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2002年11月1日 

厚生労働委員会 会議録 

介護報酬、個室ユニット型老人ホームなどについて
○山井委員

どうかよろしくお願いいたします。

 坂口大臣におかれましては留任おめでとうございます。またこれからお世話になります。また、きょうは新しい木村副大臣にも御質問させていただきますが、よろしくお願いいたします。

 資料をお配りをさせていただきました。ちょっと10ページはありませんが、この資料を使いながら、きょうは、介護保険また特別養護老人ホームを中心とする施設について、30分間、質問をさせていただきたいと思います。

 私たち民主党は去る七月に、介護保険、2年を過ぎて、「介護保険への10の提言」というものを発表いたしました。

過去一年間、20数回会合を重ねて、現場の方々の声を直接聞いたり、また、厚生労働省の担当者の方々とも議論を重ねてまいりました。

そんな中で、特にきょうは、星印をつけた「居住環境のすぐれた介護基盤の整備を」、そして「サービスの質の向上へのインセンティブ」、また、「質の向上につながる介護報酬の改定を」、このあたりについて特に質問をさせていただきたいと思います。

 在宅、施設、両面ありますし、きょうの午前中の釘宮先生の話では在宅重視という趣旨の御質問がございました。

在宅と施設はまさに車の両輪でありまして、私はこのきょうの質問の中で、施設の方の質を二十一世紀どうしていくのかということを質問させていただきます。

 特に、特別養護老人ホームのあり方というのは老人保健施設や療養型のあり方も決めると思いますし、グループホームや在宅に関してはまた別の機会に質問をさせていただきたいと思います。

 そもそも、なぜ私がこういう施設の質にこだわるのかということを少しお話ししたいのですが、私が政治家を志した一つの原点は、私の祖母が長年寝たきりでありました。

そして、20過ぎのころから私は全国の老人ホームを回って実習をしながら福祉の勉強をしたのですが、忘れもしませんが、ある老人ホームに行ったときに、痴呆症のお年寄りが、私が一カ月の実習を終えて最終日に帰ろうとしたら、連れて帰ってくださいと言って、私の腕にしがみついて泣いておられました。

お見舞いに来ておられた御家族の方もその場で泣いておられましたけれども。

 そんな体験を通じて、家にずっとおられるお年寄りはそれはそれでいいわけですけれども、何かの事情で在宅で介護できなくなったお年寄りも、第二の家としてやはり老人ホームでいい暮らしをできる、そんな世の中をつくりたい。

そしてそのためには、現場の介護職員の方は頑張っておられるけれども、なかなかこの職員の方の数も少ないのですね。

そういう問題をよくするには、やはりこれは現場だけで頑張ってもだめで、現場の声を国会に届けないとだめだということを私は思わせていただきました。そういう意味で、私の思いを込めて質問をさせていただきます。

 まず第一問目ですが、このような特別養護老人ホームのあり方について、去る九月に委員会視察を、北海道の静苑ホームというところにさせていただきました。そこは、個室ケア、ユニットケア、個別ケアということに取り組んでおられました。

 厚生労働省さんにおかれましては、このような個室ケア、ユニットケアというものを推進されて、また、新型特養、別名居住福祉型特養というものも今後推進されていかれるということですが、その推進の意義と理由というものについてお聞かせ願いたいと思います。

○坂口国務大臣

 どうぞまたひとつ、これからよろしくお願い申し上げたいと思います。

 個室のユニットケアにつきましては、前々から先生御指摘をいただいているところでありまして、そして、個室にすることによって、いわゆる家庭的な雰囲気ということにもなりますし、また、これは個人の秘密といったようなことも守られるというようなこともございますし、6人とか8人部屋といったような、そういう多くの皆さん方が一緒に病院のような形で入っておみえになるのに比較をいたしますと、やはり心の安らぎというものも随分私は違うだろうというふうに思っております。

 また、中にはおむつをしておみえになる皆さんもおみえになりますし、そうした交換等におきましても、個室で行われます場合と、多くの皆さん方が入所しておみえになりますそうした部屋で行われるのとの違いというのは確かにあるというふうに思っております。

