2002年4月10日 |
衆議院 厚生労働委員会 議事録 |
障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案 |
民主党の山井和則です。 三十五分間ですが、きょうはメーンの障害者雇用促進の問題の前に二点ほどお伺いしたいこともございます。坂口大臣にお伺いする点も多くて申しわけないんですが、どうかよろしくお願い申し上げます。 早速ですが、まず第一点目は、公明党さんも大変熱心に取り組んでおられます救急救命士の業務範囲の拡大、気管内挿管のことについてでございます。 この資料の一番後ろの朝日新聞の新聞記事を見ていただけますでしょうか。見ていただいたらわかりますように、「救急救命士が気管内挿管していたら… 三人救命の可能性高く」ということであります。実際、これ以外にももちろん可能性はあるわけですけれども、ここにも書いてございますように、救急医療専門医は、この三例について、気管内挿管以外での換気が困難な症例、三例とも患者が倒れてから現場処置までの時間が極めて短い、それで、現場で気管内挿管をして十分な酸素が送り込まれていたらより高い救命の可能性があったと考えられると分析しておられるわけですね。 これは過去五カ月、三十万人人口の秋田市ですから、全国で一年間で考えると三千人ぐらいの方がこういう可能性が、もちろん可能性ですけれども、あるんではないかというような推計も成り立つわけなんですけれども、この記事について大臣はどのように感想を持たれるか。 それとあわせて、資料のもう一枚手前、資料四を見ていただきたいんです。 この問題、私も今までから国会で取り上げておりますが、今井澄参議院議員の質問に対しては、救急救命士が気管内挿管できることを、正式な文章を言うと「できるかできないかということではなくて、やるということを前提にしながら、」早急に検討するというふうに答弁されておりますし、私の質問に対しましても、年内にどういう方法でやるかの結論を出すという答弁をいただいているわけですけれども、この秋田魁新報によりますと、下の星印を見ていただいたら、坂口大臣は年内に気管内挿管など救命士の業務を拡する方針を示したことについて、「厚労省医政局指導課は会合で「厚労省の指示は「仮に認める場合、どんな条件整備が必要になるのか示してほしい」ということで、実施を決めたわけではない」と説明した。」と、国会での大臣答弁と明らかに異なったことを課の方がおっしゃっておられるわけです。 そこで、先ほどの朝日新聞の記事に対する感想とともにお伺いしたいんですが、救命士に気管内挿管を実施させるという前提で検討しておられるということでよろしいですね。 その二点、坂口大臣、よろしくお願いいたします。 この朝日新聞の記事につきましては、どこからこのデータが出たかということを少し調べてもらったんですが、秋田市の消防署あたりから出たものではどうもないらしい、そうではないというお話でございまして、どこから出ましたデータなのかということはちょっとつかめなかったわけでございますが、とにかくこういう新聞記事があることだけは事実でございます。 この新聞にありますことが一体こういうことなのかどうかということは、私もにわかに判じがたい点もあるというふうには思いますけれども、しかし、患者さんを中心に考えましたときに、やはり、早く手を打つことによって助かる人があり得るということは、論理的にもこれはもう考えられる話でございまして、私は、そういう意味では、この記事そのものがある一つの方向性を示しているというふうに思っております。 いずれにいたしましても、いろいろこれから、救急救命士の訓練でありますとか、あるいはまたどういう場合にするかとかいったようなことも含めて検討しなきゃならない点もかなり多いというふうに思っておりまして、これは、厚生労働省と総務省の方の共同でいろいろ検討をしなければならないというふうに思っております。できれば今月中に立ち上げたいというふうに思っておりまして、いい議論を進めさせていただきたいというふうに思っています。 その方向性というのは、やはり、やるとすればどういう方向でやれるのかといったようなことをその中で議論がされるものというふうに私は思っている次第でございます。 ちょっと重要なところなので、方向性ということですけれども、今井議員の質問に予算委員会で答弁されたように、気管内挿管を「やるということを前提」という、この答弁で正しいですね。もう一度お願いします。 ○坂口国務大臣 前提といいますか、行うことにするならばどういうことが大事なのかということを議論しなきゃならないというふうに思うんですね。 これから、患者さんを中心に考えました場合に、それは必要なことがあるだろうと私も思うんです。