2001年06月08日 衆議院 本会議 議事録 やまのい関係の会議録も掲載(前半分) |
育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)及び育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の一部を改正する法律案(山花郁夫君外五名提出)の趣旨説明 |
第 37 号 平成13年6月8日(金曜日) 平成十三年六月八日(金曜日) ――――――――――――― 議事日程 第二十二号 平成十三年六月八日 午後一時開議 第一 行政機関が行う政策の評価に関する法律案(内閣提出) ――――――――――――― ○本日の会議に付した案件 日程第一 行政機関が行う政策の評価に関する法律案(内閣提出) 特殊法人等改革基本法案(第百五十回国会、太田誠一君外四名提出) 国民の祝日に関する法律及び老人福祉法の一部を改正する法律案(内閣委員長提出) 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)及び育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の一部を改正する法律案(山花郁夫君外五名提出)の趣旨説明及び質疑 ○議長(綿貫民輔君) これより会議を開きます。 ――――◇――――― 日程第一 行政機関が行う政策の評価に関する法律案(内閣提出)
日程第一、行政機関が行う政策の評価に関する法律案を議題といたします。 委員長の報告を求めます。総務委員長御法川英文君。 ――――――――――――― 行政機関が行う政策の評価に関する法律案及び同報告書 〔本号末尾に掲載〕 ――――――――――――― 〔御法川英文君登壇〕 ○御法川英文君 ただいま議題となりました行政機関が行う政策の評価に関する法律案につきまして、総務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。 本案は、社会経済情勢に応じた効果的かつ効率的な行政の推進に資する等のため、行政機関が行う政策の評価の客観的かつ厳格な実施を推進し、その結果の政策への適切な反映を図るとともに、政策の評価に関する情報を公表する等の措置を講じようとするものであります。 本案は、去る五月二十四日本委員会に付託され、同月三十一日片山総務大臣から提案理由の説明を聴取いたしました。六月五日から質疑に入り、昨七日に質疑を終局いたしましたところ、本案に対し、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、社会民主党・市民連合及び保守党の六会派共同により、法律の施行後三年を経過した場合に見直しを行う旨の修正案が、また、日本共産党より、政策評価等に関する国民からの意見等の受付窓口の設置についての修正案が提出され、それぞれ趣旨の説明を聴取いたしました。 次いで、採決をいたしましたところ、日本共産党提出の修正案は賛成少数をもって否決され、六会派共同提出の修正案及び修正部分を除く原案はいずれも全会一致をもって可決され、よって、本案は修正議決すべきものと決しました。 以上、御報告申し上げます。(拍手) ――――――――――――― ○議長(綿貫民輔君) 採決いたします。 本案の委員長の報告は修正であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり修正議決いたしました。 ――――◇――――― ○小此木八郎君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。 第百五十回国会、太田誠一君外四名提出、特殊法人等改革基本法案とともに、内閣委員長提出、国民の祝日に関する法律及び老人福祉法の一部を改正する法律案は、委員会の審査を省略して両案を一括議題とし、委員長の報告及び趣旨弁明を求め、その審議を進められることを望みます。 ○議長(綿貫民輔君) 小此木八郎君の動議に御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加されました。 ――――――――――――― 特殊法人等改革基本法案(第百五十回国会、太田誠一君外四名提出) 国民の祝日に関する法律及び老人福祉法の一部を改正する法律案(内閣委員長提出) ○議長(綿貫民輔君) 特殊法人等改革基本法案、国民の祝日に関する法律及び老人福祉法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。 