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2002年2月27日 

衆議院 厚生労働委員会 議事録

社会的入院は減るが・・・
やまのい和則 部分掲載


森委員長 次に、山井和則君。

山井委員

 坂口大臣、これから三十分間の限られた時間ですが、大臣にお答えをいただく場面も多いかと思いますが、どうかよろしくお願い申し上げます。
 本日は、先ほど桝屋議員からも御指摘がありましたように、長期入院の患者の方々の診療報酬を下げて特定療養費化する、その問題に絞って質問をさせていただきたいと思います。

 まず冒頭に、坂口大臣、この「タケノコ医者」の本、拝読させていただきました。本当に感激いたしましたし、本当に、坂口大臣の結婚式の目前にお母様が亡くなられたところも読んで私も涙も出ましたし、また差別なき医療というこの思い、非常に感銘を受けましたし、そればかりでなく、この本の中で、介護問題についても当初から坂口大臣が非常に熱心に取り組んでおられた、そういうことにも感動いたしました。

 そんな大臣に対して、最初に一つ話を聞いていただきたいのですが、先日、私、お葬式に行ってまいりました。私の知り合いの方のお母さんが亡くなられたわけですけれども、半年間ある病院に入院をされていて、心臓病も患っておられましたが、まさに今問題になっているような社会的入院の割合が濃いんではないかということで、退院を迫られました。娘さんは、家でもう十分に介護はできない、かつ、近所にあいている老人ホームもない、老人保健施設も満杯だということで、泣いて入院を延ばしてほしいということを懇願されました。しかし、もう半年も来たからということで退院されまして、車で三、四十分離れた、行ったこともない老人保健施設に行って、一カ月足らずでお亡くなりになられました。その方のお葬式に行ってまいりました。

 その老人保健施設の方の話を聞いても、やはり非常に気を使われるおばあさんだったので、新しい環境に十分なじめなかったのかもしれないということもおっしゃっておられました。娘さんも非常にショックを受けられて、あのまま病院に残っているか、あるいは、少なくとも近所の施設があいていてそこにおれたら、こんなに死期は早まっていなかったんじゃないかということをおっしゃっておられました。そういう意味では、遠く離れた施設に送られて、そのお母さんも、もしかしたら、人生もはやこれまでと観念されたのではないかなというような気も私はいたします。

 今回の、半年以上の長期入院の患者さんへの診療報酬を下げて退院を促す、そういうことで、まさに今回と同じような患者さんのたらい回しや患者さんの死期を早めることになりはしないかというふうに私は非常に心配を持っているのですが、そのことについて、大臣、いかがでしょうか。

坂口国務大臣

 先ほども少しお話をさせていただきましたけれども、今までから、三カ月とか半年というその区切り区切りにおきまして、いわゆる逓減制と申しますか、保険点数の逓減制がございまして、今お話がございましたように、まだそこで治療を受けたいというふうに思われている皆さん方もその病院を出ていただかなければならないというケースがたくさんあったことも事実でございます。

 それに比べて今回の措置がどうなのか、これから検証する必要があるというふうに思っておりますが、しかし、今御指摘のように、その病院は出る、そこの先生がこれはもういわゆる医学的なことは大体これで終わった、あとは福祉面が大事だというふうに言われるようなケースの場合に、その周辺でそれを受けてもらえるようなところがなくてはいけないわけであります。

 したがいまして、それに対しましては、第二次の施設整備をやることになっておりまして、ことしあたりもかなりの老健施設あるいは特養等が建つわけでございますが、今まで一時抑えておりましたその辺のところを、もう一遍ここを拡大して、そしてそれぞれの市町村で高齢者の今後の計算、前にしてもらったものは大分違ってきていると思いますから、新しい計算の中で、それができるようにしていかなければならない。

 その経過措置というものも考えていかなければならないだろうというふうに思いますが、できるだけ早くそれぞれの地域でそうした施設をつくっていく。中には、そこまでいかなくても、ケアハウスみたいな形でもいい人もあるでしょう。そうしたものも含めまして、足りないというふうにならないように私たちも努力をしなければならないと思っているわけでございます。

山井委員

 前向きな答弁ありがとうございます。今回の五万人ぐらいが社会的入院ではないかという、もとになった資料をきょうはお配りをさせていただいております。これは大臣に見ていただきたいのですが、一つ確認をしたいことがあります。

