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2002年5月17日
衆議院 厚生労働委員会 議事録
三割負担の問題、情報開示の問題、 そして老人医療費や社会的入院、介護基盤整備の問題、
よろしくお願いいたします。民主党の山井和則です。
もう時計も十一時十八分になりまして、昼、御飯どきになってまいります。坂口大臣を初めとする御答弁の方々、委員の方々、傍聴の方々、一時間という長い質問でありますが、とにかく二十一世紀の私たちの健康、そして命にかかわる重要な法案の審議ですので、どうかよろしくお願いいたします。
まず、きょうは資料をたくさん配らせていただきました。こういう資料を見ながらじっくり質問させていただきたいと思います。そして、きょうは三割負担の問題、情報開示の問題、そして老人医療費や社会的入院、介護基盤整備の問題、このようなこれからの医療制度改革に関する重要なことについてお伺いしたいと思います。
まず、私、この連休にスウェーデンにちょっと行きまして、医療と福祉の調査をしてまいりました。スウェーデンでは病院と地区診療所に分かれております。すぐに大きな病院に行くのではなくて、まず基本的には地区診療所に行くというシステムです。
まずそこで聞いて、私が日本と違うなと思いましたのは、一日に診る患者さんの数が、お医者さん一人当たり十五人から二十人、一人当たり二、三十分診るということです。また、私最近、知り合いの地元の病院や開業医の方のところもお伺いして、この法案についてのお話をお伺いさせてもらいましたら、日本の開業医の方の場合は、一日八十人から百人、一人当たり平均すると五、六分ということなんですね。これは一長一短、どっちがいいとも言い切れないことですけれども、大きな違いがある。また、そういうことを通じてスウェーデンでは機能分化がされているなということを感じました。
スウェーデンのいい点、さらには日本のよい点ということを簡単にまとめますと、一つは、やはりそういう一人一人、患者さんに十分な時間をかけて、医療情報を開示して、相談しながら、インフォームド・コンセントを徹底しながらやっているスウェーデン、そういう点がいいということ。それともう一つは、後にも述べますが、スウェーデンには社会的入院というのがほとんどいない。そういう医療と介護というものの仕切りも日本よりうまくいっていると思います。
その反面、やはりお医者さんにかかれるケースが少ないわけですから、日本ほどフリーアクセスでないとか手術待ちの列が長いとか、向こうは県の税金でやっているわけですから、要は予算なわけですよね、ですからそういう限界もある。そういう意味では、スウェーデンの方がいい点、また日本の方がいい点というものを両方感じさせていただきました。 そこで、まず第一点目、今回の自己負担の三割負担についてお伺いしたいと思います。
これについては、水島議員から既に小泉元厚生大臣の公約違反という話は出ましたので、このことは削りまして、まず根本的な認識として、今の日本に最も必要なのは景気回復であり、景気対策であり、そのためには消費の拡大が必要であると思います。そのために、ある意味で、小泉首相も今デフレ対策を指示していられるのだと思いますが、いかに消費を拡大させるか、自殺者が三万人を超え、戦後最悪の五・三%の失業率をどうするかというときに、そういう消費を回復させるという方向性と、医療の自己負担をアップさせる、そしてその象徴でありますサラリーマンの自己負担三割にアップというのは、明らかに逆行しているのではないかと思います。
この点について、坂口大臣、答弁をお願いいたします。
○坂口国務大臣
景気というのは、今さら私が申し上げるまでもなく、これはかなり心理的な要素が影響するものであることは間違いないというふうに思います。
医療の場合に、将来ともに安心できる医療制度をつくるということが安心を生むのか、それとも、現在の自己負担がふえるということが不安を助長するのか、そこは私は一概に言えないというふうに思っています。多くの皆さん方は、現在もさることながら、将来においていかに安定できる、いかに安心できる制度がつくられるかということにより多くのウエートをお持ちになっているのではないかというふうに思っております。
ですから、確かに二割から三割になることは厳しいけれども、しかしそれは、二割から三割になるといいましても、どんな病気でもそれが三割になるというわけではなくて、例えば風邪を引きまして病院へ行きますと、これは確かに三割を払っていただかなければならない。しかし、例えば盲腸で、虫垂炎で入院をして手術をされるということになりますと、大体二・五割ぐらいになってくる。あるいはクモ膜下出血等がありまして入院される人の平均的な治療費は大体七十数万円でございますから、そうすると、この人たちにとりましては、大体一割払えばできる。胃がんで入院される方で見ますと、百数十万円から百七、八十万円になりますから、大体〇・五割、必要な額の五%ぐらいお支払いになれば済むということになりますから、大きな病因になればなるほどその対応というものは楽になるわけでございますので、私は、そうした制度をつくり上げていくということが多くの皆さん方の安心を生む。
そのことによって、私は景気にもそれは影響すると思っております。ただ単に、二割から三割になるという、単純にそれだけで私は景気に影響するとは考えておりません。
そこは見解の相違でありますが、心理的な面が大きいとおっしゃいましたけれども、まさにその負担増の象徴が今この三割の自己負担になっていると思います。
でも、抽象的な議論をするよりは具体的にお聞きしたいと思いますが、では、患者さん一人当たりにとって負担増は幾らぐらいになるのか。これは、サラリーマンの方や高齢者の方によって、今まさに大臣がおっしゃったように、違うと思います。患者さん、医療にかからない人はちょっと置いておいて、かかる方の一人当たりの負担増は幾らか、そのことを御答弁お願いします。
○宮路副大臣
御指摘は、三割負担の導入による患者負担の増がどうなるかという御指摘だろうというふうに思っておりますが、三割負担の導入による患者負担の増加を、私どもは、それがスタートいたします平成十五年度から十九年度までの五年間の単年度平均では四千億円程度というふうに見込んでおるわけでありますけれども、一方、薬剤費の一部負担の廃止がありますので、それによって一千九百億円程度逆に負担が減少するということでありますので、それをトータルいたしますと二千二百億円程度の増というふうに見込んでおるところでございます。