委員長の報告及び趣旨弁明を求めます。内閣委員長横路孝弘君。 ――――――――――――― 特殊法人等改革基本法案及び同報告書 国民の祝日に関する法律及び老人福祉法の一部を改正する法律案 〔本号末尾に掲載〕 ――――――――――――― 〔横路孝弘君登壇〕 ただいま議題となりました両法律案のうち、まず、特殊法人等改革基本法案につきまして、内閣委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。 本案は、今回の中央省庁等改革の趣旨を踏まえ、特殊法人等の改革に関し、基本理念を定め、及び特殊法人等整理合理化計画の策定について定めるとともに、特殊法人等改革推進本部を設置することにより、この法律の施行の日から平成十八年三月三十一日までの集中改革期間における特殊法人等の集中的、かつ抜本的な改革を推進しようとするものであります。 本案は、第百五十回国会の平成十二年十一月十五日に太田誠一君外四名から提出され、継続審査となっていたものでありまして、本年五月二十五日提出者を代表して若松謙維君から提案理由の説明を聴取し、去る六月六日質疑を終了いたしました。 次いで、本日の委員会において、本案に対し民主党・無所属クラブから修正案が提出され、その趣旨の説明を聴取した後、討論を行い、採決いたしましたところ、修正案は賛成少数をもって否決され、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。 なお、本案に対し附帯決議が付されました。 以上、御報告申し上げます。 次に、国民の祝日に関する法律及び老人福祉法の一部を改正する法律案につきまして、提案の趣旨及び内容を御説明申し上げます。 このような社会経済情勢の変化に対応して、国民の余暇の過ごし方も、スポーツや旅行、あるいはボランティア活動への参加など、その範囲は幅広く、多種多様なものへと変化してまいってきております。 こうした中、このような余暇活動をより一層充実させるため、第百四十三回国会において、成人の日及び体育の日を、それぞれ一月及び十月の第二月曜日と指定し、連休化したところでありますが、今回、さらに、国民の間から、特定の曜日を国民の祝日に指定し、連休化させようとする機運が高まってきております。 本案は、このような現状にかんがみ、よりゆとりのある国民生活の実現に資するため、国民の祝日に関する法律及び老人福祉法を改正し、七月二十日の海の日及び九月十五日の敬老の日を、それぞれ七月及び九月の第三月曜日とし、また、九月十五日を老人の日とし、同日から同月二十一日までを老人週間としようとするものであります。 このように、今回、海の日及び敬老の日を連休化することは、国民の余暇活動の機会がますます増大し、生活の楽しさ、豊かさをより一層充実させることにつながるとともに、平成十四年度から完全学校週五日制の実施が予定されていることとも相まって、敬老の日にふるさとの祖父母などを訪問する機会も増大するなど、家族のきずなをより一層深めることもできるようになると思われます。 以上、申し上げましたところから、この際、本改正を行いますことは、まことに時宜に適した措置であると考える次第であります。 なお、この法律は、平成十五年一月一日から施行することといたしております。ただし、老人の日及び老人週間についての規定は、平成十四年一月一日から施行することといたしております。 本法律案は、本日の内閣委員会において、全会一致をもって委員会提出の法律案とすることに決したものであります。 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。(拍手) ――――――――――――― ○議長(綿貫民輔君) これより採決に入ります。 まず、特殊法人等改革基本法案につき採決いたします。 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕 ○議長(綿貫民輔君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。 次に、国民の祝日に関する法律及び老人福祉法の一部を改正する法律案につき採決いたします。 本案を可決するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。 ――――◇――――― ○議長(綿貫民輔君) この際、内閣提出、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の一部を改正する法律案及び山花郁夫君外五名提出、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を順次求めます。厚生労働大臣坂口力君。 〔国務大臣坂口力君登壇〕 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。 少子高齢化等が進行する中で、労働者が仕事と家庭を容易に両立させることができるようにすることは、労働者の福祉の増進を図る上でも、経済社会の活力を維持していく上でも、極めて重要な課題となっております。 このような状況に対処するためには、育児休業の取得や職場復帰をしやすい環境を整備するとともに、労働者が子育てをしながら働き続ける上で必要な時間を確保すること等が必要となっており、政府といたしましては、本法律案を作成し、ここに提出した次第であります。 第一に、事業主は、労働者が育児休業や介護休業の申し出や取得をしたことを理由として、不利益な取り扱いをしてはならないこととしております。 第二に、育児や介護を行う一定範囲の労働者が、一年につき百五十時間、一カ月につき二十四時間を超える時間外労働を免除するよう請求することができる制度を設けることとしております。 第三に、育児を行う労働者に対して勤務時間の短縮等の措置を講ずる事業主の義務に関し、対象となる子の年齢を一歳未満から三歳未満に引き上げることとしております。 第四に、事業主は、労働者がその子の病気またはけがの際に休むことができる、子の看護のための休暇制度を導入するよう努めなければならないこととするほか、労働者の転勤について育児や介護の状況に配慮しなければならないこととする等の事業主が講ずべき措置を定めることとしております。 第五に、国等は、仕事と家庭の両立に関し、事業主、労働者、その他国民の理解を深めるために必要な広報活動、その他の措置等を講ずることとしております。 なお、この法律は、平成十四年四月一日から施行することとしておりますが、国による広報活動等に関する部分は、平成十三年十月一日より施行することといたしているところでございます。 以上が、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の一部を改正する法律案の趣旨でございます。(拍手) ――――――――――――― ○議長(綿貫民輔君) 提出者山花郁夫君。 〔山花郁夫君登壇〕 ただいま議題となりました育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の一部を改正する法律案の趣旨を御説明申し上げます。 本法律案は、ただいま厚生労働大臣から趣旨説明がございました政府提案の育児・介護休業法の改正案では、仕事と家庭の両立支援策としてはなお不十分であるとの思いから提案させていただくものであります。 平成四年に育児休業等に関する法律が制定されて以来、介護休業の制定、育児休業給付、介護休業給付の創設など、男女労働者が仕事と家庭を両立できる環境整備が一歩一歩進んできてはおります。 平成十一年には、出産した女性労働者に占める育児休業取得者の割合は五六・四%と、実に半数以上となっており、子供を持つ女性が職場復帰できるチャンスが広がっていると言えましょう。しかしながら、配偶者が出産した男性労働者に占める育児休業取得者の割合は〇・四二%にすぎません。 男女共同参画社会基本法の前文には、「男女共同参画社会の実現を二十一世紀の我が国社会を決定する最重要課題と位置付け、社会のあらゆる分野において、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の推進を図っていくことが重要である。」こううたわれております。 しかし、実際に育児、介護といった家庭責任の多くを担っているのは女性であり、働く女性がふえる中、その負担感が一層重く感じられるようになっていることには変わりはありません。働く親を支援する制度とは、単に育児休業のみならず、子供の看護休暇や短時間勤務制度の制度化といった、きめ細やかな施策があってこそ前進と言えるのであります。 小泉総理は、最近、両立支援であるとか、男も女も仕事と育児といった言葉をよくお使いになられます。