も上がって、またはパートの方々の賃金も上がっていないかもしれません。そのあたり、本当に五年後のことはわからないわけですから、慎重に、十分に関係者の声を聞いて決めていただきたいと思います。

 次に、坂口大臣、養育費のことについてお伺いしたいと思います。

 昨日、榊原弁護士さん、参考人からも話がありましたが、養育費の八割を所得にみなすということであります。これについては、養育費の取り立ての意欲をそぐのではないかと思います。

 特に、私が直接接したことがありますDV被害者のお母さん方は、もう一日も早く離婚をしたい、夫と話をするのも怖い、そういう方々も非常に多いわけです。そういう方々からもこれからは養育費をきっちり取り立てようという流れになっているわけですが、その養育費の八割が所得にみなされるのならば、それだったらもう、ただでさえ夫と話をするの嫌なんだから、養育費の取り立てや取り決めをするのをやめておこうということになりかねないと思うんですね。

 そういう意味では、養育費を払うのが当然という今の流れに、養育費の八割を所得にみなすというのは逆行していると思います。ゼロがいいとは思いませんが、八割ではなく半分とか、そういうやり方もあるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○坂口国務大臣

 養育費の問題を私たちも議論をいたしましたが、法律でこの養育費の問題もう少し厳しくしてはどうかという意見も一方であったわけでございますけれども、しかし、今もお話ございましたように、養育費を法的に決めるということになりますと、それを義務にしてしまいますと、かえって離婚ができにくくなってしまうというような御意見も一方でございまして、私たちもここは、法律をつくりますときに非常に悩んだところでございます。

 そういうさまざまな環境を踏まえまして、しかし、養育費というのはどうしてもやはり、別れましても、離婚をしましても、男性に責任のある問題だというふうに思っております。逆の場合もあるかもしれませんけれども、しかし、ほとんどの場合には男性だというふうに思いますが、男性がそれは支払う義務がある。だから、できるだけこれを担保していくというふうにしなければいけない。担保したら、それを全体の中に入れてしまうのであれば、かえって、もらっても同じことになるではないかという御議論も確かにありますけれども、しかし、基本はやはりそういうふうにしていただくということにしないといけない。

 全部を見るというのはあれですから八割にしたわけでございますが、八割がいいかどうかという議論がまた出るわけでございますけれども、一応こういうふうに現在のところ決めさせていただいたということでございまして、我々も、御意見は十分にお聞かせをいただきながら、今後のこともまた考えていきたいと思っております。


○山井委員

 ありがとうございます。これを八割でやってみて、それで、やはりこれが養育費取り立ての逆に抑制効果になってしまったということだったら、ぜひとも早急に見直していただきたいと思います。

 ちょっと最初の支援費の質問に戻らせていただきます。

 市町村の支援費制度についての説明会の開催とか周知徹底、また基盤整備の計画、市町村の格差をなくす、こういうことについて、先ほど要望でとどめましたが、これは事前通告しておりますので御答弁あるかと思いますので、その点についていかがでしょうか。坂口大臣、お願いいたします。

○坂口国務大臣

 この支援費につきましては大変重要でございますので、ここは都道府県あるいは市町村ともよく相談をいたしまして、我々も十分に対応できるようにしていきたいというふうに思っております。具体的な問題につきましてはこれから煮詰めなければならないところもございますけれども、御趣旨に添うようにしたいと思っております。


○山井委員

 ぜひともお願いしたいと思います。

 介護保険の導入のときに比べて、こんなことを言ったら怒られるかもしれませんが、厚生労働省のPR活動というか、こういういい部分になるんだというようなこともきっちりわかっておりませんし、やはり支援費制度が入ってよくなったということにならないと入れる理由が全くないわけですから、負担増だけが残ったということには絶対にならないようにしていただきたいと思います。

 それで次に、国土交通省の小神審議官にもう一度お伺いしたいんです。

 この資料の中にもありますように、今、公営住宅、母子世帯の方が一六・六%なんですね。持ち家が二六・六%。ほかの年収二百万円未満の方々の持ち家の四二・九%に比べても、持ち家は非常に比率は低いという、こういう厳しい状況が出ているわけです。

 先ほどの答弁の中で、公営住宅への優先入居というか、そういうことについても進めていきたいということだったんですが、具体的なことをお聞きしますが、今、一六・六%なんですよね。これを今後上げようと考えておられるわけですね。そのことを御答弁お願いしたいと思います。