その必要なときに、それじゃどういうときにお願いをするかということになるんだろうと思うんですね。 秋田の例でしたか、三年間か何かで千三百例か何かあるとかなんとかというようなことが、これも新聞記事でちらっと私見たような記憶があるんですが、それはちょっと私は、必要な例がそんなにあるかなという気持ちは率直に言っていたしております。 ですから、そこはひとつ、やるという前提に立つならばどういう条件が必要かということを議論するということでございます。 拡大を、気管内挿管をさせないという結論になる可能性もあるんですか。そうなってくると、今までの答弁が全然変わってくるわけですけれども。 ○坂口国務大臣 これは、専門家の先生方に御議論をいただくわけでございますから、その先生方のおっしゃることを私が先に決定してしまうわけにはいかないというふうに思います。そこでよく議論をしていただくということだというふうに思います。 前提としては、しかし、やっていただくためにはどうするかということの話だろう。結論として、もういかなる場合であってもそれはだめだという結論も、それは理屈の上ではあり得る範囲の一つだというふうには思いますけれども、私は、多分そうはならないというふうに思っております。 ありがとうございます。 私がなぜここまでこだわるかというと、御存じのように、十一年前に救急救命士法ができた時点で、早急に検討するとなって、十一年間ある意味で先延ばしになってきた問題ですので、今回こそはきっちりとやっていただきたいですし、先ほどの新聞の記事でも、亡くなられたこの三人の御遺族の方の気持ちを考えたら、これは大変なことですよね。もしかしたら、気管内挿管をやっていたら、うちの家族は助かったかもしれない。こんなことが一年間に千人も二千人も出てきたら、これは大変なことであります。 それで、もう一点お聞きしたいんですが、年内に結論を出すというふうに前回の私の質問で御答弁いただいたんですが、問題は、いつからできるかなんですね。もうこの五カ月で、三十万人のところだけで三人出てきているわけなんですけれども、私の要望としましたら、既にかなり体制が整っている先進地域においては、年内に結論を出して研修をすれば、来年の春ぐらいから救急救命士さんが、もちろん研修を受けたりメディカルコントロールをきっちりやった上で、気管内挿管をできるという体制が組めるのではないかと思うんです。 これは本当に、毎日こういう方が十人ずつぐらい発生している可能性があるわけですから、一刻を争う問題なんですけれども、そのあたり、既にこういうことが普及している先進地域で、もちろんさらに研修をしてなんですけれども、早ければ来年の春ぐらいからということでお願いできますでしょうか。 〔委員長退席、野田(聖)委員長代理着席〕 ○坂口国務大臣 結論は年内に出したいと思っております。 しかし、どういう結論になるか、それはわからないわけでございますが、仮にそこで、それではいろいろな条件はありますけれどもやりましょうということになりました場合に、ではどういうことがあと残されているかといえば、一つは、やはり全国的な規模での訓練等もあるわけでありますし、あるいは勉強もしていただかなければならない。あるいは、救急救命士の皆さん方の今後の養成のあり方みたいなものも少し決めていかなければならないというふうに思っております。 部分的に、秋田でいろいろなことがあったから、秋田だけ先にやってもらって、ほかはぼつぼつやろうかというような調子にもなかなかいかない。それはやはり、やるということになれば、全国一斉にやれるような体制にしなければならないというふうに思いますしいたしますから、何月からとか、今そこまで言うわけにはいきませんけれども、おのずから御理解いただけるのではないかと思っております。 私がこの問題にこだわりますのは、命がかかっている問題ですから、もし結論を出した後、それこそ二年もかかって実施して、やはり実施したら救命率が上がった、たくさんの人が救えたということになったら、その準備期間の二年間で亡くなった方の命はどうなるんだと。それこそ、ヤコブ病やハンセン病のような、結局これは行政が怠慢したからじゃないかということになりかねないわけですね。ですから、そこはしっかりと早急に取り組んでいただきたいと思います。 それで、もう一点だけ。除細動に関しては、坂口大臣も、ほとんど合意がとれている、検討することもそれほどないということを、今までから公明党さんの質問に対しても答弁をされているわけですけれども、アメリカでは、四時間半程度の研修で、一般市民も自動式の除細動器を使って除細動をもうやっているそうなんです。これについては、それこそ気管内挿管ほど検討する必要はないと思うんですが、もうことしの夏ぐらいから、もう現場の方は、あしたからでもできるということをおっしゃっているんです。