これを単にキャッチフレーズに終わらせないためにも、特に小泉総理を支える与党の議員の方々、森内閣のもとで提出されました政府案からさらに踏み込みました民主党案について、耳を傾けていただきたいと存じます。 それでは、本法案の内容を簡単に御説明申し上げます。 第一に、法律の題名を、労働者の職業生活と家庭生活との両立を支援するための育児休業、介護休業等に関する法律に改めます。 現行法では、子が一歳になるまでの連続した期間、育児休業ができるとなっておりますが、子育てというものは一歳で終わるわけではありません。本法案では、子が小学校就学の始期に達するまで分割して取得できるものといたします。 育児休業の期間は、労働者一人につき原則七カ月としますが、両親とも働いている場合には、パートナーに六カ月譲り渡すことができるものといたします。つまり、一カ月は譲り渡すことはできませんが、両親とも育児休業を取得すれば最長十四カ月、片方の親しか取得しなければ最長十三カ月となる仕組みであります。 さらに、現行法のもとでは労使協定によって制限されている、配偶者が専業主婦であるケースなど、子を養育できると認められる場合についても育児休業が取得できるものといたします。 ところで、子が急に熱を出したから医者に連れていかなければいけない、看病しなければいけない、あるいは、けがをしたから迎えに行かなければいけない、こういったときに、だれもが祖父母やベビーシッターに頼れるわけではありません。諸外国においても、家族のための看護休暇を認めている国はたくさんございます。 そこで、第三に、小学校就学の始期に達するまでの子を看護するための休暇を創設いたします。日数は、原則、子一人につき年間十日、上限を十五日とするものといたします。 第四に、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者が請求した場合、一日の所定労働時間の四分の一以下の範囲で勤務時間の短縮をしなければならないものといたします。 第五に、育児・介護休業、看護休暇、勤務時間の短縮等の措置を請求あるいは取得したことを理由として、解雇その他の不利益な取り扱いをしてはならないものといたします。 この不利益な取り扱いの禁止ということは、政府案においても目玉となっているようでありますけれども、民主党案では、例えば育児・介護休業から復帰したとき、原職または原職相当職に復帰させること、短時間勤務に際しての賃金その他の労働条件について、請求前の賃金その他の労働条件との均衡を保つようにすることも含むものといたします。 第六に、期間を定めて雇用される労働者のうち、実質上期間の定めなく雇用されている者として厚生労働省令で定める要件に該当するものについては、育児休業、介護休業の取得ができるものといたします。 その他、時間外労働、休日労働の制限、深夜業の制限、就業場所の配慮等、所要の規定に関する整備を行うことといたしております。 今日においても、育児、介護は女の仕事であると考えている人々が男性、女性を問わず少なくないことは、決してこれは否定はいたしません。しかし、性に基づく役割分担に疑問を持ちながら、仕事と家庭を両立させようと歯を食いしばって頑張っている多くの人々のためにも、法整備は急務であります。私たちは、価値観の多様化した現代社会において、特定の価値観を他人に押しつけることなく、異なった価値観を持つ人々が、意見の違いはあってもお互いに理解し合い、そして、尊重し合える社会を築いていかなければいけないと考えます。 男女ともに、仕事も育児も介護も、ともに助け合いながら両立していくことのできる、二十一世紀の新しい日本の社会を築いていくため、全会派の御賛同により本法案を成立させていただきますようお願い申し上げまして、趣旨の説明といたします。(拍手)
○議長(綿貫民輔君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。これを許します。鎌田さゆり君。 〔鎌田さゆり君登壇〕 民主党の鎌田さゆりでございます。 私は、民主党・無所属クラブを代表して、働きながら二人の子を育てる母親として質問をいたしますが、つい先ほど、大阪府池田市の小学生が突然の狂気の事件に巻き込まれたというニュースが飛び込んできました。大変悲しく、残念であります。今つらい思いをしておられる方々に、心からお見舞いを申し上げたいと思います。 それでは、質問に入らせていただきます。 