○小神政府参考人

 公営住宅の入居の仕組みでございますけれども、これは法律で、一般に公募するということになっています。ところが、母子世帯でございますとか、あるいは先ほどもちょっと触れましたけれども、高齢者の方々、障害者の方々、こういった方々については住宅の困窮する状況が非常に高いということで、優先入居というような取り扱いをしております。

 これにつきましては、事業主体、管理主体でございます地方公共団体の判断によりまして、特別の枠をつくるとか、あるいは倍率を非常に高めるとか、そういったやり方がございます。そういったことで、低所得者の方々の中でも、一般の方々よりも母子家庭の方々については非常に高い優先度合いで対応しております。

 これにつきまして、それぞれの事業主体、管理主体の公共団体の判断もございますけれども、先ほども申し上げましたように、母子世帯の方々についての居住の安定というのは非常に重要だという認識を持っておりますので、今後とも、地方公共団体とも連携を図りながら、この優先入居の制度について積極的に活用を図っていきたいというふうに考えております。

 具体的に、率をどのぐらいに持っていくかというところにつきましては、地方公共団体の判断ということもありますので、私どもとしても、母子世帯の方々が公営住宅に優先入居できちっと対応できる、全員の方々というのはもちろんなかなか、ストックの数もありますので難しいかもしれませんけれども、公共団体と連携を図りながら推進してまいりたいと考えております。


○山井委員

 ぜひともこの一六・六%がアップするようにお願いしたいと思います。

 また坂口大臣に一つ質問を戻らせていただきますが、先ほどサテライト型の生活支援施設を十六カ所、来年度やっていくということだったんですが、全国で十六カ所というと、今DVの被害も出ている中で、非常に少ないということが一つ。

 それと、母子生活支援施設は、それこそ晩も職員さんもいるわけですから、DVのケースとか夫が追いかけてくるケースとかに対応できるわけですけれども、サテライト型の場合は、どっちかというと軽微な形でないと、昼間しかスタッフがいないわけですからね。先ほど言ったような、どなり込んできたケースとか、対応しようがないわけですから、そういう意味では、サテライト型をふやしたからといって、母子生活支援施設をふやさなくてもいいということにはならないと思います。
 そういう意味で、そういうことも指摘しておきたいんですが、サテライト生活支援施設、十六カ所ということですが、今後もっとふやしていくという、そのようなサテライト生活支援施設に対するお考えをお聞かせ願いたいと思います。

○坂口国務大臣

 母子世帯の方々の環境もいろいろでございます。したがいまして、サテライト型のところが適している方もおみえでございましょうし、そうではなくて、やはり共同生活をしていただく、先ほどおっしゃったように、夫からの暴力を防がなければならないというような立場の人たちもおみえでございましょう。サテライト型はサテライト型でふやしまして、それに適する人にそこに入っていただく、そして、そうでない人に対しましては共同で生活をしていただくような場所に入っていただくといったようなことにしていかなければいけないというふうに思っております。

 トータルで足りないという地域は確かにあるわけでございますから、そのところにつきましては、これからも十分配慮をしていきたいというふうに思っております。


○山井委員

 私、スウェーデンに二年間留学しておりましたが、そのときに、福祉国家とは何かという議論で、シングルマザーが安心して子供を育てていける社会、それが福祉国家だということをあるスウェーデンの女性から聞いたことがあります。そういう意味では、この日本という国で今の不況の直撃を受けているのは母子家庭の方々であります。

 昨日、参考人質疑がありました。坂口大臣、私は思うのですけれども、本来なら、九十五万人の母子世帯ということで、お母さんだけじゃなくて、本当だったらそこにお子さんも参考人に呼ぶべきだと私は思うんですね。お母さん以上に子供の方がこの法案の改正によって人生が変わる可能性があるわけですから。しかし、子供さんたちは参考人にも来られない、選挙にも行けない、いわんや政治献金もできない。

 私が政治を志した一つの原点は、六年間母子寮でボランティアする中で、結局、組織や献金で政治が動いている、あるいは、ここを見渡してもほとんど、残念ながら、男性の国会議員あるいは男性の厚生労働省の役人さんが多い。岩田局長さんなんかはすばらしいと思いますが。そういう中でどうしても、子供を抱えて生き延びるというお母さんの気持ちというのがなかなか政策に反映されない。そういう意味では、何としてもこの今回の法改正において子供が苦しまないようにしていただきたいと思います。

 今回、傍聴に来られない、あるいはこういう質問を聞くことができない二百万人にも及ぶ子供たちの未来がこの法改正にかかっているんだということを思っていただいて、ぜひとも坂口大臣にはこれからもいい形の母子家庭支援の政策を進めていただきたいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。


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