 そうした意味で、質の高い療養というものをしていただく、入所をしていただけるようにするためには、やはりこの個室ということは大変大事なことだというふうに理解をいたしております。

○山井委員

 おっしゃるとおりのことを私も感じております。

 それで、坂口大臣に重ねてお伺いしたいのですが、私も、個室の老人ホーム、四人部屋の老人ホームに行ってまいりました。

 例えば、四人部屋の老人ホームでしたら、訪問をしても、話し声が隣のベッドの人の迷惑になるということで、五分十分ぐらいしか、御家族の方が訪問してもゆっくりできない。

個室の場合は、一時間二時間、話もできますし、御家族の中には泊まっていかれる方もおられる。そういう意味で、個室にした老人ホームは家族の訪問が非常にふえたというような効果もあります。

 しかし、現場の方々の話を聞いてみますと、やはり四人部屋よりも個室にした方が、いろいろ職員配置も変わってきたりして、常勤換算で職員対お年寄りが一対二ぐらい。

今の特別養護老人ホームの基準の一対三よりも、一対二ぐらいに、ちょっと多く要るというような声をよく聞くわけです。

 そのあたり、一人一人に応じた個別ケアをしていくことは集団ケアよりも人手がかかるのではないか、そういうことと、ちょっと心配しておりますのは、新聞等の報道によると、厚生労働省は施設の介護報酬を下げるんではないかという報道を最近よく見かけます。

そんな中で、もしそういうことがあったら、人手のよりかかるユニット、個室ケアを推進するという厚生労働省さんの思いと介護報酬を下げるということは矛盾するように思います。

 そこで、そういう個室、ユニットケアをするような施設や居住福祉型の新型特養については、やはりプラスの配慮をすべきではないかと思いますが、坂口大臣、いかがでしょうか。

○坂口国務大臣

 個室、ユニットの場合には、実際にこれがどれだけたくさんかかるのかは私もよくわかりませんけれども、常識的に考えましたときに、一個一個の部屋にお入りになっているということになれば、やはり、時々のぞかなければならない、個々にのぞかなければならない回数もふえるのではないかという気もいたします。ここのところは今検討してもらっております。

 六人部屋とかいったような場合とこの個室、ユニットの場合とを同じにするというのはやはり問題がある、個室、ユニットのときにはそれ相応に見ていかなければならないんだろうということを我々も考えておりまして、実際に、それじゃどれだけにするかといったようなことにつきましては、今検討を続けさせていただいているところでございます。

○山井委員

 ありがとうございます。

 現場では、個室ケア、ユニットケア、今までの集団ケアではなく、一人一人に応じたケアをしようという方向になっております。そのためには、どうしてもやはり人手がかかります。

そういうふうな配慮をぜひともしていただきたいと思います。

 ところで、先日、介護実態調査の結果が出ました。これは二ページ目に出ておりますので、まず朝日新聞の十月二十九日の報道を見ていただきたいんですけれども、見出しが、特別養護老人ホーム、月280万円の利益。特別養護老人ホームに関しましては、この棒グラフの一番左の方で利益が出ているということで、ケアマネジャーとかは大幅赤字ですね。

 それで、このことは六月十二日の質問でも言ったんですけれども、改めてもう一度お伺いしたいんですが、要は、介護老人福祉施設、三ページですね、特別養護老人ホームが今回の経営実態調査でも一二・二%利益が出ているということなんですね。

ところが、矢印がありますように、介護保険の前はマイナス5.6%だった。ということは、プラスマイナスすると17.8%も利益が上がっているわけですね。それで、もう一本の矢印を見ますと、じゃ、どうして利益がふえたのかというと、給与費が69%から55%に14%も低下している。

つまり給与水準を下げて、次のページ、もう一つお願いします、ほかの言い方をすれば、常勤の職員さんよりも非常勤をふやして経営効率を上げたということがわかってくるわけです。