 今大臣は、受け入れ体制として特別養護老人ホームやケアハウスを早急に整備していきたいという御答弁をされましたが、この資料を見ていただきましても、要は、「受け入れ条件が整えば退院可能」という調査になっております。ということは、受け入れ条件が整わなければ、この方々も退院は不可能というふうに理解していいのですね。大臣いかが思われますでしょうか。――大臣にお願いします。いや、常識的に考えていただいたらいいのです。大臣にお願いします、これは重要なところですから。これは一般のアンケートですから、それほど難しい話じゃないです。

坂口国務大臣

 私も、このペーパーは初めて見たわけでございますが、「受け入れ条件が整えば退院可能」というふうになっておりますから、これは今御指摘のように、受け入れ条件が整ったら退院できますよという数字だと思います。

山井委員

 ということは、受け入れ条件が整わなければ退院できないということを大臣も認めていただいたわけですけれども、そこで、宮路副大臣にお伺いしたいと思います。

 先ほど大臣から、早急にこういう施設整備などを急ぎたいということでしたが、五万人分、こういう対象者が平成十六年の四月までには出てくるという資料を二枚目にもつけておりますが、それに向かって、平成十六年四月までに五万人の上乗せ分が、受け皿が間に合うのかどうか、どのように基盤整備を考えておられるのか、副大臣、よろしくお願いいたします。

宮路副大臣

 今御指摘の、いわゆる介護サービスの基盤整備ということになろうかと思いますが、それにつきましては、介護保険事業計画でありますが、現在の計画を平成十五年度からの実施に向けて見直すことといたしておるわけでありまして、その中では、保険料水準にも十分考慮しながら必要なサービスを展開していくということで、見直しを行うということになっておるわけであります。

 したがいまして、その中で、今御指摘のありました五万人というふうに推定されておる数字でありますけれども、こういったことを十分念頭に置きながら、先ほど大臣もお話しされましたけれども、特別養護老人ホームやあるいは介護老人保健施設、グループホーム等のそういったいわゆる介護基盤の整備についても、その五万人といったことも当然前提に置きながら、計画の見直しに反映をさせていくということで取り組んでいっていただきたい、このように私どもとしては期待しておりますし、また、そのように指導もしてまいりたいと思っているところであります。

山井委員

 ちょっと余りにも抽象的な話なんで、念頭に置きながらではなくて、平成十六年の四月には、五万人の対象者がもう社会的入院と認定されて自己負担がアップするわけですから、平成十六年の四月までにその五万人分の受け皿はつくる計画はあるのかないのか、お答えください。

宮路副大臣

 今その点が、これからまさに医療と介護の方でしっかりと連携をとりながら、それぞれの地域でやる。まずは地域の方で連携をとりながら、具体的にどういうぐあいにその発生が見込まれていくことになるのか、そこをしっかりと我々としては踏まえながら、そして可能な限り、これからも引き続き入院をしていただかなきゃならない方、それは先ほどから大臣からお話し申し上げているとおりやっていただく、そうでない方については在宅なりあるいは介護施設で受け入れていただく、こういうことになるわけでありまして、そこのところは連携をとりながらきちっとした対応を図ってまいるように、そして計画にも反映していくようにしてまいりたい、こう思っておるところであります。

山井委員

 改めて聞きます。受け皿は五万人分が対象者になるんでしょう。その受け皿をつくる計画はあるんですか、ないんですかと聞いているわけです。

宮路副大臣

 そういうことを前提にして今の介護の計画もつくってきておりますし、これからも、先ほど申し上げたように見直しの中でちゃんとやってまいりたい、こういうふうに思っておるところであります。


山井委員

 ということは、平成十六年四月までに五万人分の受け皿はできるということですね。今それを約束されるんですね、前提とするということは。ということは、その前提が壊れたら、五万人の対象という、この診療報酬の改定自体をおくらせるということでいいんですね、前提ですから。


坂口国務大臣

 平成十三年度の二次補正におきましても、特別養護老人ホームとして一万四千人分、それから介護老人保健施設として一万二千人分、ケアハウスといたしまして一千人分等々、それから短期入所生活介護としまして四千人分等々、こうしたものを補正予算でやっておりまして、それで、十四年度予算におきましても、特別養護老人ホーム一万三千人、老健施設で七千人、ケアハウスで三千七百人等々、これらの問題もやっているわけでございます。短期入所生活介護というようなのは、かなり、四千人分、五千人分というふうにしてやるということに今予算化されているわけでございまして、五万人になるかどうか、これは合計していないからちょっとあれでございますけれども、かなり急速にこれをつくるということで今進んでいることだけは間違いございません。


山井委員

 それは余りにも漠然とした話で、最初に大臣が受け入れ体制が十分でなかったら退院できないということをおっしゃったわけですから、その受け入れ体制が十分、新たに、社会的入院等、対象とされる五万人について十分ですかということをお聞きしているわけです。