ただいま議題となりました衆法の労働者の職業生活と家庭生活との両立を支援するための育児休業、介護休業等に関する法律案に対しましては民主党・無所属クラブの提出者に、政府提出の育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の一部改正案に対しましては関係大臣に質問をいたします。(拍手) ただ、総理が、人にはそれぞれ個性があるとおっしゃったとおり、女性もまたそれぞれですが、育児や介護の多くの現場を担ってきた我が国の女性、少子化と高齢化を同時に迎える今を生きる男性、女性、ともに共通している思いは、産めよふやせよは時代錯誤、でも、少なくとも、子供を安心して産み育てられる環境整備、システムづくりは国の政策の中で責任を持って確立されていくことを望んでいると思います。 そのような、時代のニーズがますます顕在化する中で提出された政府案は、その項目を見る限り、賛同したい文字が並んではいますが、中身については、小泉総理の英断はこの程度ですか、いや、そんなはずはない、私が総理になったということは政権交代に等しいと勤労者の祭典メーデーでそう言ったではないか、そういう思いを持って、まず政府にお伺いします。 政府が描く男女共同参画社会とは、具体的にどのような社会を指すのでしょうか。女性の社会進出が進んだとはいえ、女性に与えられた人生の選択肢は、意外と狭いことは御存じだと思います。 まず、女子学生が正社員として就職することが、最近、特に難しくなっています。せっかく仕事についても、結婚という節目を迎えるとき、仕事と家庭を両立しようと思えば、家事や育児の負担が重くのしかかるという現実があり、ましてや、育児などを理由に仕事をやめたら、再就職は非常に難しくなってしまいます。これでは、結婚も出産も、いや、待てよとなるのも、うなずけます。この実態を認知されているからこそ、社会を活性化させるために仕事と子育ての両立は不可欠の条件と、総理みずからが強調なさったのだと信じましょう。 そこで、男女共同参画担当大臣でもある官房長官、問題は、どのような考えのもとで、どのように具体化するかです。この点について、きちっとお答えをいただきたいと思います。 民主党案提出者にも、同様にお聞きします。 さて、男性も女性も仕事と家庭を両立できる環境をつくるため、現行の育児・介護休業法の充実は、働く親にとって不可欠なものであり、保育制度の充実などと並んで、大変重要な施策であると思います。しかし、今回、政府提出改正案の中身は、実際に育児の負担がかかることの多い母親の目からすると、非常に物足りない、歯がゆい内容と言わざるを得ません。 小泉総理は、保育所の待機児童ゼロ作戦の推進、放課後児童の受け入れ体制の整備などを打ち出されていますけれども、いずれも大原則の話で、今まで何をやってきたんでしょうねと申し上げたくなるくらいです。 今、必要なのは、職場復帰後にうまくやっていける仕組みをいかに盛り込むか、多様で豊富なメニューをどう整えるかということにあると思います。 そこで、政府案が働く親のニーズにどうこたえているか、具体にお伺いしてまいります。 まず第一に、政府案では、小学校就学前の子の看護休暇制度について、導入に努めなければならないとしており、企業側の努力義務規定にとどまっています。 しかしながら、育児休業から職場復帰した後、働く親がまず直面するのが、子供の病気やけがです。そら、熱が出た、やれ、おなかが痛い、体調が悪い、こういったとき、保育園に病児保育があるというところはまだ少なく、多くの親、特に母親は、私もそうでした、迎えに来てくださいと保育園から呼び出され、職場に迷惑をかけるのではないかと心苦しく思いながら、保育園に駆けつけます。 政府は、この間、家族看護休暇制度がある事業所は全国で八%という旧労働省の調査を引き合いに出され、まだ一般に普及していないから義務化は尚早だとおっしゃっていますが、ちょっと待ったと申し上げたいと思います。 なぜなら、有給休暇があるから看護休暇制度が要らないのではなくて、看護休暇制度がないから有休をなるべく使わずに、万が一の、子供が病気のときのために大事にとっておかなければいけないのです。両立支援の次の一手として、独立した看護休暇制度をぜひとも導入すべきと考えます。 坂口厚生労働大臣の御出身である公明党は、最近出されたアクションプランの中で、「働く女性、働きたい女性を応援します」と、高らかにうたっていらっしゃいます。また、かねてから、看護休暇の導入も主張されてきました。さきに、すばらしい英断を下された坂口厚生労働大臣だからこそ、私の期待も膨らむのです。