 この四ページを見ていただきますと、例えば、非常勤の職員を常勤換算したら、特別養護老人ホームでの夜勤手当を含む月給が十四万九千円、常勤職員は二十万七千円、これは平均ですよ。ということは、これはもう、何年も勤め続けたり家族を持ったりすると、本当に働き続けられないぐらいの賃金ではないかと思っております。

 こういう中で、六月に、介護報酬を見直す際には、利益が出ているということだけではなくて、利益が出て、いい介護が十分できているのかということと総合的に判断していただきたいということを言いましたら、坂口大臣は次のように答弁をしてくださいました。

私も、老人ホームの収益が上がっているという場合に、それは質を落とさずに上がっているのか、質を落として上がっているのかというところが大変大事なところだと思います、質を落として上げているんだったら、質を上げてもらうように指導するのが厚生労働省の役割だと思っております、事務局の方にもその点を十分にチェックするように言っているところでございます、そういう答弁をいただいたんです。

 今回、経営実態調査が出ましたが、こういう中で、質が上がっているのか下がっているのかということは、厚生労働省さんの方はきっちりチェックをされていますでしょうか。坂口大臣、いかがでしょうか。

○坂口国務大臣

 確かに、そのように答弁をしたことを私も覚えております。

 パートになったら必ずそれで絶対質が落ちるというのはパートの人に失礼でありますから、それは少し言い過ぎだというふうには思いますけれども、しかし、できることならば、それはパートではなくて正社員という形で、常勤でお雇いをいただく方が私はいいだろうというふうに思っております。

 ただ、ヘルパーにお越しをいただいている皆さん方の中には、時間的な問題があって、私はこれこれの時間帯で勤めたいという方も中にはおみえでございますから、そういう人たちは、これから短期の正規社員みたいな形にちゃんとしていくことが大事だろうというふうに思います。

 いずれにいたしましても、その中にお入りいただいている高齢者の皆さん方に対するサービスが落ちていないかどうかということなんだろうというふうに思っておりますが、その辺のところ、私もまだつまびらかに知るところまで至っておりません。そこはよく検討をしてやりたいというふうに思います。

 事務局の方がもしもその辺を何か調査しておりましたら、答弁をさせます。

○山井委員

 事前に厚生労働省の方に聞いたわけですけれども、やはりこのシステムのチェックをきっちりしておられないわけですね。

もちろんシステムがチェックしにくいということもあるんですけれども、そういう意味では、ここでお願いしたいのは、利益が上がっているから報酬を下げるんだということではなくて、十分な質ができているのかという検証を、この年末年始、介護報酬の見直し議論の中でぜひともしていただきたい。

 では、問題は質を何ではかるかということなんですが、そこで、木村副大臣にお伺いしたいと思います。

 一つの指標は、身体拘束という度合いではかれるのではないかと思います。

この身体拘束について、資料が五ページからございます。

身体拘束ゼロ作戦進捗状況というものも厚生省の資料にございましたが、問題は、この身体拘束というのは、車いすにベルトで縛るとか、あるいはおむつを外せないようにつなぎの寝巻きを着せるとか、あるいは個室に閉じ込めてしまうとか、さくをつけてベッドから出られないようにするとか、そういうふうなことを指すわけなんですけれども、厚生労働省は、介護保険ができたときに、緊急やむを得ない場合以外はこれをやったらだめだということで身体拘束ゼロ作戦をされたわけで、これは非常にすばらしい決定だと思っております。

 ところが、それ以降、身体拘束が減っているのかふえているのか。そして、厚生省にデータを調べてくれと言っても、全部のデータがないわけなんですね。

まさに、先ほども言いましたように、別に私は、非常勤がふえたら質が減るとは言えないと思います。それは言えないと思います。

しかし、利益が上がって人件費が下がっている以上、質が下がっている危険性があると考えるのは非常に普通だと思うんですね。

そういう中で、この身体拘束ゼロ作戦も十分に進んでいるのかというと、そのチェックも厚生労働省としてはきっちりできていない。

 そのあたりについて、木村副大臣、このたび介護福祉議員連盟の幹事長に御就任されたと聞いておりますし、坂井委員長も事務局長さんで、長勢筆頭も副幹事長に就任されたと聞いておりますので、ぜひとも、これから介護を担っていかれる木村副大臣からそのあたりの答弁を願いたいと思います。(発言する者あり)

