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2001年10月17日 

衆議院 厚生労働委員会 議事録

医療制度見直し&介護保険について      やまのい和則 部分掲載


鈴木委員長 次に、山井和則君。


山井委員

 本日は、三十分質問時間をいただきました。前半は医療制度改革について三問、後半は介護保険について三問、簡潔に質問をさせていただきたいと思います。坂口大臣、佐藤政務官、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 まず、医療制度改革について九月二十五日に厚生労働省案が発表されましたが、そのことについてお伺い申し上げたいと思います。

 基本的に、この案については財政面が主であり、実際の改革や質の改善策というものが見えていないように思います。きょうは資料をお配りさせていただいております。この資料の中を見ていただきましても、実際、一ページ目のグラフになりますが、アメリカの例を見ても、一番国民医療費が高くなっているわけです、GDP当たりで。今、資料をお配りいただいていると思いますが。そういう意味では、今まででも十分に医療にお金がかけられているというふうに私は思っておりません。

 また、今回の小泉内閣の議論の中で、医療への民間企業の参入ということでコストダウンを目指されておりますが、実際、このグラフを見ましてもアメリカの医療費が一番高いわけでありまして、安易な民間企業の導入によるコストダウンというのは、私は方向性が間違っているというふうに思っております。

 まず最初の質問でありますが、自己負担アップについてはやはり問題が非常に多いと思います。

 なぜならば、今のこの不況、一つのスタートのポイントは、一九九七年に自己負担が二割にアップし、そして消費税が三%から五%に上げられた。老後の不安や雇用の不安、また医療や福祉への不安が一番重要な個人消費を鈍らせて、景気の足を引っ張っていると思います。また、自己負担がアップすることによって患者さんの受診が過度に抑制されますと、結果的には、早期の発見が困難になり、重度化したり、救急病院に運ばれたらかえって高くつくことにもなります。

 そういう意味で、私は、個人消費を刺激するという景気対策の意味からも、公共事業など削れる部分を削って、やはり医療の安心の部分はしっかり堅持していくべきであると思っております。そういうことこそが本当の構造改革ではないかと思います。

 そこで、本当にこの時期に自己負担アップをしてますます景気の足を引っ張ることにならないのか、また、しっかりと公共事業を減らして医療の質を担保していく、そういう改革の方向を目指した方がいいのではないか、そのことについて、坂口大臣にお考えをお聞かせ願いたいと思います。

坂口国務大臣

 医療改革について御質問をいただきました。

 私も、この数カ月の間、医療制度改革につきましてさまざまな角度から検討をしてきているところでございます。今委員が御指摘になりましたその大枠のお話は私もよく理解のできるところでございまして、そうした経済状況も十分に勘案をしながら今回の医療制度改革に取り組まなければならないと思っている一人でございます。

 そして、現在厚生省の試案として出しておりますものは、どちらかと申しますと現在の制度の大枠をそのままにした形の中で、現在医療費が保険制度を初めとして非常に圧迫いたしておりますこの状況を打開していくためにはこういう方法しかないのではないかという一つの試案を出させていただいたわけでございます。

 それに加えまして、私の考え方として、もう少し大枠のところをどう改革していくかということも示させていただいたところでございまして、これらの問題を中心にして、これから年末にかけまして、皆さん方の御意見も十分に拝聴しながら、最終的なものをつくり上げていきたいと考えているところでございます。

山井委員

 厚生労働省の改革案は、財政面に偏りまして、やはり国民からすると魅力に欠ける、どこが質がアップしているのかというのがほとんど見えてこないように思います。そういう状態での自己負担アップというのは非常に危険であると思います。

 その具体的な質のアップについて、二問目に情報公開についてお伺いしたいと思います。

 佐藤政務官にお伺いしたいのですが、患者の選択というふうなことが今回の改革案でもうたわれております。そのためには当然情報公開が欠かせません。情報公開によって悪い病院は淘汰されていくことが必要になってまいります。そのための情報公開をどのように進めていくのか。