今回の制度改正によって、それでは患者一人当たりの一部負担がどういうぐあいになるかということでありますが、私ども、患者それぞれにかかる医療費につきましては、そういう統計を持ち合わせていない、そういうデータを持ち合わせていないということでございますので、患者一人当たりということでは、残念ながら、今具体的なその影響度を申し上げることができないということでございます。
◎山井委員
先日は押しなべた数字を小沢議員に出していただいて、大体何人ぐらいの患者さんがかかるかというのはわかるわけですから、その患者さん一人当たり平均幾ら負担増になるか三割負担でわからないというのは、それはちょっと答弁にならないんじゃないですか。事前通告もしているわけですから。
この間小沢委員の御質問の際に申し上げた数字は、今の総額二千二百億円の増を国民一人当たりということで計算をいたしますと年四千円の増、こう申し上げたわけでありまして、一方、七十歳以上の方については、一人当たり八千円の増、トータルでは一千四百億円の増と申し上げたわけでありますが、これは一人当たりということでは申し上げていない、これは患者一人当たりということではないということでございます。
いや、ですから、患者さん一人当たりで押しなべて割って答えてくださいと、きのうお願いしたわけです。お答えください。 それは、赤ちゃんとか全然かかっていない人を入れても、数字がまたあれしてくるわけですから。
ですから、今、先ほど申し上げたように、私どもはレセプトをもとにして、そして医療費がどうなっているかということをつかんでおるわけでありまして、レセプトですね。したがって、患者一人一人がどうかということに基づいて、そういうレセプトに基づく資料を患者一人一人についてさらに整理し直すということをやっておりませんので、今申し上げたように、トータルの患者が幾らおられて、そしてその患者お一人当たり増が幾らであるというような数字を示すことができないということを申し上げているところであります。
それはまた今後もお聞きしたいと思いますが、やはり全く医院、お医者さんにかからない方も国民の中でかなり多いわけですから、その方々との平均ではなくて、やはり、医療にかかる人にとって一人当たり幾らぐらい増かというのは、これだけ重要な法案なんですから出すのが当然で、それはわからないけれども、この法案通してくださいというのは、私は非常に、余りにも不誠実なんじゃないかなというふうに思います。
それで、こういう負担増の受診抑制のことを一九九七年の部分も調べてみましたら、とにかく低所得者への影響が大きい、受診抑制も低所得者が大きいということでありました。
そこで、先ほど坂口大臣、とにかくこの財政をもたせることの方が安心感につながるということなんですけれども、この三割負担をとにかくおくらせても、聞いたところでは、政管健保の保険料が八二パーミルから八三パーミルに上がるということをおっしゃったんですけれども、私は、この三割負担というものを取り下げてでも、最悪の場合、保険料の方に回してでもやる方が、やはり苦しまれる患者さんの負担をふやすというのは一番不安を高めることになると思うんですね。その意味で、やはりこの三割負担をずらしていく、それで何とかその間に、後でも触れますが、医療制度の抜本改革をやって、削れる部分を削っていくという方向に転換すべきではないでしょうか。
トータルとしての御趣旨は私も十分に理解できます。削るべきところは削っていかなければならないというふうに思っています。
削らなければならない部分には幾つか種類があるというふうに思いますが、いわゆる現在とられております制度の中から生じておりますむだと申しますか余分なもの、例えば、年金や医療や介護や雇用だというような保険を集めておりますのに、個々ばらばらにみんな集めている。個々ばらばらに集めましたらそれだけ人件費もたくさん要るわけでございますししますから、同じ厚生労働省が管轄をいたしております分野でございますから、そうしたものは一元化をして、一緒にみんな出していただくということにして財源を削減していくといったようなことをやらなきゃいけないというふうに思っています。
それからもう一つは、現在のこの診療報酬体系の中でむだがあるのかないのかということは、なかなか難しい話なんです。見方によってこれは違う話なんですよね。ただし、ここにつきましても、先ほども出ましたが、診療報酬体系の基準というものを明らかにして、これこれの基準でこの診療報酬体系は点数を決定しますという基準を明らかにして、皆さん方に御理解をいただけるようにする。
率直に言って、今、この診療報酬の決め方につきまして、そんな言い方をしますと後ろに並んでいる諸君は怒りますけれども、厚生労働省は鉛筆なめて決めているのと違うかという不満がかなりあちこちからあるわけです。そんなことはないと私は言い切っておりますけれども、しかし、そこは、基準が明確になっていないがゆえにそういう疑問も生じるということでございますから、そこは基準を明確にして、そして、その基準の中で見たら、これはもっと削れるのではないか、もっと少なくてもいいのではないかという部分も私はあると思う。そうした面は明確に私はしていかなければならないというふうに思っています。
そうしたことを、これは必ず行うということをお約束して、今それを鋭意進めさせていただいているところでございますから、そこは御理解をいただきたいというふうに思います。
まさに今の、どこがむだな部分かということなんですが、情報開示についてお伺いしたいと思います。 まさに過剰診療、そういうむだな部分、良心的な医療の部分はもちろんきっちり守っていかないとだめなわけです、しかし、そのむだな部分がやはりあるのではないか。そのことは、情報の開示なくしては判定できないと思います。
今回の健保法案の附則の中にも、まさに「医療及び医療に要する費用に関する情報の収集、分析、評価及び提供に係る体制の整備」ということがこの二百四十六ページに出ておりますけれども、やはり先ほど大臣の答弁にもありましたように、医療情報を開示していくということとよい医療をやっていくということはセットであるわけです。それについては、私たち民主党も、患者の権利法を、先日の衆議院本会議でも私が提案理由説明させていただいたところであります。