○木村副大臣

 御声援ありがとうございます。

 御承知のように、介護というものが今までは措置だった。それが、介護保険をつくって、サービスに変わってきたわけですね。その中で、身体拘束は本当にあってはならないというのは、もうそれは議員も皆さんもお感じになることと思うわけであります。

 ところが、先ほどの新聞の中にも書いてありますように、いただいた資料にありますように、どうしても現場における事故というのがあるわけでありまして、実は、私の父も介護を受けている最中トイレで、そのときも付き添いの人がいたんです。いたんですけれども滑り落ちちゃいまして、みんなの見ている前で骨を折って、ずっと片方の手がきかなくなっちゃったという、私自身も目の当たりに見ておるような次第でございます。

 そういう中において、家族の方々の中にも、できたらもう少し拘束していてくれた方がいいんじゃないかなんというような方もおられないわけでもないわけでございます。

 そういうときにゼロ作戦というのは、これは今非常に、御承知のように、資料にありましたように全国的に行われているわけでありますし、特に推進会議はほとんどの県で設置されておりますし、それから、相談窓口、研修会も多くの県で取り組んでいる。

それから、さっきの家族の話もありますので、家族向けの講習会も国庫補助の対象としているわけでありますけれども、議員が御指摘の実態調査、これは必要に応じて行っていかなきゃいけない、こういうふうに思っています。

 それから、事故で、まさに統計データはないんです。始まったばかり、こういうふうなこともあって、あえてデータを言わせていただきますと、国保中央会のデータなんですけれども、国保連に対する苦情の申し立て件数、介護関係が333件あるようでございますが、そのうち、介護老人福祉施設に対してが12件、介護老人保健施設は4件になっている、こういうような数字も出ておるわけであります。

 そこで、この事故の問題なんですが、これはやはりもちろん予防にも努めていかなきゃいけない。私が一番思うには、病院の方でも、冷やり、はっと事例とか何かありますけれども、やはり事故が寸前だったとか起きたというときに、正直に通報し、それが多くの人たちに、こういう事例があったというのをわかる仕組みが必要なんじゃないかと。ところが、そういうのを発表しちゃうと、損害賠償の話だとか、また刑事責任の話だとか、そういう問題点等もあるわけでありますけれども。

 アメリカなんかの航空機事故は、事故が起こったときにパイロットか何かは免責にして、とにかく正直に全部しゃべれと、それで次の事故に結びつけないのを最優先にする、こういうような仕組みもあるようでございますし、それから、それで実際に起こった損害賠償等は保険のシステムをより一層充実するとかして、これからの事故に対処することが重要かなといって、私は個人的にはそのことを強く思っているわけであります。

先生が言った介護議連なんかでこのような問題点を取り上げ、また厚生省の中でも検討をさせてまいりたいと思っております。

 いずれにしても、役所が、あれとこれ、はしの上げ下げまで規制するのはおかしいと思うんです。ですから、現場の方々がこれは一生懸命そういう取り組みをすべきだな、さっきのような話も含めて。私は、こういう観点も大事ではないかと。というのは……(山井委員「もういいです。わかりました」と呼ぶ)いいですか。では、その辺で。

○山井委員

 ありがとうございます。

 これは六月に質問したときも、もう坂口大臣から、決意は変わっておりませんし、これからもできる限り拘束がないようにしていかねばならないと思っておりますという答弁をいただいております。

 先ほども言いましたように、12.2%利益が上がっている。片や身体拘束に関しては、この資料の六ページにもありますように、広島では65%の施設でやっている。山口では69%、北海道や京都では78%。要は、お金の面はチェックしているけれども、質がどうなっているかということに関しては、厚生労働省、ちょっとやはりきっちりやっていないんじゃないかというふうに思います。