 民主党は今、患者の権利法というものを、法案を議員立法で参議院に提出しております。その中でも、医療機関は、医師や医療従事者の氏名、人数、設備に関する事項、過去五年の外来患者数と医療の提供実績に関する事項などは書類で閲覧できるようにすべきとして、それができない場合には二十万円以下の罰金という罰則規定も設けて、情報公開を進めております。

 一番基本的なデータである、例えば医師や看護婦が何人いるのか、まずそれが基準を満たしているのかどうかという標欠病院の問題、そういうことすら公開は現在しておりません。情報公開の方向性について、またこういう標欠病院の公開について、どのようにお考えでしょうか。

佐藤大臣政務官

 我が国の医療を一層質の高い効率的なものとしていくためには、医療に関する情報公開を進めなければいけないというふうに思っております。患者の選択拡大を図ることが重要であると考えておりまして、さきにお示しをいたしました、今大臣が申されましたような医療制度改革試案においても、重要な柱の一つとして位置づけているところであります。

 このため、カルテ等診療情報の開示の推進、医療機関の広告規制の緩和、質の高い最新医学情報を患者に提供するデータベースの整備など、医療に関する情報提供を推進してまいりたいと存じております。

 また、看護婦等々の標準の話でございますけれども、個々の医療機関における看護婦数などの充足状況については、各都道府県が実施した医療法に基づく立入検査により把握をされているというふうになっております。厚生労働省におきましては、これらの立入検査結果を全国集計し、基礎データとして活用しておりますし、集計結果については、これを公表しているところであります。

 なお、立入検査に基づいて知り得た情報についてはある程度慎重な取り扱いが必要であるということは理解をしておるところでありますが、立入検査自体、自治事務であることから、個々の医療機関における看護婦数等の充足状況の開示の可否につきましては、立入検査を実施した都道府県の判断にゆだねざるを得ないというふうに今のところ考えておるところでございます。よろしくお願い申し上げます。

山井委員

 今の答弁を聞いておりますと、結局、患者さんにプラスになる実際の情報公開に関しては都道府県に任せてあるとか、そういうことで、実際には非常に遅々として進んでいない。にもかかわらず、自己負担のアップのことに関してはどんどん進めていく。そういうことが国民の信頼を得られていないというふうに思います。

 言葉だけではなくて明確に、今言いましたような看護婦さんやお医者さんの数というのは一番基本的なデータですから、こういうことはきっちり公開していく。そういうことによって、今までいろいろな病院をはしご受診してむだな医療費がかかっている部分も、最初からある程度比較情報がわかれば、はしご受診を減らすことができるわけですね。そういうところをこれから明確にしていっていただきたいと思います。

 もう一点、医療制度改革につきまして大きなポイントは、社会的入院、長期入院を減らしていくということであります。この医療制度改革試案の中でも、長期入院に係る医療給付のあり方を考えるということが出ております。具体的に言いますと、高齢の半年以上の入院患者に対して、診療報酬を引き下げ、自己負担をアップさせるという方向性が打ち出されているようです。

 私も、以前スウェーデンに二年間留学しておりまして、そこで老人福祉・医療を研究しておりましたが、日本と余りにも違うなということを感じました。一言で言えば、日本では、介護施設や在宅で暮らせるはずの人が、介護基盤の整備のおくれで病院に入っている。あるいは、スウェーデンで言えば看護婦さんが十分対応しているようなことに対して、日本ではお医者さんがやっている。そういう意味では、先進国の流れは、お医者さんと看護婦さんというのはパートナーとしてやっていく、可能な範囲で看護婦さんに任せていくという流れであるにもかかわらず、日本はまだまだお医者さんが多くをやらないと気が済まないという面があると思います。

 そういう意味では、介護でできる部分は介護主導でやっていく、看護婦さんでできる部分は看護婦さんにも任せていくという転換が必要であると思います。その点に関して、長期入院、社会的入院を減らしていくという方向性自体は、必ずしも入院が必要でない人が在宅や施設に行けるということはいいことだと思いますが、問題はその受け皿です。

