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2002年4月10日
衆議院 本会議 議事録 やまのい和則趣旨説明はこちら
患者の権利法案 医療の信頼性の確保向上のための医療情報の提供の促進、 医療に係る体制の整備等に関する法律案
ただいま議題となりました地方公共団体の一般職の任期付職員の採用に関する法律案につきまして、総務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。 本案は、地方公共団体の行政の高度化及び専門化の進展に伴い、専門的な知識経験またはすぐれた識見を有する者の採用の円滑化を図るため、地方公共団体の一般職の職員について、任期を定めた採用に関する事項を定めようとするものであります。 本案は、去る四月十一日に本委員会に付託され、十六日片山総務大臣から提案理由の説明を聴取し、昨十八日質疑を行い、討論の後、採決いたしましたところ、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。 なお、本案に対し附帯決議を付することに決しました。 以上、御報告申し上げます。(拍手) ――――――――――――― ○議長(綿貫民輔君)
採決いたします。 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○議長(綿貫民輔君)
起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。 ――――◇――――― 健康保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出)及び健康増進法案(内閣提出)並びに医療の信頼性の確保向上のための医療情報の提供の促進、医療に係る体制の整備等に関する法律案(山井和則君外三名提出)の趣旨説明 ○議長(綿貫民輔君) この際、内閣提出、健康保険法等の一部を改正する法律案及び健康増進法案並びに山井和則君外三名提出、医療の信頼性の確保向上のための医療情報の提供の促進、医療に係る体制の整備等に関する法律案について、趣旨の説明を順次求めます。厚生労働大臣坂口力君。 〔国務大臣坂口力君登壇〕 ○国務大臣(坂口力君)
健康保険法等の一部を改正する法律案及び健康増進法案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。 まず、健康保険法等の一部を改正する法律案について申し上げます。 急速な高齢化等による医療費の増大等により、医療保険財政が厳しい状況にある中で、医療保険制度については、給付と負担の公平を図るとともに、将来にわたり持続可能で安定的なものとしていくことが求められています。 このため、今回の改正では、患者一部負担金の見直し、健康保険の保険料における総報酬制の導入、政府管掌健康保険の保険料の引き上げ、老人医療費拠出金の算定方法の見直し、国民健康保険の財政基盤の強化等の措置を講ずることとしております。 以下、この法律案の主な内容について御説明申し上げます。 第一は、健康保険法等の一部改正であります。 まず、健康保険の本人及び家族の入院時の一部負担金について、各制度間の給付率を統一する観点から三割負担とするとともに、外来に係る薬剤一部負担金を廃止することとしております。ただし、七十歳以上の者については原則一割負担とし、三歳未満の者については二割負担とすることとしております。 次に、保険料について、総報酬制を導入するほか、政府管掌健康保険の保険料率を千分の八十二とするとともに、中期的に保険財政の均衡が図られるよう、少なくとも二年ごとに保険料率の見直しを行うこととしております。 このほか、片仮名書き・文語体となっている健康保険法の表記を、平仮名書き・口語体に改め、表記の平易化を図ることとしております。 また、船員保険法についても、健康保険法の改正に準じて所要の改正を行うこととしております。 第二は、老人保健法の一部改正であります。 まず、老人医療の対象者を現行の七十歳以上から七十五歳以上に、老人医療費に対する公費負担割合を三割から五割に、いずれも五年間で段階的に引き上げることとしております。 また、老人医療の一部負担金について、月額上限制及び診療所に係る定額選択制を廃止し、一割負担の徹底を図ることとしております。あわせて、一定以上の所得を有する者については、二割負担とすることとしております。 このほか、老人医療費の伸びを適正化するための指針の策定、老人医療費拠出金の算定方法の見直し等の措置を講ずることとしております。 第三は、国民健康保険法の一部改正であります。 一部負担金について、各制度間の給付率を統一する観点から健康保険法と同様の改正を行うほか、広域化等支援基金の創設、高額医療費共同事業の拡充・制度化、低所得者を多く抱える保険者に対する支援制度の創設等、国民健康保険の財政基盤を強化するための措置等を講ずることとしております。 最後に、この法律の施行期日につきましては平成十四年十月一日とし、三割負担、薬剤一部負担金の廃止及び総報酬制に関する事項につきましては平成十五年四月一日としております。 あわせて、医療保険各法の給付率については、将来にわたり七割を維持することとするほか、保険者の統合及び再編を含む医療保険制度の体系のあり方、新しい高齢者医療制度の創設並びに診療報酬の体系の見直しに関する基本方針を平成十四年度中に策定し、その方針に基づき所要の措置を講ずることを初め、医療保険制度の改革に関する各般の課題について改革を進めることとしております。 次に、健康増進法案について申し上げます。 我が国における高齢化の進展や疾病構造の変化に伴い、国民の健康の増進の重要性が増大しており、健康づくりや疾病予防を積極的に推進するための環境整備が要請されております。 このため、健康の増進の総合的な推進に関し基本的な事項を定めるとともに、国民の健康の増進を図るための措置を講ずることとし、この法律案を提出した次第であります。 