身体拘束に関しても、車いすにベルト等をつける、ベッドをさくで囲む、このようなことに関して、毎日行っているというのが89%、一日じゅう行っているというのが39.6%というふうな資料もここに出ているわけですから、やはり質の向上というものに対して、もっときっちりとチェックをしていただきたいと思っております。

 そこで、ではこれをどうすればいいのか。

要は、介護保険の一つの問題点は、今回の経営実態調査にもあらわれているように、一歩間違えば、人件費を減らしたら利益率は上がるんです、本当だったら市場原理が働いて、それで質が落ちたら人が来ないということになればいいんですけれども、老人ホームの場合はどこも満員ですから、質がちょっと落ちても利用者は来るんですね。ということは、やはりきっちりどこかで質を担保する必要があると思います。

 そこで、坂口大臣、お伺いしたいと思います。

 スウェーデンやアメリカでも最近こういう施設での虐待や質の低下が問題になってきています。どこでも経費を切り下げたら質のばらつきというのがつきものです。

スウェーデンでは監査員という者を市町村が雇ってきっちり厳しく監査をしている、そういうふうなこともありますが、外部評価というのを特別養護老人ホームに入れるべきではないかと思います。

 外部評価の資料が十ページにありますが、この十月一日から、痴呆性高齢者向けのグループホームに対してこういう外部評価というものが義務づけられました。80項目のチェックをするわけですね。

やはりこういうチェックをきっちりと、グループホームで始めたものを特別養護老人ホームにも入れていって、そして、先ほど釘宮先生からの質問にもありましたけれども、こういう内容を公開していく。

どこがいい施設だ、どこがちょっと手を抜いている施設かわかるようにしていく、こういうことが早急に必要だと思いますが、坂口大臣、いかがでしょうか。

○坂口国務大臣

 これは外部評価の先生のお話は、高齢者のグループホームのお話でございましょうか……(山井委員「そこでやっているのを特別養護老人ホームにもという」と呼ぶ)なるほど。

 グループホームにおきましてもこれは現在スタートさせているわけでございますし、やはり個室ということになりますと、密室性ということもございますので、今後これは取り入れていく方向で、取り入れるとするならばどういう評価方法があるのか、どういう人たちにどういう形でしていただくのが一番いいのかということを少し検討して、そして、方向性としては外部評価も取り入れていく方向でやっていきたいというふうに思います。

○山井委員

 ありがとうございます。

 これは介護報酬に関しては、本当にもし切り下げられたりしたら、それで現場の意欲が非常に落ち込んでしまうということがあります。先ほども言いましたように、ただでさえ介護の職員さんは非常に給料も低いわけであります。

 そこで、坂口大臣に改めてお伺いしたいんですが、介護報酬の見直しのこれからの考え方なんですが、今一つ言われているのは、ケアマネジャーさんやホームヘルプの家事援助やグループホームの夜勤加算をふやしていく、そのためにはどこかから財源をとってこないとだめだ、その財源というのは施設がもうかっているみたいだから施設からとってこようというような、そういううわさがちらほらと出てきているわけです。しかし、今も言いましたように、施設で利益が出ているからといって、十分なケアがまだまだこの身体拘束の事例を見ても行われていないわけですね。

 ですから、そういう意味では、今言いました外部評価のこと、そして、最初に申し上げました個室、ユニットケアのこと、やはり現場で頑張っている職員さんがやる気を失わないような、そういう介護報酬の改定にしていただきたいと思います。

 先日の大臣のごあいさつの中でも、介護報酬の見直し作業に関しては、質の向上につながる形でやっていきたいというような趣旨のことが大臣のあいさつにありました。ということは、ここで介護報酬を下げることによって質が低下したら何のための見直しかわからないわけであります。

 そういう意味では、必ずしも、どこかを上げたらその財源を、介護報酬をどこかを切り下げてプラス・マイナス・ゼロにするというのではなくて、もっとトータルで、介護報酬の中だけでプラス・マイナス・ゼロにするということはこだわらずに、やはり必要なところにはお金をかける。