そして、今回、国民に負担のアップを迫る以上は、中身のことは置いておいてとにかく負担を上げてくださいというのはやはりおかしいわけで、負担アップを迫る以上は、中身のことをもっときっちりわかりやすくしますよという必要があると思います。
そこで、レセプトの本人への開示についてお伺いしたいと思います。こちらに資料が出ておりますけれども、その現状についてお答えください。
レセプトの開示に関しましてですけれども、平成九年に「診療報酬明細書等の被保険者への開示について」という通知を出させていただきました。
もう御承知のとおりだと思うわけでありますけれども、当該レセプトを開示することによって本人がみずからの傷病名を知ったといたしましても治療上差しさわりはないというような旨を保険医療機関等々に確認した上で開示をするというような形になっておるわけであります。現状でありますが、平成九年から平成十二年までの間でありますけれども、開示請求に係るレセプト、これが存在する場合でありますが、これに関しましては、請求件数の九九・二%、部分開示も含めてでありますけれども、これだけが今開示をされてきております。 以上です。
今、本人が病気のことを知ってもいいという状況であるならば開示するということなんですけれども、そうしたら、繰り返しになりますけれども、本人が自分の病気のことを何でも、自分に都合の悪いこともわかっていいということを言った上ならば、一〇〇%開示してもらえるんですか。
○田村大臣政務官
そこは、当該医療機関の主治医の方々がどう判断されるかという部分になるんだと思うのですけれども、要は、がんであるとか重大な病気等々知ったことによって、やはり診療上いろいろな問題といいますか不備が生じてくる、本人の精神的な面もあろうと思います。そういうものも含めてどう判断するか、医療機関がどう判断するかということになろうと思います。
そこは非常に重要なことなので坂口大臣にお伺いしたいんですが、今まさにがんとかそういう場合、本人がもう何を言ってもらっても結構ですということを言いさえすれば、繰り返しになりますけれども、お医者さんも一〇〇%このレセプトを開示してくださるわけですか。 ○坂口国務大臣 そこは、本人が言えばそれに対しておこたえをするというのが、原則は私はそうだろうというふうに思いますが、ここは御家族の意見というものも私はあると思います。
昔、ある陸軍の将軍が、結果はどんなことであってもいいから、日本軍人だから私はびくともしないと言われて、あなたはがんですと言ったらばったりその場で倒れられたという話がまことしやかに我々の世界では伝わっておりまして、そういうことも現実問題としてないとは言えないわけでありまして、できる限りその患者さんに長生きをしていただこう、少しでも気持ちの上でも張りを持って治療に励んでもらおうといいますときに、本当に真実を知った方がいいのかどうかというのは、正直なところは際どいところだ。いろいろ、私はその人によって違うという気もいたします。
御本人は、それは知りたいという気持ちに駆られるだろうというふうに思いますから、原則そうするということでいいんだろうというふうに私は思いますが、しかし、家族の立場からすれば、患者になっているこの人はどうしてもやはりそうすれば絶対に落ち込んでしまう、だから、これは本人がどう言おうと言わないでほしいという御家族からの言い分等も私はある場合があるんではないかというふうに思いますから、そうしたときにどうするかということは、その主治医が総合的に判断をしなければならない問題ではないかというふうに思います。
でも、本人がどうしても知りたいと言って、家族も知らせてもらってもいいと言ったときに、それでもなおさら教えない、あるいはレセプトを開示しないというのでは、それこそ患者とお医者さんとの信頼関係がそもそも成り立たないと私は思います。ですから、そういう意味では、そういうことは本人が告知していいというときには、私は一〇〇%レセプトの開示はなされるべきであると思います。
そのことに関して幾つか私も声を聞いてみたんですけれども、例えば、明細のわかる領収書をもらう運動をされている団体の方々に聞きますと、そういう領収書を欲しいと言ったら、先生に書いてもらうのには千五百円必要と言われたと。領収書をもらうのにお金がかかるというケースや、領収書と組合保険からもらった証明書の金額が全く違うので治療をしたお医者さんに問い合わせたところ、差額の領収書を発行するからなかったことにしてほしいと言われたとか、こういうケース。
あるいは、ある大学では、大学の授業の一環で、学生にレセプト開示をお医者さんに行って言ってみなさい、そういうものがありました。例えば、一つは、ある医院に学生さんが行ったわけですね。毎回、今までかかっていた医院よりも新しい医院は、四倍以上の金額を請求され、納得がいかないので、その医院に対してレセプト開示請求をしてみると、まず、レセプトは開示しません、領収書は書きますということを言われましたと。そこで、その領収書に書いてくださる料金の内訳に関して説明はいただけないのですかとお聞きしたところ、なぜしないといけないのですか、何か不都合でもあるのですかと、かなり語調を強めた様子でおっしゃいました。そのため、料金をお支払いするときに、ただおっしゃられた金額をお支払いするのではなく、その内容を知って納得した上でお支払いしたいのですと申し上げたところ、現在そのようなことはしていないし、今も考えていませんという答えであったと。先生はただいま治療中でこの件に関してお話しできませんと、その事務所の方は随分怒っておられました、私もかなり怖かったですと。そして、今後も医療の透明化に向かって、もっと簡単にこういう明細書がもらえるようにしてほしいですということをこの学生さんはおっしゃっておられます。
あるいは、もう一件の方は、健康保険組合に電話でレセプト開示を請求、医師の承諾がなければ開示できないと言われた。それで組合事務所に出向いた。そうしたら、その後、開示を請求したお医者さんから、これはどういうことですかと怒って電話があった。自分が疑われていると思い込んでいるお医者さんの様子がうかがえた。とりあえずよろしくお願いしますと私は言ったが、いつもはおとなしい感じの人なのに、この日はあいさつもなく、がちゃんと電話を切られた。そのお医者さんにはあの電話以来会っていないが、次に会ったときにはどういう反応をするか、できればもう会いたくない気もしている。そのうち、病院の窓口で気軽にカルテやレセプトの請求ができるようになってほしいと思う、こういうふうな学生さんの声があります。