アメリカでは四時間半で一般の市民の方が、この自動式除細動器は器械が診断を読み込んでくれるわけですから。そのことに関して、坂口大臣、いかがですか。 ○坂口国務大臣 除細動の問題につきましても、同様に検討していただきたいというふうに思っておりますし、他のものに比べましては比較的結論の出やすい問題ではないかというふうに私は思っている次第でございます。 しかし先ほど、それまでの間に、二年なら二年の間に、いろいろな亡くなる人が出る可能性もあるというお話がございましたけれども、それはそういうことも考えられますが、しかし、一面におきまして、技術が未熟であるにもかかわらず行うことによって、かえって命を失うということもあり得るわけでありますから、そういうことが起こりましたら、それではだれの責任だということになってくる。その辺のところは、慎重にやはり対処していかなければならないというふうに思っている次第でございます。 先ほど、全国一律にということでしたが、私は、やはりできる地域から進めてほしいと思っております。 次に、国立病院の談合疑惑について質問をさせていただきたいと思います。 先日の委員会で釘宮議員からも指摘がありましたが、十件の国立病院に関する談合の疑惑があって、それを仕切っているのが大物厚生労働族議員の秘書ではないかという質問に対して、談合疑惑については調査に入っている、公正取引委員会にもメモを渡したという答弁があったわけですが、実際その後、どのような調査の経過になっているのか、河村部長さんにお伺いします。 ○河村政府参考人 先般、本委員会及び参議院予算委員会で御指摘のあった国立病院の関係の工事に関しましては、現在、三月十二日及び十四日の入札分につきましては契約を保留いたしておりますし、三月十九日及び二十二日に予定していた入札につきましては延期をいたしております。 これまで入手いたしております国立病院の整備工事発注にかかわりますところの談合情報につきましては、三月二十九日に、公正取引委員会に対しまして、独禁法四十五条に基づく正式な申告を行ったところでございます。 また現在、入札参加業者に対するより詳しい再調査、それから、これは来週になると思いますが、国立病院関係のOBの調査を実施するということにしておるわけでございます。この調査の結果を踏まえまして、今後の対応について適切に決定していきたいというふうに思っております。 公正取引委員会でも調査をされているということですが、現状はどうですか。 ○上杉政府参考人 お答えいたします。 この報告が出るということですが、報告が厚生労働省と公正取引委員会から出た時点で、この委員会で報告を求めたいと思いますが、委員長、お取り計らいをお願いできますでしょうか。 ○野田(聖)委員長代理 理事会で協議します。 前回の答弁で、国立病院部から十三人もが建設会社に天下っている、再就職しているという答弁がありました。その名簿がここにあるわけですが、最終役職しか書いてありません。そして、まさに談合疑惑の会社名が、その再就職している会社と一致をしているわけですね。 そこで、解明する気があるんだったら、天下りをした方々の具体名を出すべきだと思うんです。ここに書いてありますのは、本省室長補佐、私、本省室長補佐といってもだれのことかさっぱりわからないわけですね。名簿を出さないこと自体が疑惑解明に消極的だというふうに思うんですが、本気でやる気があるんだったら、具体的な名前の入った名簿を出して、やましいことはないということをしっかり弁明すべきだと思うんですが、いかがでしょうか。 ○河村政府参考人 OBの十三人につきましては、先般、釘宮先生から御依頼がございまして、もとの官職名と再就職先を明らかにしたリストをお渡ししたところでございます。個人個人の名前につきましては、個人のプライバシーの問題もありますし、本人の了解もなく公表するのはいかがなものかと思いまして、差し控えさせていただいたということでございます。 私ども、来週でございますが、OB十三人すべてについて調査をいたします。真剣に取り組みたいと思っております。 やはり、この疑惑というのは、厚労省のOBの方が建設会社に再就職して、現役の方と情報交換をして、またそこにコーディネーターとして族議員の秘書さんが入って、天下りのときのお土産みたいな形で受注が行われているんじゃないかという、これは本当に、まさに今、国会で問題になっている政官業の大きな癒着なんです。この悪循環を断ち切らないと、今回のこの国立病院だけでも六百億、その一%が議員に渡っているんではないか、そんな報道さえ週刊誌に出ているわけですね。 やはりここは、そんなやましいことはしていませんと、しっかり具体名を出して、公務員なわけですから、やましいことがないんだったら堂々と具体名を出して、ここに再就職しています、でも、クリーンで、そういうやましいことはありませんと言うべきじゃないかと思います。 