それで、逆にサービスも十分で利益が出ているところは、そこは削らないとだめかもしれませんし、そのあたり、要望と、ひとつお伺いをしたいと思いますが、このような考え方はいかがでしょうか、介護報酬に関して。

○坂口国務大臣

 先ほども個室、ユニットのところで申しましたとおり、そうした個室、ユニット等が採用されるということになってくれば、それは、それに従いまして質が上がるわけでありますから、上がった分、それはやはりよく見なければならないということも申し上げたわけでありまして、これは質との相談でございますから、質が向上できるようにするためにはどうしたらいいかという観点でやはり決めていかなければならないというふうに思っております。

 ただ、全体として、正直に言いますと、この介護問題に使います予算の枠というものはある程度決められているわけでございますので、その中でどう配分をするかという問題も正直なところあることも事実でございますが、しかし、先生が今御指摘になりましたように、質を下げない、質を上げるということにするにはどうしたらいいかということは最も真剣に考えなきゃならない問題だと思いますから、注意をしてやっていきたいと思います。

○山井委員

 最後のこの十一ページの資料を見ていただきたいと思いますが、きょうは施設のことを中心に質問をしましたけれども、やはり在宅重視ということで一番重要なのはケアマネジャーさんのことであります。

 坂口大臣、この11ページを見ていただきますとわかりますように、一人のケアマネジャーさんが担当しているのが、一番最後のページであります11ページ、何と80人以上担当していられるケースもこの調査の中で48件ある。100人以上を一人が担当しているのも38事業所あるわけですね。そうしたら、一人一人丁寧なケアプラン、介護サービス計画なんかやはり立てられないわけです。

その結果、重度であるにもかかわらずサービスを一種類しか利用していないというようなことにもなって、結果的には在宅にい続けられないというような問題点が出ております。

 そういう意味では、今回、介護報酬の見直しの中で、ケアマネジャーさんの介護報酬、サービス計画を立てるに当たって上げられるということが議論されているようですけれども、その際に、上げるかわりに、一人が担当できる数を例えば上限50にするとか、あるいはたくさん数がふえ過ぎたら、ふえ過ぎた部分はちょっと逓減制で安くするようにしないと、これはやはり80件、100件、常識で考えたら一人一人丁寧に見れるはずがないですよね。

実際、訪問も十分にせずにケアプランをつくっているというケースもあるわけですから。

 そういう意味で、そのあたり、ケアマネジャーさんの、数をある程度適正に抑えるということに関して、大臣、いかがでしょうか。


○坂口国務大臣

 50人程度を目標にしてお願いをしてきたわけでございますが、今表を見せていただきますと、100人以上というのもあるということでございます。

 これは、どういう介護度の人たちを見ているかということにもよるというふうには思います。

非常に軽い人ばかりをたくさん見ているというのであれば、それはある程度人数は見れるんだろうと思いますし、重度の非常に具体的な計画を立てなきゃならない人をそうたくさん見られるというわけでは正直なところないということだろうというふうに思いますが、そうした重症度もよく見ながら、そして一番最も適切なところは大体このぐらいではないかといったことも示し、そしてその中で、ケアマネジャーに対する給料といったようなものにつきましても、どのぐらいにこれはすべきかといったようなことも考えていかなければならない。

 どこへ行きましても最もたくさん出ますのは、ケアマネジャーに対する問題がどこへ行きましても出ることも事実でございますので、その点十分に注意したいと思っております。

○山井委員

 ありがとうございます。

 先ほど財政的に苦しいという話がございましたが、先ほどの表でも言いましたように、本当に介護現場の給与は低いです。

そして、今までから数が足りなくて、お年寄りとゆっくり話す時間もないというふうに本当に苦しんでいられます。やはり、そういう現場の方々に対して、安易に介護報酬を下げるということになると、もう質はいいんだなということになりかねません。

特に施設の場合は、御家族とも離れ離れになって、施設の方々との温かい触れ合いという、それを最後の心のよりどころにお年寄りもされているわけですから、施設の質の向上につながる、そして施設で働いている方々が頑張ろうという意欲の起こる介護報酬の改定にしていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。


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