つまり、ここの資料に三万件開示依頼の受け付けがあったと出ておりますけれども、それ以前に、お医者さんの承諾が必要ですよとか、窓口でいろいろ言われる中で、本当は、この数倍以上の人たちが開示請求をしようとして、やはりそのことを聞かれて断念していられるというのがあるわけですね。だから、そういう意味では、まだまだレセプトをすぐにもらえるという状況にはなっていないと思います。
そこで、お聞きしたいんですが、レセプト開示というのはそんなにおかしいことなのか、海外の事例はどうなっていますか。お答えください。――これも事前通告、アメリカやイギリスはどうなっていますかというのをお聞きしておきました。
申しわけございませんでした。
レセプトの開示でありますけれども、制度によって、日本のようなレセプトというものがあるところとないところがございます。例えば、現物給付であるとか、出来高制であるとか、また保険制、多分償還払いですと、日本のようなレセプトじゃなくて支払いの明細書みたいなものをもらって、そして償還払いで請求というか、後からもらえるという話になると思いますから、そういうことをやっている国はそういう方式でもちろんそういう明細をもらっておられるんだと思います。
日本のようなレセプトでどういうふうな開示になっておるかというのは、なかなか我が省といたしましても調査をまだいたしておりませんでして、周知徹底を図って、どういう方式でレセプト、レセプトに限らないんだとは思うんですけれども、そういう自分の支払いの内容というものがわかるかということに関しては早急にちょっと調査をさせていただきたいと思います。
ありがとうございます。ぜひとも調べていただきたいと思います。
そこで、今回個人情報保護法案が出ているわけですけれども、本日は内閣官房からも来ていただいておりますが、このように、本人が希望してもどういう理由かも明示されずにそのレセプトの開示を拒否されるというのは、本人の情報の適切な開示と、ここに個人情報保護法案のその部分の文案が書いてございますけれども、それに反するのではないかと私は感じておりますが、小川参事官、いかがでしょうか。
○小川政府参考人
レセプトの開示と個人情報保護法案の関係についてお尋ねがございましたけれども、まずもって、個人情報保護法案の中身を少し御説明を申し上げますと、法案におきましては、個人情報というのは識別可能なものすべてということで、個人情報の性質による区分というのはございませんし、また、大量にデータベースで保有して事業の用に供している方が法の規律の対象になる、そういう方を取扱事業者と呼んでいるわけでございますが、これについても、事業内容だとか個人情報の利用の方法による区分というのはございません。したがいまして、まさにお尋ねのレセプト、診療報酬明細書というんでしょうか、これにつきましても、本法案の取扱事業者及び保有個人データに該当するものでございましたら、開示の対象になります。
ただ、本法案では、開示をすることによって取扱事業者の業務の適正な実施に著しい支障を及ぼすおそれがある場合、こういった場合には不開示とすることも認めているところでございます。これは、開示、不開示、それぞれ両者に、本人と事業者それぞれの利益を比較して判断をしようというのが、すべての分野を通ずる一般法として最小限の規律を定めた法案でございますので、そういう保護と利用のバランスを図るという観点からそのような規定を置いているところでございます。
したがいまして、重要なことは、この保護法案によりまして法律上そういう開示が請求できるということが原則になるという点が非常に大事でございまして、具体のケースに応じた判断というのは、当然ながら、それぞれの分野の特性に応じたしっかりした判断基準みたいなのを事業者側なりあるいは主務大臣の方でお考えをいただくことが大切ではないかというふうに考えております。
今の答弁の中に、当該事業者と本人の利益、あるいはそういうものの侵害ということがありましたけれども、まさに医療というのは患者の方にとってどうかということが最大のポイントでありますから、今回のこのレセプト開示に関しても、病院が損するとか、医療機関が損するというのはある意味で関係ないわけで、まさに事前に承認を得るというのは、告知とかで患者さん本人に不利益を与えないかということであるということを確認しておきたいと思います。
そこで次に、遺族への開示についてなんですが、この遺族への開示は事前に医療機関にお伺いすることなく開示されることになっているわけなんですけれども、ここの資料にもありますように、四の資料ですけれども、遺族に対して開示したときには、その連絡を行うことが適当であるということになっております。なぜ遺族が、レセプト開示を請求したことを医療機関に知らせねばならないのか。これは、ある意味で守秘義務違反になるのではないか、あるいは、そういう問い合わせたという個人情報を勝手に第三者に漏らすということは問題があるのではないかと思いますが、坂口大臣、いかがでしょうか。この部分は必要ないんじゃないでしょうか。
先生おっしゃられますとおり、義務化をしておるわけではありませんけれども、通知のような形で、ここに先生御資料をいただきましたように、「適当であると考えております。」というような、そんな書き方で文書を出させていただいております。
スタートしたばかりといいますか、要は、レセプトを開示していこうという方向の中で、やはり医療機関にそういう照会が急激にふえる可能性もある、そういうこともございまして、そういう準備もしていただく意味も含めて、当初このような、義務ではないんですけれども、通知を出させていただいておるということであります。
改めて小川参事官にお伺いしますが、やはり請求をしたということは、事実は個人情報であると思いますし、恐らく多くの御遺族が、自分たちが請求したということを医療機関にやはり知ってほしくないと思っていると思うんですよね。にもかかわらずそれを知らせるということは、これは問題があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
制度の仕組みが詳細どのようになっているか、私、承知を必ずしもしていないわけでございますが、請求をされた方の名前、これは法案上、当然個人情報そのものでございます。