大臣の前向きなお考えをぜひお聞かせいただきたいと思います。(拍手) 第二に、政府案には含まれておりませんが、民主党案の特徴ともいうべき点についてお伺いします。それは、男性の育児休業の取得をいかに促進するかということです。 〇・四二%という男性の育児休業取得率、わずか百九十四人という初回受給者数の実態をもっと真剣に見詰めなければならないと思います。男は仕事、女は家庭、こういった硬直化した役割分担から、今や、男女ともに、仕事も育児も介護も、ともに助け合い、両立させながら家族のきずなを強めていく、そういうライフスタイルが求められています。 実際に育児を担い、子供の成長と向き合うには、男性の育児休業取得を奨励するだけではなくて、この際、男性の育児休暇の義務づけが必要と思いますが、促進するための具体策とあわせ、大臣及び民主党案提出者にそれぞれお伺いします。 第三に、育児休業、介護休業の適用対象についてお伺いします。 最近、いわゆるパートや契約社員と呼ばれる雇用形態が急増していますが、こういった期間労働者に対する育児・介護休業の適用について、大臣、民主党案提出者からそれぞれお考えをお示しいただきたいと思います。 第四に、不利益取り扱いの禁止についてお伺いします。 政府案では、育児休業、介護休業の申し出や取得を理由とする、事業者による不利益な取り扱いを禁止するとなっていますが、そもそも、不利益取り扱いを禁止するのは、改めて書く必要もない当然のことだと私は思います。問題は、不利益取り扱いとは一体何ぞやということだと思います。 先月発表された厚生労働省の調査によれば、働く女性からの個別紛争解決援助の申し立てが、近年、確実に増加し、中でも、妊娠、出産等を理由とする退職の強要、解雇あるいは不利益な配置転換に関する事案が増加しています。紛争解決援助の充実を支える法的根拠は、働く人々にとって、非常に重要な、いわば背骨となるものだということを御理解いただきたいと思います。 リストラという言葉がマスコミ紙面に載らない日がないほど深刻な雇用状況の中で、安心して仕事と家庭を両立させながら働けること、子育て、介護を理由に解雇されず、不利益な取り扱いを受けないということは、将来への不安を取り除く、雇用におけるセーフティーネットの一つになり得ると思います。今後の雇用環境において重要な役割を果たすと考えられますので、大臣、この点、特に明快な答弁を求めたいと思います。 同様に、民主党案提出者にも、その認識を伺います。 景気が依然として低迷する一方、経営者の方の中には、看護休暇の法制化などとんでもないと思う人がいらっしゃるかもしれません。ですが、社員が家庭や地域に視野を広げ、生活者、消費者としての顔を持つということは、柔軟かつ多様な人材を確保することにもつながるのではないでしょうか。 以上、仕事と家庭を男女がともに両立できる社会の必要性をるる申し上げてまいりましたが、子育ては、正直言って、大変なこともあります。でも、朝御飯の三十分のコミュニケーションを確保するため、日々、仙台と東京を往復している私の元気の源は、二人の子供たちの笑顔です。それは、きっと皆様も同じだと思います。子供の成長は、親にとって、社会にとって喜びであり、希望の光です。 二十一世紀の男女共同参画、両立支援は、ここまでやるぞという意気込みでグレードアップさせましょうということを、この場に集うすべての議員の皆様に呼びかけて、私の質問を終わります。 ありがとうございました。(拍手) 〔国務大臣福田康夫君登壇〕 鎌田議員にお答えいたします。 これは、男女が、互いにその人権を尊重しつつ責任も分かち合い、性別にかかわりなく、政治、経済、社会などのあらゆる分野に女性が参加し、その個性と能力を十分に発揮できる社会でございます。男女共同参画社会の実現は、豊かで活力ある社会を築く上で不可欠であり、二十一世紀の我が国社会を決定する最重要課題の一つであると認識いたしております。 次に、仕事と子育ての両立の考え方及び具体化についてのお尋ねがございました。 仕事と子育ての両立は、女性と男性がともに社会に貢献し、社会を活性化するために不可欠の条件であり、これを積極的に支援するため、総理の先般の所信表明演説においても、待機児童ゼロ作戦、また、放課後児童の受け入れ体制の充実などについて、明確な目標と実現時期を定めて推進する旨が示されているところでございます。 これらの具体的な内容については、男女共同参画会議の、仕事と子育ての両立支援策に関する専門調査会におきまして、鋭意検討を行っていただき、六月中に最終報告をいただくことになっております。