 先日も私は、ある療養型の病院に行って、知り合いのおばあさんたちとも話してきました。みんな家に帰りたいと言っているのです。ところが、なかなか受け皿がないのですね。今の介護保険では、要介護四や五の人では在宅生活が十分にできない。あるいは、医療行為を必要とする方とか夜間の介護を必要とする人はなかなかその限度額ではできないというケースが多かったり、また老人ホームも足りなかったりします。

 ですから、ここは声を大にしてお願いしたいのですが、こういう長期入院患者の方を病院から出そうという方向性を出されるのであれば、受け皿とセットで提示していただきたいと思います。その点、受け皿ということに関してどうお考えか、お聞きしたいと思います。

坂口国務大臣

 全体の大きな流れといたしまして、社会的入院というものは少なくしていかなければならないというふうに私も思っております。そして、社会的入院を減少させていきますためには、今御指摘のとおり、やはり受け皿というものが整備をされなければならないことも、私もよく承知をいたしております。

 今回、特定療養費制度の活用等によりまして、保険給付の範囲の見直し等もここに提案しているところでございますが、いずれにいたしましても、受け皿になりますところの充実をしますためには、先ほど先生が御指摘になりましたように、やはり看護とか介護といったものに対する役割分担をもう少し明確にしてあげないといけないということ、これも、実は私もそう思っております。

 したがいまして、現在の看護婦さんあるいは介護をする人たちに対しましても、ここはあなた方にお任せをしますよというふうにしなければいけない。すべて医師の命に従いというのがずっと続いているというのではいけないのではないかと私も思っております。

 ここは、各先生方との間でも意見が一致することがなかなか難しい面も正直なところあるわけでございますが、やはり看護婦さんにいたしましても、昔の看護婦さんと現在とでは教育程度もうんと変わってまいりましたし、大学卒業、大学院卒業の看護婦さんもたくさんおみえになるわけでございまして、そうした時代にふさわしい看護のあり方というものはもう一度検討し直すべきときに来ていると思っている次第でございます。

山井委員

 この問題は、私、引き続き取り上げていきたいと思います。

 繰り返しになりますが、そういう受け皿がきっちり明示されていないのにお年寄りの方が病院から出されていくということは、本人にとってもよくないことでありますし、病院としてもそんなことは本当に受け入れられない。また家族としても、夜間の介護が必要であったり、あるいは褥瘡ができたり、たんの吸引が必要であったり、そういう医療行為が必要な方が在宅に戻っていっても、家族は受け入れられないわけです。

 老人ホームに行こうとしても、老人ホームは、都市部では一、二年待ち、もっと長くなっております。あるいは老人保健施設に行っても、そこでずっといられるわけではなくて、下手に入院をどんどん短くしていったら、そこから老人保健施設に行って、半年ぐらいして老人保健施設からまた病院に戻ってという、御存じのような、お年寄りのたらい回し、キャッチボールが行われるだけなんです。お年寄りにとってもよくないですし、医療費もそんなことで減るはずはありません。

 ですから、私はこれからもこの問題に取り組んでいきますので、ぜひとも受け皿を明確にしていただきたい。その受け皿なくして半年以上の入院を難しくするのは、極めて無責任だと私は思います。
 この点とも関係するのですが、次に、介護保険のことに移らせていただきたいと思います。

 少しわかりにくい議論ですので、この三ページ目に資料をつけさせていただきましたが、来年の一月から、訪問通所サービスと短期入所サービスの支給限度額の一本化ということが行われます。私も正直よくわかっていなかったのですが、多くのケアマネジャーさん、家族の方から相談を受けまして、この一本化がなされると、今までやっと在宅で持ちこたえていたのにもう施設に預けざるを得なくなるという悲鳴を、ケアマネジャーさんやホームヘルパーさん、御家族の方から聞かされております。