この法案では、別途の規定で本人の同意がない場合の第三者提供というのを基本的に制限しております。そのケースが事業者に当たるかどうかとか第三者提供の制限がかかる個人データであるかどうかとか、詳細そういう問題はございますけれども、基本的には本人の同意を得て第三者に提供していただくということが前提となるんではないかというふうに考えております。
まさに、今、小川参事官からもお話がありましたが、本人の同意を得てということなんですね。ですから、本人の同意が得られないんだったらそういう報告は医療機関にする必要はないし、まさに田村政務官の話でも当初はという、そういう発言がありましたから、もうこれが行われて数年たっているわけですから、坂口大臣、もうこのことは、個人情報保護のまさにこういう法案を政府が出されているときでもありますから、ここは除くべきではないでしょうか。坂口大臣、いかがですか。
このカルテにいたしましても、あるいはレセプトの話にいたしましても、ようやく今進み始めたところでございます。そして、その両方とも開示の方向に向けて進み出したところでございますから、それらの問題、しかし、今までそういうことになれていなかったことも、率直に言って事実でございます。医療機関がなれていなかった。そういう、もっと言えば、意識がなかったというふうに言ってもいいと思うんですが、しかし、その辺は、カルテにしろあるいはレセプトにしろ、明確にやはり要求があればお示しをしなければならないという方向に向かっているわけでございますから、整理をきちんとしまして、そしてこれがさらに進んでいくようにしなければならないというふうに思っております。
ですから、もう助走期間はそろそろ終わりなわけですから、そこのところは切っていいと私は思っております。
そして、次にカルテ開示についてなんですが、カルテの本人への開示の現状、これは三年たったわけですね。この資料の六の中に、平成十一年七月一日の医療審議会の中間報告、その中で、「医療従事者の側の自主的な取組みが不可欠」ということで、「三年を目途に環境整備を推進」となっておりまして、その三年がこの六月でたつわけですけれども、その現状と、現状をどう認識しているかということをお答えください。
先生おっしゃられましたとおり、医療審議会の中間報告を踏まえまして、平成十二年度から三年を目途に、カルテ等の記載の適正化や用語の標準化、また医療機関における診療記録管理体制の充実等々を図っていくということで、それに向けた環境整備に取り組んできたわけでありますけれども、平成十三年の二月に日本診療録管理学会というところが行ったアンケートがあるんですが、これによりますと、カルテにかわる文書も含めて、約九割の病院において、カルテの開示といいますか診療情報の提供を、病院でありますけれども、行っておるという現状でございます。
この七ページを見ていただいてもわかるんですけれども、例えば、「原則的に開示・提供」というのは三五・七%でありますし、あるいは訴訟を前提としたときにはもう原則的には二〇%が非開示というふうなことで、まだまだ徹底はされていないと思います。
そして、三年をめどにやるということで、その三年がたったわけですけれども、やはりここで、自主的な取り組みできっちりできているのか、そうでないのか。実際私のもとにも、そういう開示を請求してもしてもらえなかったという苦情がたくさん寄せられておりますが、三年をめどに推進ということで、今後その総括をどうやっていかれるのか。それで、自主的のままでいいのか、やはり法制化しないと進まないんじゃないかということをきっちり精査する必要があると思います。その検討についての意思をお聞かせください。
先ほどの先生おっしゃられました件といいますか、医療審議会の中間報告の中におきましても、自主的な取り組みがいいのか法整備をあれした方がいいのかという議論は、両論併記のように出ております。
先ほど大臣、この件に関しましては水島先生の質問に対してお答えになられたと思うんですけれども、これは本当に非常に大きな問題でございます。それぞれの、各方面の関係機関の意見等々を踏まえながら議論を進めてまいりたい。確かに患者とそれから医療機関等との信頼の問題もございますし、しかしながら患者という立場からすれば、みずからの情報といいますか、病状等々はどういう状況であるか、カルテの開示を求めるという意見もございますので、この件に関しましては、法整備をするべきなのか自主的に進めていくべきなのかというのはいろいろな方々の議論を見守りながら早急に結論を出してまいりたい。先ほど大臣がおっしゃられましたとおりでございます。
具体的にどのようにこれから検討をしていくのか、検討会をどうつくっていくのか、そのことをお答え願いたいと思います、昨日もそれを事前に言っておきましたので。
三年をめどに推進となっているわけですから、その三年がたったわけですから、見直しの時期ですよね。
カルテの開示につきましては、現在最終的な検討の段階に参っておりまして、今年度末に最終結論を出すということになっております。今後の方策につきましては、医療現場等の専門家の意見も率直に聞きたいというふうに思っています。
先ほども水島議員との質疑の中でも申しましたとおり、ただカルテを見せてもらうというだけでは、僕は何にもならないというふうに思います。カルテそのものが、見て、そして患者さんに十分理解のできるものであればいいわけですけれども、そうでない場合には、ただ単にカルテを見せてもらうというだけではなくて、やはりそれに対して正確にこういうことだという説明をちゃんとしてもらわなければならないわけでありまして、したがって、カルテも当然ですけれども、いわゆる現在までの経過を十分に説明してもらうということが私は大事だろうというふうに思っています。そこをあわせて、そういう申し出があればできるようにしなければならない。
先ほど最初にも委員が言われましたように、日本の病院は非常に忙しいんですよね、諸外国の病院や診療所に比べますと。これはやはり制度上忙しくなるようにしていると私は思うんですね。ですから、今回、例えばお薬を渡すにしましても、二週間と言っておりましたのを二十八日間というふうに延ばしたり、制限つけなくいたしましたりしましたけれども、そうしたことによって、何度か病院へ訪れなくてもいい人まで病院を訪れなければならないように今までなっていたということですよ。慢性の人でそんなに変化がない人は来なくてもいい。それを来なきゃならないようにしていたといったようなこともございまして、そうしたことも変えていくということをやらないと、一日に八十人も百人も来る中できちんとしたカルテをちゃんと一々書けといったって、これはなかなかできることではありません。