この専門調査会の最終報告も踏まえ、仕事と子育ての両立の支援に全力で取り組んでまいる所存でございます。 鎌田議員、頑張ってください。(拍手) 〔国務大臣坂口力君登壇〕 鎌田議員にお答えを申し上げます。 まず最初は、子供の看護休暇の請求権化についてのお尋ねでございました。 子供看護休暇制度の創設という目指す方向につきましては、私も議員も同じ認識であるというふうに思っております。しかしながら、看護休暇に関する我が国の現状を踏まえまして、一足飛びにこれを請求権とするのではなくて、まずは、努力義務規定を設けて、着実に第一歩を踏み出すこととしたわけでございます。 いずれにいたしましても、この法案を成立させていただきました暁におきましては、この努力義務規定に基づきまして、より多くの企業で子供の看護休暇体制が導入されるように努力を続けたいと考えているところでございます。 男性の育児休業取得促進策についてのお尋ねがございました。 確かに、御指摘をいただきましたように、男性の育児休業取得割合は極めて低い水準にあります。こうした状況の背景には、固定的な性別役割分担意識でありますとか職場優先の企業風土から、事業主や職場の理解が十分でないといったようなこともあるというふうに考えております。 こうした我が国の現状を踏まえまして、男性の育児休業の取得を義務づけるのではなくて、まずは、男性の育児休業取得が促進されるように、意識啓発を積極的に行うことが重要であると考えているところでございます。 期間雇用労働者に対する育児・介護休業の適用についてのお尋ねがございました。 育児・介護休業制度は雇用の継続を図ることを目的とするものでありますから、雇用期間が短く限定されている期間雇用労働者は、その対象とはされていないわけでございます。 ただし、労働契約の形式上、期間を定めて雇用されている者でありましても、特段の事情のない限り当然に更新されていることとなっている場合には、実質上期間の定めなく雇用されている者として育児・介護休業の対象となり得るものでございます。その取り扱いにつきましては、改正法に基づいて策定する指針において具体化してまいりたいと考えております。 それから、育児休業等を理由とした不利益取り扱いについてのお尋ねがございました。 もとより、法律上、権利として認められている育児休業等を理由として不利益な取り扱いが行われることは、あってはならないものであります。本法案におきましては、これを明確化することとしております。 ここで禁止される不利益取り扱いは、労働者が育児休業や介護休業を申し出または取得したことを決定的な動機として、例えば、休業から復帰後は正社員からパートタイマーに変わる等の身分変更を命ずるといったような不利益な取り扱いを想定いたしております。 こうした不利益な取り扱いの判断に当たっての考え方につきましては、昨年十二月の女性少年問題審議会の建議におきましても、「具体化することが適当である。」と指摘されておりまして、改正法に基づきまして策定する指針において具体化してまいりたいと考えているところでございます。 以上、御答弁を申し上げました。(拍手) 〔水島広子君登壇〕 答弁に先立ちまして、一言申し上げます。 本日午前中の大阪教育大附属池田小学校の事件で、四人のお子さんが亡くなられ、多くのお子さんがけがを負われたということに対しまして、犠牲となられた方たちに心から哀悼の意を表するとともに、本当に安全に、責任を持って子供たちを育てられる社会をつくることをここに改めて決意し、その思いを込めて、鎌田さゆり議員の質問にお答えいたします。(拍手) まず、仕事と育児の両立について、基本的な考え方と、それをどのように具体化するかについてお尋ねがございました。 もちろん、現に育児や介護と仕事の両立に苦しんでいる人たちの苦労を軽減するということも、重要な目的の一つです。また、育児や介護のために働きたくても働けなくなってしまうようでは、日本の唯一の財産である労働力が活用できず、いつまでも経済が健全化しないということもあります。 でも、私たちが仕事と家庭の両立の施策を整備することには、それ以上の意味があると思っています。 今、子供たちの心は危機的な状況にあります。大人たちと十分なかかわりが持てないため、健全な自尊心とコミュニケーション能力が育たず、多くの問題につながっているというのが現場の実感です。日本ではかなり前から少子化が進んでいるため、今の子供たちにとって、親戚の大人たちの数は少なく、地域社会のつながりも薄れ、身近な大人が少ないという、致命的な問題を抱えています。 