 ということは、その受け入れ体制が十分でなくて、その五万人分の部分が不十分であったら、この措置自体はおくらせるということになるんですか。


坂口国務大臣

 今具体的に申しましたように、十三年度の二次補正と十四年度の予算で、これで大体四万五千人ぐらいにはなる、これで具体的に。ですから、かなりな急ピッチでこれは進めているということでございます。


山井委員

 いや、答弁になっていないと思います。

 今おっしゃった四万五千は、今特別養護老人ホームや老人保健施設が足りないからふやしているわけであって、この診療報酬改定の長期入院の適正化の部分とは関係ないわけですから。

 それで、もう一つお聞きしたいんですけれども、こういう長期入院患者の方がなぜ退院できないのか。受け入れ体制があったら退院できるというわけですから、どんな受け入れ条件が整えば退院可能なのか、そういう調査はされているんですか。


宮路副大臣

 長期入院をしておられる方のうちの約四割が、先ほどから申し上げているとおり、福祉施設や在宅によって対応できるという結果を承知しているところでありますが、具体的に、退院をするに当たってどういうところまでが必要なのかといった個々の実態については、なお十分な把握は必ずしもしていないところでありますけれども、今後さらにその辺は私どもとしても実情の把握に努めてまいりたい、こんなふうに思っているところであります。


山井委員

 今の答弁はおかしいんじゃないですか。これから受け入れ条件の整備を至急行うと言いながら、どういう条件が整えば退院できるかどうかはまだ調べていないので、これから調べていくと。やっていることが逆じゃないですか。

 まず、どういうことがあれば退院できるかということを調べて、その上で、これこれこういう計画を立てて、受け皿も安心だから、診療報酬を改定して、社会的入院の方も安心して退院してくださいというのが政策の順位だと思うんですけれども、そういう調査すら行っていない。それで出ろというのはおかしいんじゃないでしょうか。

 大臣、こういう調査を行っていただきたいんですが、いかがでしょうか。


坂口国務大臣

 調査も必要だとは思いますけれども、もう少し整理をしなきゃなりませんが、現在、それではそういうことは全然行われていないのかといえば、現在の状況の中では、三カ月、五カ月というところで保険点数が逓減されまして、そして、最初、委員も挙げられましたように、もう現実にそういう人たちが病院を出ていってもらわなければならないような環境が今既にあるわけですね。そうしたことはぐあいが悪いので、それに対して何かもう少し違った方法がないか。

 中には自分の方から、少し財源的に自分の方が自己負担をすれば置いてもらえるかと言う方も中にはあるわけでありまして、そうした人たちに対します道をここにつくった。一五%ということになれば、それは額にしたら大体五万円ぐらいになる。老健ですとかあるいは特養ですとかというところになればそれ相応のやはり負担もあるわけでございますので、その辺のところのお願いをして、そして病院に入っていただける方はいただくという道もつくろうということでございます。

 一遍に五万円というのも無理でありますから、経過措置をとって、その三分の一ぐらいな負担で推移をしていただくようにしてはどうかといったようなことも考えているわけでございます。

 また、この法案を通していただいて、もし仮にことしの四月からということになりましても、今までに入っておみえになる皆さん方につきましては、これは適用をしない。これから四月以降にお入りになる皆さん方が六カ月ということになりますと、四月からプラス六カ月の時期にその問題が起こるわけでございます。そうしたこともございますから、四月一日からすべてそういうふうに始めるということではございません。そうした経過措置もとりながら、その中で、そのかわり、先ほど申しましたように、この補正でも、そしてこの今年度予算でもやっているわけでございますので、できるだけ早くその環境を整えたい、こういうことでございます。

 御指摘になりましたそういう調査等につきましても、それは当然のことながら、できる限りやっていきたいと思っております。

山井委員

 今、できるだけ早くということですけれども、私は違うと思うんですね。その基盤整備、受け皿ができたら退院できる準備が整うわけですから。診療報酬の改定は四月一日から始まるわけですよね、先にそれを決めて三年後になっても受け皿がないということでは、本当にますますたらい回しや路頭に迷うお年寄りがふえると思います。

 それで、このことについてですけれども、要は、逓減制をなくしていくということで、たらい回しをなくそうという方向になってきているわけですよね。逆にまた今回のことでたらい回しがふえてしまうという問題点があるわけです。