ですから、落ちついて診療がしていただけるような環境をどうつくっていくかということも、これはセットになってくる話だと思うんですね。ただそれを、書いてあるものを見せる見せないだけの話ではないというふうに思っている次第でございます。そうしたこともこれから十分に検討しながら、患者の皆さん方の御期待にもこたえられていくようにしなければならないと思っています。
まさにこれは医療の信頼を向上するためだと思います。別に患者さんと医療機関が敵対するんではなくて、それでお互いが納得して情報開示していくことによっていい医療ができ上がる。
ところが、この資料の八にもありますように、カルテなど診療記録を知りたい人が八六・七%もいるにもかかわらず、実際カルテを求めていない。その理由は「頼みにくい」というのが三六・九%であって、先ほども言いましたように、附則の中にも、こういう情報提供をきっちりやっていくということが抜本改革の柱になっていくわけです。
それでまさに三年間の自主的な取り組みが一応行われて、それで、大臣改めてお伺いしたいんですが、やはりここまで抜本改革の中で医療開示ということも柱に入れていくということになっている以上は、今年度末までに一つの結論を総括するということですけれども、やはりこの場で、もう検討会をつくってそれはやっていくということを、せめてそれぐらいの意欲を示してもらわないと、年末ぐらいまでに何か答えを出しますだけでは、余りにも私は意欲がないと思います。
検討会をきっちりつくってください。こういうこと、いかがですか。これは重要な問題ですから。
医療の質をどう上げるかというトータルな話があるわけですね。その中には、患者さんがいろいろの治療方法を示されましたときに、例えば、例えばですよ、年齢なら年齢の関係からこういう治療方法でしてほしいというような御要望があれば、そうしたことが選択できるとか、そうした問題も私はあると思うんです。
質をどう上げていくかという中には、したがいまして、今御指摘になりました情報の開示というものも当然あるわけでありますから、情報をできるだけ病院から開示がしていただけるように、それはトータルでうちの病院はこういうことをしていますということもまずもって開示がされるように、そして、ここへ行けばなるほどカルテの開示もレセプトの開示もなるんだなといったことがわかるようになっていけば、これはおのずから私は進んでいくものだというふうに思っておりますから、そうした方向性を目指して、そして、それを進めていく段階としてどういう手順を踏んだらいいかということは当然のことながら出てくるわけでありますから、それは、検討会なら検討会をつくって、そしてそこでやっていった方がいいということならば、私はそういうふうにするのも一つの方法だというふうに思っています。
いずれにしましても、そういう医療の質を上げるという中の一つの分野の話だというふうに理解をいたしております。
お医者さん側にはお医者さん側の考えがあるでしょうし、立場があるでしょうし、また患者さんの側としては、このデータにもあるように、まだまだ情報開示は十分になされていないという現状もあるわけですね。ですから、これは医療制度、医療の質を高める根本的なポイントですので、今大臣がおっしゃったように、ぜひとも検討会をつくって、オープンな形で、情報開示これでいいのかということを、三年のこの総括をやっていただきたいと思います。
次に、大臣の決意をお伺いしたいんです。
先ほど、ハンセン病のあの控訴断念の後に、抜本改革をやってくれと小泉首相から言われたと。それで、責任を持ってやらせていただきますと答えられたということなんですけれども、私一つちょっと気になっていることがありまして、先日のこの委員会での答弁で、坂口大臣の口から、私の命もそう長くないかもしれないという発言が飛び出したんですが、これは非常に重要なことなので確認しておきたいんですけれども、坂口大臣、何としても自分の手で抜本改革をやっていくと。大臣をまさかその抜本改革の途中でかわるなんということはなくて、続投はされる気はあるんですね。
生あるものはいつかは限りがあるわけでございまして、あすの日も予測はできないわけでございます。ましてや役職というのは、これはもう一つ不安定なものでございまして、いつどうなるかわかりません。
しかし、厚生労働省は恐らく未来永劫続いていくわけでございますから、私がいるいないということではなくて、私の意思を、もしも私がいなくなれば、それを完全に次につないでいくということが大事だというふうに思っています。
ですから、役所の皆さん方にも、私の身分は、これは不安定だ、いついかなることがあるかもそれはしれないけれども、私の今思っているこの医療の抜本改革のこの意思はいかなることがあってもなし遂げてほしい、期限も切られている、ひとつそういうことでやり通してほしいということを言っているわけでありまして、私の存在は別にいたしまして、必ずこの問題は今回はなし遂げられる、そういうふうに思っております。
私は、非常に無責任な発言だと思います。抜本改革をやり抜くという答弁をやっておきながら、自分はまあ途中でいなくなるかもしれませんよというので、この委員会で議論する、おまけに負担増を求めるというのは、抜本改革というのはだれのリーダーシップでやるのかというと、厚生労働大臣のリーダーシップに決まっているじゃないですか。厚生労働省のお役人さんはそのリーダーシップに沿っていくわけですから、せめて、私が責任を持ってやるから一緒にやりましょうというぐらいのことを言っていただかないと、それは、私たちも今質問した大臣が気がついたらいなくなっているということではやっていられないという気がするんです。 そのことについて二つお伺いしたいんですけれども、小泉さんに、何としても大臣を続けさせてくれ、厚生労働大臣を続けさせてくれということをおっしゃっていられるのか、既に。それと、逆に言えば、小泉首相から、三割負担の食い逃げでなくて、抜本改革を何としてもやりたいから、坂口大臣、続投してくれよ、責任を持ってあなたがやってくれよという話、既に小泉さんから来ていますか。そのことをちょっとお聞かせください。坂口大臣、お願いします。