まさにこういう問題が深刻になっている今国会、坂口大臣にお伺いしたいんですが、坂口大臣の決断、坂口大臣が出すべきだと言っていただいたらそれは可能なんです。坂口大臣、いかがでしょうか。 ○坂口国務大臣 いずれにいたしましても、この問題は、国民の皆さん方から疑惑を抱かれるようなことがみじんもあってはならない、そう思っております。したがいまして、明白にしたいというふうに思っておりますし、今後、こういう省庁の工事というものにつきましては、やり方を考えていかなきゃならない。 そういう意味で、電子入札制がベストかどうかは私も率直に言ってわかりにくい点もございますけれども、現在の制度よりも疑われるようなことが起こりにくいというふうに私は思っているわけでございまして、先日も国土交通省と打ち合わせをいたしまして、どういうふうにできるかということも聞いたところでございます。もう来月からでもでき得るということでございますので、新しい方式を取り入れまして、そして疑いのないようにしていきたい、そういうふうに思っております。 その新しい方式ももちろん大事だと思いますが、同時に、地方医務局や国立病院部から建設会社に再就職する、そもそもそういう天下り自体を私は禁止すべきではないかと思います。そのことについて大臣の御決意をお聞かせください。 ○坂口国務大臣 そうしたことも気をつけていかなければならないというふうに思いますし、そうしたことが明確にちゃんとできていけば、例えばその入札なら入札について公正にできていけば、むしろ今後そうしたことをいろいろと言われることもないだろうと思います。 したがいまして、職員が天下るということにつきましても我々もっと気をつけていかなければならないと思いますが、たとえ例えば一人なり二人なりあったとしても、そのことによって厚生労働省との間の関係が何かとりわけ緊密であるというようなことが言われないようにするということも、あわせて大事だというふうに私は思っています。 しかし、今御指摘のように、多くの人間が、とりわけ特に関係をしておりました人間が天下るということについては、決して好ましいことでありませんので、注意していきたいと思います。 〔野田(聖)委員長代理退席、委員長着席〕 この問題は、坂口大臣、きっちりと取り組んでいただきたいと思いますし、私たち民主党も党を挙げて、やはりこれから医療保険の問題とか本当に切実に国民の負担に関係することを考えていく、命にかかわる問題を取り扱うのがこの厚生労働行政なわけですから、そこのところ、これからも引き続き調査と改革をよろしくお願いいたします。 それでは次に、精神障害者の雇用促進についてですが、まず、先日の衆議院本会議で私これを質問させていただきまして、坂口大臣から御答弁をいただいたんですが、そのことに関する再質問としてお伺いしたいと思います。 私の知り合いの横山ひろ子さん、喬さん御夫妻が京都市で精神障害者の作業所をやっておられまして、私も一昨日お伺いしました。そこでは、ボランティアの方々が御飯をつくって、その御飯を精神障害者の方々がお年寄りの家に運んで、そのお年寄りとの触れ合いや、ありがとうと言ってもらえる生きがい、やりがい、そういうものを通じて精神障害者の方々が自立していかれる、そういうのを目指している精神障害者の作業所なんです。 そこでも、今までから症状が安定されて民間企業に就職された方もおられますが、ごく一部であります。やはり、すぐにフルタイムの仕事につけるかというと、その辺、就労形態については、午前中からの審議にもありましたけれども、いろいろ検討の余地はあるかと思うんですけれども、精神障害者二百万人中五万人という、二・五%しか雇用されていないこの現状を変えていくには、法定雇用率に組み入れることが不可欠だと思います。 このことに関して、つい先日、水島議員の質問に対して、それは早期にやっていきたい、ただ、十年後までにはならないけれども、五年後にできるかどうかわからないという答弁があったわけですけれども、私申し上げたいのは、早期にやると言って、五年でできるかどうかわからないというのは早期ではないと思うんです。そういう意味では、遅くとも次の改正の五年後には精神障害者を法定雇用率に組み入れるという決断を坂口大臣にお願いしたいと思います。 先ほどから、審議会に任せるとかいう答弁がありましたけれども、審議会に任せたところで、だれが最後決断するんですか。雇う側の方はもうちょっと待ってくれと言うに決まっているわけですし、そういう意味では、大臣がしっかりと期限を切る、そしてその期限までにどういうことをやっていったらいいかということを審議会のメンバーが考えるというのが本来の政治の姿であって、最も重要な期限までを、何の責任があるのかもわからないような審議会に丸投げするというのはよくないんではないかと私は思います。 