 簡単に非常に大ざっぱに言いますと、この三ページと四ページを見ていただいたらわかるのですが、今までは限度額いっぱい在宅で利用していた。それ以外に、ショートステイが別建てで利用できていたわけですね。ところが、来年一月からこれが一本化されて、確かに事務が簡単になっていい面もあって、方向性自体には私は反対しません。しかし、それによって、事実上、ショートステイもホームヘルプもデーサービスも、すべてが限度額の枠内に閉じ込められるということで、実際、利用されているサービスが減ってしまうケースが今続出しております。

 そこでお伺いしたいのですけれども、今まで厚生労働省さんとお話もしていたのですが、いま一つ、ぴんと、そういう問題の深刻さ、今現場でケアマネジャーさんや御家族が悲鳴を上げていられることを実感しておられないように思うのです。こういう一本化によって、どのようなケースがサービス量が低下して困られるのか、また、今介護保険を利用されているお年寄りの何%ぐらいがそういうマイナスを受けるのかについてお伺いしたいと思います。いかがでしょうか。

坂口国務大臣

 今先生が御指摘になりましたことのどこまで私もお答えできるか、ちょっと自信がないんですが、そんなに余り具体的なことまで私もわかっているわけではございません。

 現在、訪問通所サービスと短期入所サービスが別々になっていて、これを十四年の一月から一本化することを決めていることは事実でございます。その際、現在の訪問通所サービスの支給限度額は、既に短期入所サービスも含めた標準的な利用形態をもとにして設定しておりますので、一本化をいたしましても、その後の支給限度額もこれと大体同じものとなるというふうに思います。

 そこのところを先生が具体的に、いや、現場ではそうではないぞというふうに言われますと、私もそこのところは少し自信がないんですけれども、しかし、今までの経緯からいたしますと、それでいけるのではないか、こう思っているわけです。

 これまでも標準的な利用形態を超えたサービス利用は想定しておりませんで、ケアプランを作成する際にも、訪問通所サービスの利用料は標準的な利用例を勘案して定めているということでございまして、料金等につきましては、一本化いたしましてもこういうところではないかなという気がするんですが、現実問題として、これを一本化して実現したときに現場で大混乱が起こる、あるいはこれによって全然使いにくくなるというようなことは今はそう想定はしていないんですけれども、しかし、もしこのことで具体的にこういうことだということがありましたら、もう少し詳しくひとつお話をいただければ幸いです。

山井委員

 具体的に言いますと、今まで要介護五で三十五万円分全部使っていた。それ以外にショートステイを使っていられる方がいらっしゃるわけですね、今までは別建てですから。ところが、一本化されると、ショートステイも組み入れて三十五万が上限になってしまうわけです。そうしたら、サービスが減ってしまうわけですね。

 つまり、今まで限度額いっぱいを在宅で使っていた方、あるいは、老老介護で共倒れしかかって、ショートステイを使うことによって痴呆症のお年寄りの介護を何とか維持していた。そういう平均の利用はサービスの四〇%ですけれども、限度額いっぱい使っていられた方々がこれであふれてしまうわけなんですね。

 ですから、大臣がそういうケースは想定していないとおっしゃっているんですが、まさに現場の声を聞いてほしいと思います。私も三カ所聞いたんですけれども、ある事業所では四百五十件のうち八件、もう一つでは百件のうち五件、もう一つでは三百件のうち十五件、大体、僕の計算では四%ぐらいです。四%といっても、在宅サービスを利用されている百五十万人ぐらいの中でいうと、やはり四、五万人ぐらいになるんですね。

 まさに、厚生省さんがそこまで検討して大丈夫だと考えていられるんだったらいいんですけれども、その万という単位の方々が、この一本化によって在宅サービスが困難になる。それも、在宅で多くのサービスを使って必死になって歯を食いしばっていられる最も重度のケースがこれで在宅が困難になるとすれば、まさに在宅重視とおっしゃっていられる今の厚生労働省さんの方針に逆行しているのではないかと思うのです。

 ですから、ここで大臣に改めてお伺いしたいんですが、どういうケースでサービス量が低下するか。それに対して経過措置を検討する、そのようなことをぜひとも考えていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