ですから、先ほども申しましたとおり、行政は、厚生労働省は継続しておるわけでありますから、私は厚生労働省の大臣として今お答えをしておるわけでありますから、これが継続することは間違いがありません。
私自身のことは、これは私が決められる話じゃありませんで、これは総理がお決めになることでありますから、それは総理にお任せをする以外にございません。私がここにおります以上は、私はしっかりと皆さんと一緒にこの改革のために取り組んでいくことは、それは当然でございまして、その命の果てます寸前まで、それは皆さんと一緒にやっていくということをお誓いを申し上げたいと思います。
私は、残念ながら、今の答弁というのは、今回のこの健保法の審議を象徴する答弁ではないかと思います。抜本改革をリードするはずの人が途中で自分はいなくなるかもしれませんよ、やはりそこに、私はある意味で、坂口大臣を責めるのではなくて、小泉首相が本気で抜本改革をやる気がない。もし私が小泉首相で、本当に責任を持って抜本改革をやるんだったら、まず厚生大臣だけは少なくとも留任だということを私なら言いますし、それぐらいのことをしないと国民は納得しない。抜本改革なんというのは、そんな途中で大臣がかわって、この健保法の審議で答弁をした人が途中でかわってできるような、僕はそんなものではないと思っております。
では続いて、時間の関係もありますので、社会的入院の問題、先ほど鴨下議員からも質問がありましたが、そのことについてお伺いします。 社会的入院、半年以上で特定療養費化するということですけれども、ここに一つの京都府医師会の調査がありまして、二百七十六の医療施設について調査した、二〇%以上が六カ月以上入院している、医学的治療が必要なケースが四九%で、それで在宅への移行が可能な症例だが環境が整っていないケースが一九%、介護保険施設の入所待ちが一五%ということなわけですね。要は、社会的入院だけれども、まだ介護保険施設のあきがないから出ようにも出られないというケースが一五%あるわけです。
それで、特定療養費化された場合の入院基本料の月額徴収予定額は四万五千円ということなんですけれども、このように、確かに社会的入院だ、本人はもう退院したいと思っているけれども、まだ介護保険施設、特養などがあかない、このようなケースもやはり特定療養費の部分、自己負担アップでとるんですか。お答えください。
先生おっしゃられましたとおり、今回の特定療養費制度への移行といいますか、長期的な入院に関して、そっちの方に移っていくと。推計で五万人ぐらい、介護の分野に行かれる方々、つまり、ちょうど間に、はざまにといいますか、はざまという言い方をすると非常に変な話なんですけれども、行きたくても行かれない方々が出るんじゃないか、こういう御指摘をいただいておりますし、我が省といたしましても、推計をいたしております。
もちろん、各自治体には早く、早急にといいますか、計画にのっとって第二次介護保険事業計画というものを立てて整備を進めてください、それの総括がゴールドプラン21という話になるわけでありますが、自治体を中心に据えながら、こういう問題が起こらないように、なるべく起こらないように整備を促進していく状況でありまして、我が省もそのお手伝いをしっかりとしてまいりたいなとは思っているわけであります。
一方で、それでも、言われますとおり、どうしても移れなくて待機せざるを得ない、そういう方々は、特定療養費化する中において自己負担というものを強いられるのはおかしいじゃないかというお話であろうと思うわけでありますけれども、今のお話のとおり、大体、部屋料ぐらい、月平均ですけれども四、五万円ぐらいを、最終的には一五%という話でありますから、御負担をいただく話になるわけでありますが、一方で、本来入りたくても、在宅、自宅におられて入れない方々というのはおられまして、こういう方々は、では、何らかの優遇措置があるのかといいますと、やはり御自身で生活をされる形以外ないわけでありまして、こことの平等化というものも図っていかなければいけない、公正化といいますか、図っていかなきゃいけないというところもあります。
さはさりとて、今入院しておられる方々が直接行けないためにという話になったときにどうするんだという話でありますけれども、そのために、移行期間という形で、すぐに、スタートをしたからといって、一五%ぐらい、これは特定療養費でありますから、こちらとしてはお願いを医療機関にしておるわけでありまして、医療機関が独自に取るわけでありますけれども、こういうものに関しては、すぐに全額という話ではなくて、段階的にという形で、現物給付の方を低減していくという話になろうかと思います。
ですから、大体、最終的には十六年の四月一日にほぼ完全に制度実施という話でありますから、その間になるべく、なるべくといいますか、我が省といたしましても、そのような社会的入院で、本来は介護の世界に行かなきゃならないんですけれども、それが行くところがなくて医療の方で滞留をされておられる方々というものを、なるべく早く介護の方に移っていただくように、施設整備等々、自治体を中心にしっかりと進めてまいりたいというふうに思っておるような次第であります。
私は、納得できませんのは、本人はもう退院したいと思っているわけですね。治療は一段落したわけですから。ところが、介護保険施設がとまっていて、行くに行けない。これは本人の責任や本人の問題ではなくて、受け入れ側の保険者なり、介護保険施設なり、公の責任ですよね、それは。本人はそう希望されているわけですから。
ですから、坂口大臣にお伺いしたいんですけれども、この責任はだれにあると思われますか。社会的入院したくないんですよ、本人は。もう介護保険施設に行きたいと思っているわけですよ。行くに行けない。行くに行けない人に対して、さらにお金を払えというのは筋が通らないんじゃないんですか。坂口大臣、お答えください。
病院というところは、病気がどういう状況にあるか、治療の必要性があるかどうかによって判断をするわけでありますから、これは病気としてはもうこれでいい、そして、あとはどこかで療養をしてくださいというようなことになれば、それは病院としてはそこまでということに私はならざるを得ないというふうに思います。