坂口大臣、この精神障害者の雇用率の組み入れに関して、いかがでしょうか。 ○坂口国務大臣 精神障害者の雇用率につきましては、雇用率といいますか精神障害者の雇用につきましては、これはそんなに、五年もかかるものじゃないと私は思っています。もっと早くこれは結論が出るというふうに思っておりますから、その改正がいつ行われるのか、それまでに行われるのか五年後に行われるのかはわかりませんけれども、結論はもっと早く出るというふうに私は思いますし、そのための条件も整備をしなきゃいけないというふうに思っています。 坂口大臣、前向きな答弁をありがとうございます。本当に、五年以前に何とかこれを組み入れていただきたいと思います。 というのは、私も精神障害者の方々と十数年おつき合いをさせてもらっていますが、就職して、ある程度の生きがい、そして収入、そして自分の自信を取り戻すことができたら、本当に人生を夢を持って生きていかれる方が多いんですね。しかし、それがまた三年、五年とおくれてしまうと、一歩間違うと人生台なしになる危険性があるわけです。御存じのように、日本の精神医療は、残念ながら国際的に見ても非常におくれております。精神病院に隔離してと。そういう面をカバーする意味でも、ぜひともよろしくお願いします。 そして、そのことと関係して、労働政策審議会の障害者雇用分科会の委員についてお伺いしたいんですが、この三に委員の名簿があります。ここで、障害者代表として、例えば身体障害者の場合は、兒玉明さんは肢体不自由な身体障害の当事者、笹川吉彦さんは視覚障害者という、当事者がお二人入っておられます。ところが、精神障害者に関しては、お一人、家族の方だけなんですね。 まさにこれから精神障害者の問題にもっと真剣に取り組もうというときですから、この池末さんに加えて、やはりもう一人精神障害者の当事者をこの分科会のメンバーに入れるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。 ○坂口国務大臣 適当な人があれば、それは、私はそうしたことも必ず行われるというふうに思いますが、御本人なのか、それは家族の方を含めての問題なのか、その辺のところも私は今後検討してもいいのではないかというふうに思っています。 しかし、精神障害者の皆さん方の内容もさまざまでございますし、例えば、うつ病なんかにおなりになって、そして完全に治られたという方はもうたくさんおみえになるわけでありますから、そうした方も精神障害者の中に入れるということであれば、そして、そうした皆さんの中に委員としてふさわしい人があるというのであれば、それは私は可能になるのではないかというふうに思います。 これは、委員ですから、だれでもいいというわけにもいきませんしいたしますので、それなりのやはり見識をお持ちになった方であって、そして、その御家族なりあるいは病気をおやりになった方ということになるんだろうというふうに思いますから、そこは十分に理解をしながらやりたいというふうに思っております。 まさにそこなんですね。もちろん症状が落ちついた当事者の方ですけれども、まさに精神障害者の雇用率をアップさせようということを議論するこういう分科会であるからこそ、一歩踏み込んで当事者の方を入れていただきたい。厚生労働省本体が一歩踏み込まなくて、企業の方々に踏み込んでくれというのも私は順序が逆ではないかと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。 そして、月五万円の納付金について。これも衆議院本会議で坂口大臣にお伺いしたことですが、このとき坂口大臣は答弁で、納付金を払った方が安くつくというようなことはないようにしていきたいと言っておられます。 私、雇用主の方から聞いたら、五万円どころか、一人雇うと三倍の十五万円ぐらいかかるという声も聞いたことがありますし、私が聞いた多くの雇用主の方は、やはり納付金五万円だったらそれを払った方が安いと答えられています。だからこそ、大企業の四分の三は、法定雇用率を満たさずに納付金を払っているわけですね。 そこで、では五万円が高いのか安いのかということで、私、厚生労働省の担当の方に聞いたんです。そうしたら、平均必要額に一・五倍を掛けた額を納付金にしているということですが、それでは肝心の平均必要額三万四千七百円はどういうデータから出てきた数字ですかと言うと、それは出せないとおっしゃるんですね。本当はきょうの質問でその話をしたかったので、なぜ三万四千七百円が平均必要額なんですかというと、いや、それだけは勘弁願いたいということで、そうしたら、高いのか安いのか議論ができないわけなんです。 