坂口国務大臣

 計算の仕方はいろいろあるんだろうというふうに思いますが、これは先生からいただいたペーパーでしょうか、これの三ページを見てみますと、訪問通所として現在やっておりましたものは二万七千六百二十単位ということでございます。そして、短期入所の方は、一週間分として八千二百十単位でございます。今度これが一本化されまして三万五千八百三十単位というふうにするということでございますから、計算上の問題は私はそんなに問題ではないかという気がするのですが、今御指摘になりましたように、在宅介護というものをこれから続けていかなければならない、あるいは在宅介護をふやしていかなければならないというふうに言っているのに、在宅介護がこれで阻害されるというような事態になるというのであれば、それは私たちも、もしもなるとすればそれはどういうことなのか、その心配はないのかということは検討しなきゃならないと思います。

山井委員

 前向きの御答弁をいただきまして、ありがとうございます。

 この表では二万七千となっていますが、実際、三万五千、デイとホームヘルプだけで使っていられるケースがあるわけですね。ですから、この表自体が実際は非常に不正確であるということを申し上げたいと思います。

 ですから、私も言っているのは、これから来年一月にかけて新聞もこの問題をどんどん取り上げ出しますし、実際一月になったらこの一本化で在宅サービスがだめになったというケースも続出すると思います。そうなってからでは遅いので私は今指摘しておりますので、ぜひとも御検討をいただければと思います。

 次に移らせていただきますが、介護保険の見直しで一番重要なことの一つが、再来年の四月からの介護報酬の見直しであります。

 その介護報酬の見直しを議論する社会保障審議会の介護給付費分科会のメンバーが先日発表になりまして、この二十二日に第一回の会合が行われます。それについて、私は正直言って、このメンバー、ここにリストを入れさせていただきましたが、非常に不満であります。

 なぜかといいますと、まさに今、坂口大臣もこれから在宅を重視していこうということをおっしゃっておられたにもかかわらず、最も介護保険のかなめと言われているケアマネジャーさんの代表がこのメンバーに入っていない。また、在宅福祉を最前線で支えるホームヘルパーさんの代表も入っていない。また、在宅サービスで痴呆症のお年寄りの切り札と言われているグループホームの関係者も入っていない。やはり、そういうふうな点で、言っていることとやっていることが違う。少なくともこのメンバーを見れば、在宅軽視なんだなというふうに私には受け取れます。

 その点について、どのようにこれから在宅の声を組み入れていくのか一点お伺いしたいのと、あと、時間も限られておりますので続きになりますが、この介護給付費分科会において経営の実態調査を十月からスタートされたと聞いております、ここにその資料もありますが。

 その中でお願いしたいのが、採算がとれているかどうかだけではなくて、十分な質のサービスが行われているかどうかもぜひともチェックしていただきたいと思います。なぜならば、基準の職員定員を満たさず、わざと人手を減らして黒字にしている事業所も私は数々知っております。ですから、もうかっているから介護報酬を上げなくていいということではないのです。

 例えば、昨年一年間で四百十六件もの転倒や骨折事故が老人保健施設で起こっております。やはり、こういう事故が起こっている。幾ら採算がもしとれていたとしても、やはりそれでは人手が足りないのではないか。そういうことでは、経営の実態、採算の部分とともに、どんなサービスが行われていくかもきっちり調べていただきたいと思います。

 そして、あわせて最後の質問になりますが、三月三十日の厚生労働委員会で、坂口大臣にグループホームの夜間の問題を質問させていただきました。グループホームで夜間に宿直でありながら夜勤並みの仕事をしているのは、労働基準法に当たるのではないかと私が指摘をさせていただきましたところ、坂口大臣からも、労働問題も所管しておる肝心かなめのところが法律違反をしているようなことでもいけませんから、そこは改善していかねばなりませんとの答弁をいただきました。

 つきましては、グループホームの夜間のことについて、今回の介護実態、経営実態調査で夜間のことも調べていただいているということで、ここに資料もありますが、夜間の間におむつ交換何回、トイレ介助何回、どんなことをしているかということが今回調査で明らかになります。でも、私の知り得ている範囲では、グループホームの半分ぐらいがこの行為を宿直でやっているわけですね。