以下、この法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。 第一に、国民の健康の増進の総合的な推進を図るために、厚生労働大臣は基本方針を、都道府県は都道府県健康増進計画を定めるものとし、市町村は市町村健康増進計画を定めるよう努めるものとしております。 第二に、厚生労働大臣は、健康保険法その他の関係法令に基づき行われる健康診査の実施等に関する共通の指針を定めるものとしております。 第三に、厚生労働大臣は、国民健康・栄養調査を行うものとするとともに、国及び地方公共団体は、生活習慣病の発生の状況の把握に努めるものとしております。 第四に、市町村は、生活習慣の改善に関する相談等を行い、都道府県等は、特に専門的な知識及び技術を必要とする保健指導等を行うこととしております。 第五に、多数の者が利用する施設の管理者は、受動喫煙を防止するために必要な措置を講ずるように努めなければならないこととしております。 第六に、特定給食施設の設置者は、当該施設における適切な栄養管理を行わなければならないこととするほか、現行の栄養改善法に基づく特別用途表示及び栄養表示基準の制度を引き継ぐこととしております。 このほか、栄養改善法の廃止その他所要の規定の整備を行うこととしております。 最後に、この法律の施行期日は、一部の事項を除き、公布の日から起算いたしまして九月を超えない範囲内において政令で定める日としております。 以上が、健康保険法等の一部を改正する法律案及び健康増進法案の趣旨でございます。 何とぞよろしくお願い申し上げたいと存じます。(拍手) ――――――――――――― ○議長(綿貫民輔君) 提出者山井和則君。 〔山井和則君登壇〕 ○山井和則君
民主党の山井和則です。
ただいま議題となりました、医療の信頼性の確保向上のための医療情報の提供の促進、医療に係る体制の整備等に関する法律案、私どもはいわゆる患者の権利法案と呼んでいますが、これについて、提出者を代表し、その趣旨及び概要を御説明申し上げます。(拍手)
今、医療事故が国民の大きな不安となっており、年間二、三万人が医療事故や医療過誤で亡くなっているとの推計もあります。そんな中、調査でも、八七%の人がカルテ開示を求め、医療事故に関する情報公開が不十分だと感じている人が七一%にも達しています。さらに、医療についての満足度調査でも、医療情報の公開は、待ち時間の長さ、医療費の高さに次いで、三番目に高い不満の原因となっております。
先ほど坂口大臣から、健康保険法等の改正案の趣旨説明がありましたが、国民が求めているのは、三割への自己負担アップではなく、この患者の権利法のような医療情報の開示であります。
二十一世紀のキーワードは、情報公開と国民の主体的参加です。そして、医療は、患者を中心に、患者と医師との共同作業で行われるべきものです。患者の理解と選択に基づく医療のためには、医療内容の十分な説明、診療情報の積極的な開示が前提で、それによって、患者と医師との間に信頼関係が生まれ、良質かつ適切な医療が可能になります。そのためには、法的な整備が必要不可欠であります。
以上が、本法律案提案の趣旨で、次に、法律案の概要を申し上げます。
第一は、基本的理念及び責務です。医療は、患者と医療従事者との信頼関係のもとに患者の理解と選択に基づいて行われること、患者と医療従事者との間で情報が共有化されることなどを基本理念として定めております。
第二は、医療機関に係る情報提供を定めるとともに、広告規制の緩和について、原則自由化の方向を示しております。
第三には、医師等は診療について十分な説明を行うこと、患者は医療適正化委員会に相談できるとしております。
そして第四に、カルテなど診療記録の開示等です。医療機関の管理者は、患者等から請求があれば、患者に悪影響を及ぼす場合などを除き、診療記録を開示しなければならないとし、医療に要した費用の支払い明細書、レセプトの交付もすることとしています。
また、第五には、安全かつ適正な医療確保のための体制整備の規定、最後の第六に、患者等からの苦情の解決策を定めています。 以上が、本法律案の趣旨及び概要であります。
日本の医療費は、GNP当たり、先進国に比べて少ないにもかかわらず、国民からもっと医療にお金をかけようという声が上がりにくいのは、医療費をふやしても、むだな検査や薬に使われるのではないかという不安が強いからです。
医療情報の開示のメリットは、患者の満足度を高め、選択肢をふやすことにとどまりません。支払い明細書、すなわちレセプトを患者がチェックすることは、不正請求、過剰請求、検査漬け、薬漬けの防止になり、医療の質向上とともにむだな医療費を削減する、一石二鳥の効果があるのです。
小泉首相は、三割負担にしないと医療改革は進まないと言っておられます。しかし、病気で苦しむ患者という最も弱い立場の人々に痛みを押しつける前に、医療情報の開示によって、むだな医療費を削減することが先決ではないでしょうか。(拍手)
患者の三割負担により補われると見込まれる約八千五百億円の経費は、情報開示をすれば削減できるのではありませんか。不正請求、過剰診療を減らすことは、本当に必要な医療や良心的な医療機関に十分な医療費を回すことにもつながるのです。
医療情報の開示なくして医療改革なしです。カルテ開示は四年前に、レセプト開示は五年前に、その方向性が示されましたが、遅々として進んでいません。今こそ、法制化が必要です。
小泉首相、国民の声を聞いてください。私の知人も、四十歳で、経営難で、二歳と六歳の子供を置いて自殺しました。今、年間三万人以上が自殺しているこの国において、最も切実な、どん底の不況の中での優先課題は、有事法制よりも、不況対策、そして、安心してかかれる医療や福祉ではないでしょうか。小泉首相、国民の痛みを感じてください。国民の声を聞いてください。
以上で、提案理由説明とさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
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