 それで、この資料の中で二ページ目を見ていただきますと、「入院医療の必要性は低いが、患者側の事情により長期にわたり入院している患者」というふうに定義されているのですね。「患者側の事情」といっても、私、老人ホームが満員だとか、老人保健施設も満員だということもあると思うのですけれども、大臣、この書き方は失礼じゃないですか。もし老人ホームが足りない、老人保健施設が満員だということであれば、患者さんはそちらに移りたいと思っているけれども介護基盤が整備されていないという介護側の事情じゃないですか。「患者側の事情」というのは、ちょっと無責任な言い方だと私は思いますよ、公的な責任を放棄して。介護保険というのは、権利として介護サービスを利用できるというのが介護保険なわけですから。いかがですか。


坂口国務大臣

 そこは、退院される皆さん方の中には、自宅にお帰りになる方もあるわけです。そうでしょう。すべてが施設における介護をお受けになるわけではないわけですね、特養や老健施設にお入りになるわけではない。おうちにお帰りになる方もあるわけですから。

 だから、病院の方が、病気としてはこの方はもう大体この辺で一つの区切りがついた、後は福祉なり御家庭なりでどうぞひとつ今後の看病をしてください、療養をしてください、こういうことになりましたときに、在宅介護の制度もだんだんと充実をしてきているわけでありますから、それを御利用いただくというのも大変大事なことでございまして、やはりできるだけ御家庭でおとりをいただく、そして、家庭におきますところの在宅介護をお受けいただくというようなことも加味をしていかなければならないと私は思っております。

山井委員

 大臣、今の発言、在宅で介護されている方あるいは御家族が入院されている御家族が聞かれたら、怒られると私は思いますよ。みんな在宅で介護できたらしたいのですよ。サービスが十分じゃないとか、老人ホームがいっぱいだとか、いろいろな理由で在宅で介護できない方が多いから、こういう社会的入院の問題というのがあるわけですよね。

 今の発言でいけば、介護基盤の整備は余りしなくていい、長期入院が終わった方は自宅で面倒を見ればいいということにもなりかねないのですけれども、改めてお伺いをしたいのですけれども、この五万人の社会的入院と認定される方々の受け皿はつくられるわけですよね、大臣。


坂口国務大臣

 それは、つくるのはつくるというふうに申し上げているわけです。しかし、つくりますけれども、中には在宅介護の方もおありになるではないですかと。私は、全部その方が在宅介護だと申し上げているわけではなくて、中にはそういう方もお見えになるでしょうということを申し上げているわけで、何も失礼なことを申し上げているとは思いません。


山井委員

 今の状況は、厚生労働省の中でも、保険局は、医療費を削減しないとだめだから長期入院のお年寄りを出していく、これで医療費は下がるわと考えているわけです。老健局の側にとったら、そうはいっても施設やケアハウスがそんなすぐにできるか、予算がないじゃないかと言っているわけですね。両方それぞれの言い分があるわけですよ。そのはざまに落ち込んで、お年寄りは家にも帰れない、施設も満員だ、老人保健施設に行ったらたらい回しにされることもある。このままいったら、こういう改定が行われたら、ますますお年寄りが、冒頭に私が申し上げたお葬式の話のように、たらい回しに遭ったり、あるいは家庭が介護で共倒れになったりすることになるのではないでしょうか。

 そういう意味では、基盤整備ができるまでこの経過措置を延ばす、平成十九年末までかかったら五万人の基盤整備ができるのなら十九年まで延ばす、そういうふうに柔軟に対応すべきではないでしょうか。もしできないとしたら、なぜ三年で区切ってしまうのか、今回の診療報酬の長期入院に関する下げを。そのことを大臣、御答弁願いたいと思います。


坂口国務大臣

 ですから、私たちも柔軟に対応したいというふうに思っているわけです。

 先ほども申しましたとおり、この制度が四月一日から実施をされたといたしましても、現実問題として、この四月の段階で入院をしておみえになる人にはこれは適用しないわけでありますから。よろしゅうございますか。ですから、適用するのは、四月一日以降に入院をされた皆さん方に適用するわけですから、それは、そうすると六カ月後ということになります。四月プラス六カ月ということになります。四月一日にたとえ入院をされたとしてもそうなるわけです。

 そして、確かに、そうすると秋ごろには、あるいは年末には、そうした皆さん方もあるわけでございますから、その皆さん方に一遍に一五%の自己負担というのは大変ですから、その三分の一ぐらいでとどまっていただく方があれば、それは御辛抱をいただきましょう、こういうことにしているわけです。それもできないという方は、優先的に特養や、あるいは老健施設というものにお入りをいただくように。