では、そのときに皆さん方が行かれる先はどこかといえば、家庭にお帰りになるか、それとも中間施設のようなところでもう少し家庭に帰るまでの訓練をされるか、あるいは終生の住まいとしてそのほかのケアハウスのようなところを選ばれるか、あるいは特別養護老人ホームのようなところを選ばれるか、こういうことになるんだろう。私は、それは幾つもの道筋があるというふうに思います。
確かに、田舎の方はかなり整ってまいりましたが、都市部の方は施設がまだ足りないことも事実だと思うんです。前回の、第一次の、どれだけ必要かという調査をしましたときに、市町村長さんもしっかりした数字を出していなかったわけです。ある特定の機関に頼んで、大体うちだったらどのぐらいな数字になりますかと頼んで出してもらって、その数字を書いたというようなところがたくさんあるわけです。それで、今になりまして、それはえらいことだった、今はもっとたくさん必要なんです、前にああいう数字を出したので困ったというふうに言っておみえになるところもたくさんあるわけでございますので、今、第二回目の、第二次の調査をやらせていただいておりますから、明確な、今後、我が村、我が町はこれだけの施設が要りますということが出てまいりますから、それに合わせまして、足らないところから早急に対応をするということにしていかざるを得ないというふうに思っています。
まさにこれからその計画の整備がされるということなんですけれども、そのときに、本当に市町村がきっちりと十分な整備をするかということが問題だと思います。
冒頭で、私、スウェーデンには高齢者の社会的入院が少ないということを言いましたが、一九九二年にスウェーデンはエーデル改革というのをやりまして、それまで非常に社会的入院が多かった、だからどうしたかといったら、社会的入院と判定されて、向こうの病院は県立なんですが、一週間までは県が面倒を見る、でも、八日目以降、長居をしたら、その入院費、平均一日二万円は全額市町村が払え、そういう制度にしたのですね。そうしたら、社会的入院を放置したら市町村にとっては高くつくから、老人ホームやグループホームをつくろうというふうになって、社会的入院は激減をしたわけです。
そういうふうに、財政的に、社会的入院を放置したら市町村が損をするという仕組みを組み込まないと、このままほうっておいたら、保険料がアップするから、介護基盤整備は進まないと思うのです。
つきましては、この介護保険施設のあきを待っていながら特定療養費化される方に関しては、除外をすべきではないかと私は思うのです。本人責任ではないわけですから。公の整備がおくれているわけですから。 この特定療養費化、半年以上の長期入院の、この部分について、介護保険施設を待っている方はやはり猶予すべきではないか。その点について、坂口大臣、いかがでしょうか。
先ほど、スウェーデンに先生行かれたというお話をお聞きいたしました。また機会があれば、ぜひともそのときの向こうの現状をお教えいただきたいと思うわけでありますけれども、今の現状では我が国の保険制度はそのような形になっていないのは、もう御承知のとおりであろうと思います。
スウェーデンの方を少し調べさせていただきました。エーデル改革の内容を調べさせていただいたのですけれども、確かに、おっしゃられますとおり、県とそれから市町村で、医療と福祉というものをそれぞれ分担して担われている。ただ、高齢者に対するいろいろな対応というものが宙に浮いていたという部分があって、そこでこの改革につなげられたというふうに聞かせていただいております。
そのときに、市の方が面倒を見るといいますか、高齢者の方は、本来、市の方の仕事であろうということで、本来は高齢者としての対応をしなきゃいけないのに、医療の分野におられるのであるならば、市の方から県の方にその負担部分を払われるというような制度になっておるというふうにお聞きしておるわけであります。
問題は、その話でいきますと、介護保険から多分医療保険の方にその費用を出すというような制度が、日本ではほぼ同じ制度として考えられるわけでありますけれども、基本的に、地方財政といいますか、税制上が違うということがまずあると思います。向こうは基本的に、非常に県、市がそれぞれの独自財源というものをとっておるという現状があるようでありまして、なかなか今の日本の状況においては、県と市がそれほどまで、特に市になるわけでありましょうけれども、財源的に十分じゃない。もちろん、介護保険という制度も今の状況ではそういう問題を見ていないという部分があろうと思います。
それからもう一点は、全体といたしましての国民負担率といいますか、その違いも多分スウェーデンと我が国ではあるんであろうなと。七〇%以上を超えるというような負担率というものを見ますと、やはり、国民の理解を得て、医療でありますとか介護でありますとか福祉でありますとか、そういうものに関して、日本よりもかなり実質的に手厚い部分もあるんであろうなというふうに思うわけでありまして、全体を見ながらどう考えていくか、そういう組み合わせといいますか、全体のパフォーマンスというものは考えていかなきゃならぬと思うわけでありますが、制度といたしまして、先生がおっしゃられますようなことは現状といたしましてはないということでございますので、御理解いただきますようお願いいたします。
とにかく私が申し上げたいのは、このままでは市町村が介護基盤整備をするインセンティブが働かないですよ、行き場所がなくて、受け皿がなくて、たらい回しになって亡くなるお年寄りがふえるんじゃないですかということを言っているわけでありまして、そのことをきっちりと、そういうことにならないようにしていただきたいと思います。
もう時間ですので、最後短く、一点だけ改めてお伺いして終わりたいと思いますが、坂口大臣、先ほどの話ですが、小泉首相にぜひとも、抜本改革をするために続投させてくれということを、ぜひとも言っていただきたいと思います。そして、その答えを、また次に私は質問させていただきますので、そのとき聞かせていただきたい。そういうことを小泉首相に言っていただけますか。もしそれも言ってもらえないということになったら、やはりそういう大臣のもとでこういう真剣な審議をやって本当に意味があるのかということにすら私はなりかねないと思います。
坂口大臣、よろしくお願いいたします。
○森委員長
この際、暫時休憩いたします。 午後零時二十一分休憩 ――――◇―――――
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