だから、まさに大臣がおっしゃるように納付金の方が安いことがないようにするためには、算定のデータや基準、根拠をしっかり明らかにして、同時に私は引き上げるべきではないかと思うんですけれども、そのあたり、いかがでしょうか。 納付金を出していただいているからもう障害者を雇わなくてもいいというわけでは決してないわけで、それはそれとしながら、しかし、障害者の方は雇ってほしいということを我々も主張しているわけであります。 それで、この算定の仕方でございますが、これは委員もお聞きいただいたというふうに思うんですけれども、身体障害者または知的障害者を雇用します場合に必要な施設や設備の設置、整備に通常要する費用、適正な雇用管理のために通常要する費用などを根拠として決める、こういうことになっているわけであります。 障害者の皆さん方を雇用いたしましたときに、特別な設備が要りますとか、特別な経費が要りますとかというようなことがどれだけあるかというのは、障害者の程度にもよると思いますし、あるいはまた仕事の内容にもよると思いますから、そこは、平均してどれだけかというのはいろいろ考え方もあると思うんですね。ですから、これは前回は平成五年に決めているわけでございますので、そのときにはこういう結論になったということなんだろうというふうに思います。 初めにも申しましたように、これを出していただいているからといって、障害者を雇っていただくのはもうそれで免除してもいいですよと申し上げているわけではございませんので、出していただくものは出していただくものとして、しかし、何とかひとつその達成率を達成してくださいということを申し上げているわけでございます。 それで、まさにその点、この資料一、私のお配りした資料の表紙を見ていただきたいんですけれども、実雇用率は、過去六年間を見たら一・四七、一・四七、一・四八、過去三年は一・四九、一・四九で、ほとんど上がっていないんですね。おまけに、未達成企業の割合は、平成八年の四九・五から平成十三年の五六・三まで、年々アップしているわけですね。こういうことを見ても、やはり納付金は安過ぎるんじゃないかというのは、普通に考えたらそういう議論が出てくると思います。 それと、二ページ目をお願いしたいんですが、二ページを見ていただいても、雇用未達成企業数というのは、例えば、平成四年の二万五千件から平成十二年の三万三千件まで、どんどんふえている。ふえているにもかかわらず、雇い入れ計画作成命令の発出は、見てもらったら、過去十年で四百二十八件から百十七件に減っている。また、公表を前提とした特別指導を実施した企業数も、百十三件から二件に減っているわけですね。未達成企業がふえているのに、雇い入れ計画作成命令や特別指導が減っているというのは、やはりこれはちょっと甘過ぎるんではないですか。 そういう意味では、一つ提案したいんですが、十年間法定雇用率を達成していないような企業は、どう考えても悪質ですよね。十年間法定雇用率を達成していないような悪質な企業名は公表すべきだと思うのです。もし、いや、それでも公表できないといったら、そもそも精神障害者の雇用促進の意思なんかないんじゃないかというふうに思うんですけれども、そのあたりを含めて、いかがでしょうか。 ○坂口国務大臣 私も、この数字はちょっと見ておりませんので、これは、なるほど、雇用率未達成企業数というのはだんだんふえてきている、ふえてきているけれども、命令を出している方は、ふえているどころじゃなくて、横ばいか、余りふえていない、あるいはちょっと減っているといっておるようなことではこれはいけませんので、これはちゃんとやらせます。企業がふえてきておったら、それ以上にこちらの方がふえて当たり前ですから、ここはちゃんとやるようにいたします。 それで、名前を出すかどうかは別にいたしまして、何年たっても達成しない、やる気がないというところにつきましては、もう少し厳しく、やはり達成できるような方法を考えます。それで、達成してもらうようにしたいというふうに思います。 ありがとうございます。 公表の効果はあるかどうかということなんですけれども、一ページ目の資料にありますように、平成四年に公表したら、翌年に一・四一、翌々年に一・四四と、やはりちょっと上がっているんですね。その効果も私はあるんじゃないかと思います。 そういう意味では、最後になりますけれども、ここに出ていますように、ここ数年横ばいですから、今回こういう法改正をやる以上は、来年もやはり変わらなかったということになったら何のための法改正かということになるわけですから、来年はやはり法改正したから上がったなとなるように、ぜひとも全力で御努力をよろしくお願いいたします。 どうもありがとうございました。 |