 私も先日、五カ所、グループホームに行きましたが、その中の三カ所は宿直で、宿直でありながらも晩一時間、二時間しか寝られず、日勤と続けてやっているので二十時間ぐらい、睡眠一、二時間で仕事をしているという状況になっております。

 つまり、この調査結果が来年三月に発表になれば、その時点で、多くのグループホームが残念ながら労働基準法に違反しているんじゃないかというふうなことが明らかになるのではないかと私は心配しております。そういうことが明らかになったら、すぐにそういう違法状態を解消すべきではないかと思いますが、この点もあわせて、先ほどの分科会のメンバーについてとともに御答弁いただければと思います。

坂口国務大臣

 たくさん御質問いただきましたので、抜けておりましたら御指摘ください。

 一つは、この社会保障審議会のメンバーの問題でございます。

 これは、あるいは委員に前回にも御指摘をいただいたかもしれないというふうに思っておりますが、中には、ホームヘルパーに関係いたします介護福祉士会の会長さんにも今回入っていただいたとか、それからケアマネジャーにつきましては、ケアマネジャーの何か正式な会というのがあるのかないのかよくわかりませんが、これに関連した学識経験者にお二人ばかり入っていただいております。したがいまして、実質的には、そのことをよく御存じの方にここにある程度お入りをいただいている。全体のメンバーの中でこれが多いか少ないかという議論は別にあるというふうに思いますが、しかし、そういう面で今までに比べますと内容を変えさせていただいたということでございます。

 それからもう一つの、これも前回に御質問いただきまして、介護事業経営概況調査ですか、これにつきましてはスタートをさせていただいたところでございまして、先ほど御指摘のように、宿直または夜勤別の勤務人数、それから夜間の介護行為の実施状況、例えば介護行為別の回数ですとか時間ですとかというようなもの、それからもう一つは夜間の職務に従事した時間。こうした、この前御指摘をいただきましたことも、きちんとここで掌握のできるような形で今調査を進めさせていただいているというふうに思っております。

 したがいまして、この結果が出ましたならば、その結果を十分に反映させていくように努力をしたいと考えているところでございます。

山井委員

 この分科会のメンバーについてなんですが、確かにケアマネジャーさんやホームヘルパーに関係しておられる方は入っておられるかもしれませんが、例えば、老人ホームや老人保健施設や療養型病床に関してはしっかりとその団体の代表者を入れているにもかかわらず、そういうホームヘルパーやケアマネジャーさんをやっておられる方が入っておられない。そういう意味では、やはり、今の介護保険がこのままでいいのか、在宅で生活が非常に難しいではないか、施設志向になっているではないかという危機感、それを本気で改革していくんだというようなことが私は残念ながら感じられないんですね。ですから、そこは、今後の分科会の中で在宅が薄くなるということが決してないようにしていっていただきたいと思います。

 御存じのように、ケアマネジャーさんの調査によりますと、六割の人がやめたいと思ったことがある。先日も大阪でとうとう脳出血でケアマネジャーさんが倒れられて、その方が、過剰な勤務が原因だということで労災に認定をされました。また、一番多い割合で二四%ものケアマネジャーさんが五十件以上を担当している。やはりこういうことを一日も早く解消していかないとだめだと思っております。そういう思いは厚生労働省と同じ認識だと思っているからこそ、そういう声が本当にこの分科会で私は反映されてほしいというふうに思っております。

 また、グループホームに関してもそのような、宿直の状態で、睡眠一時間、二時間で日勤も合わせて二十時間ぐらいも働き続ける。先日も私、グループホームの職員さんに会ったら、この状態を何とかしてほしいということをおっしゃっておられました。こういう労働条件では十分なお世話ができない。そういうのがまさに介護事故などにもつながっていくと思います。安心してグループホームで介護ができるような状態にするように、この違法な状態が一日も早くなくなるような対策を講じていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。


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