 ですから、それまでにかなりたくさんできてくるでしょう。去年の補正でもうお金は出ているわけで、今一生懸命あちこちでもう建っている、つち音が高く鳴っているところもあるわけでございますから、かなりそこはふえてくるというふうに思っております。

 ことしの予算におきましても、さらに積んでいるわけでございますから、それで、先ほど挙げましたように、全体として四万四、五千にはなるわけでございますから、今までのことを思いますと、これはかなり急ピッチな取り組みであるというふうに思っております。
 そして、先ほど申しましたように、中には御家庭にお帰りになる方もあるではないですかということを申し上げているわけでございまして、だから、だからといって五万人を減らすつもりはございません。

 そして、これからまた調査をやり直しますから、その中で、高齢者がもっとふえて、地域によっては、もっともっとやはり特養や老健施設が必要だというところも出てくるかもしれません。そういうふうなところには優先的にこれからやっていただくようにして、そして対応していきたいというふうに思っているわけでございます。


山井委員

 大臣が今おっしゃってくださったように、まさに調査をし直して、やはり老人ホームが足りない、受け皿がこれでは不十分だということであれば、柔軟にこの整備計画をさらに上積みしていただきたいと思います。

 この点は、受け皿がどうなっているのかということは、福島議員や桝屋議員も、まさに公明党さんが一番、長期入院の後の診療報酬下げの危機感、たらい回しにならないようにということを熱心に取り組んでおられる問題であると思います。

 そこで、先ほど五万円という話が出ましたが、これは五万円におさまらないと私は思うのですね、特定療養費になるわけですから。下手に五万円と言うと、新聞にも出ていますけれども、誤解を招くと私は思います。

 今回、何人かの病院の院長先生に聞いたら、十万から十五万取る病院もふえてくるのと違うかな、診療報酬も下がったから、取れるところから取ることになるやろう、払えない人だったら、出てもらったら、ほかに患者さんはいっぱいいるんだしということをおっしゃっておられました。

 大臣、これを本当に五万円と言い切れるのですか。青天井ではないのですか。青天井にならないための上限はこれぐらいまでということを、やはり厚生労働省さんが決められる必要性があるんじゃないですか。この本にありますように、大臣は差別なき医療とおっしゃっておられるわけですから、お金がある人は病院にとどまれますよでは大臣の理念にも反すると思います。

 大臣、答弁をお願いします。


宮路副大臣

 今の、特定療養費化の際の給付水準でありますけれども、この点は御指摘のあったような、そういう負担の極端な増加、そういったことのないようにということにも十分これは配慮しながらやっておるわけであります。

 それで、具体的には、平成十二年まで診療報酬の中でありました、旧入院環境料というものがあったわけでありますが、その水準、百六十五点だったということでありますけれども、そういったことの評価。そしてまた、入院中の患者さんが外泊した場合の取り扱い、そういったものを勘案しながら設定したところでありまして、それによりますと、この前提では先ほどお話があったような月四、五万円の負担ということになるんじゃないかなというふうに考えておるわけであります。

 なお、今お話がありましたように、青天井になりはしないかという御心配でありますが、そういった御指摘が当たることのないように、私ども、これは基本的には医療機関と患者さんとの契約によって負担の額は決まるわけでありますが、御指摘のような、そういった青天井といったようなことにならないように、一定の目安というものを今後私ども示して、そしてそういう事態の回避というものを目指してまいりたい、このように思っているところであります。


山井委員

 今おっしゃったように、青天井にならないようにしてください。

 最後に一点だけお伺いして終わりますが、大臣のこの本を読ませていただいて、差別なき医療を目指して、私はすばらしい言葉だと思います。しかし、これから二十一世紀の時代、大臣にもう一つぜひともお願いしたいのは、だれもが医療にかかれる、安心して必要な医療にかかれる社会をつくると同様に、差別なき介護を目指していただきたい。だれもが安心して必要な介護を受けられる、施設が必要ならば施設に入れる、在宅で見たいならばそのサービスを受けられる、それを権利として受けられて、家族も共倒れしないように、女性の方にも過重な負担が行かないように介護保険ができたわけですね。そういう意味では、ぜひとも大臣には、差別なき医療を目指して、同時に差別なき介護を目指してこれから取り組んでいただきたいと思います。

 そのことについて、最後にお願いいたします。


坂口国務大臣

 目標とするのは、当然のことながら、差別なき医療であり差別なき介護でありますから、その目標に向かって着実に前進できるようにしていきたいと思っております。


山井委員

 以上で終わります。ありがとうございました。


森委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時十一分休憩


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