そんな中、子供の権利を守る法律を整備し、保育や学童保育を充実させたり、地域の大人たちの意識を変えていくことによって、社会全体で子供を育てる体制を整えていくことは重要ですが、今、親一人一人が子供に及ぼす影響がかつてないほどに大きくなっているということをしっかりと踏まえた上で、親が子供に余裕を持って接することのできる環境をつくっていかなければなりません。 そのために必要なのは、時間的な余裕と精神的な余裕です。働きながらでも時間的な余裕を持って子供と接するためには、今回提出した民主党案のような具体的施策が必要です。また、人間として精神的な余裕を持つためには、それぞれの多様なあり方が尊重されていることが重要です。 人間は多様な存在です。個々人の価値観や事情によって、生活のあり方も多様です。子供を持ちたい人もいれば、子供を持ちたくない人もいます。子供が欲しくても、持つことのできない人もいます。子供を持って働き続けたい人もいれば、働かざるを得ない人もいます。いずれも、人間としてひとしく尊重されるべき存在です。その多様性を認めていくことが、大人たちの心に余裕をつくり、子供たちを健康に育てられる社会をつくっていくのです。政府案よりもはるかに選択肢の幅が広い民主党案は、多様な働き方を保障する確実な第一歩となるものです。 今回、私たちが本法案を提出するに当たって望んだことは、日本がこれから、本当に子供たちを大切に育て、人間の多様性を尊重できる社会に生まれ変わることです。 また、仕事と子育ての両立を具体化するためには、職場環境の整備のほか、保育の整備も欠かせません。私たち民主党は、一昨日、児童福祉法の一部改正案を衆議院に提出しております。無認可保育所の届け出を義務づけることによって、まずは、行政が虐待問題などに積極的に取り組める体制をつくることが必要だと考えています。そして、保育に関しても、子供たちの権利を守り、多様性を尊重するという観点から、抜本的に見直す必要があると考え、現在、さらなる施策を検討しているところでございます。 次に、男性の育児休業取得を促進するための具体的施策についてのお尋ねがありました。 現在、男性が育児休業をとりにくいのは、それを許さない職場風土が強く影響しています。また、育児休業が分割してとれないという不便さも、男性の育児休業取得という新たな挑戦を妨げている側面があります。 私たちの法案では、育児の責任が父母の双方にあるということを明確にするためにも、初めて、いわゆるパパクオータ制を採用しています。 夫婦が共働きしている場合に、一人当たり七カ月の育児休業が保障されていますが、このうち、配偶者に譲ることができるのは六カ月までとしております。つまり、一カ月は、その親に固有の権利であって、相手に譲り渡せないものとされています。父親も母親も育児休業を取得すれば、最長十四カ月までとることができますが、どちらか一方しかとらないと、最長でも十三カ月となってしまいます。 このことが即、男性の取得促進にはつながらないかもしれませんが、育児の責任はどちらか一方のみが果たせばよいのではなく、それぞれに責任があるということを法文上明記することは、大きな意味があると思います。 また、民主党案では、配偶者が働いていない場合にも、七カ月までの育児休業をとることができ、それは労使協定によって妨げられないとしています。 両親がそろっている場合の父親不在の育児の弊害が、随所で指摘されています。つい最近発表された民間のデータによっても、夫のサポートを切実に必要としている母親の声が多く、孤独感を抱き、子育てに悩む姿が浮かび上がっております。 妻が専業主婦だから夫は育児に参加しなくてもよいという考え方が、妻を孤立させ、虐待を初め、さまざまな問題につながっていきます。私たちの法案は、その点にも配慮したものです。 さらに、育児休業を分割取得できるようにしてあります。まず母親が育児休業をとり、次に父親がとってみて、うまくいかなければ再び母親がとれるというように、夫婦で相談しながら、少しでも前向きに取り組んでいくことができると思います。 法案に盛り込んだ具体策は以上ですが、もちろん、育児は女の仕事という社会全体の意識が変わらなければ、男性が育児休業をとりにくいという状況は改善されません。 提出者の山花議員も、先日、父親となられ、八日間の産休をとりましたが、賛否両論が沸き起こって、議論を呼んでおります。この問題が議論になること自体が、今の日本の現状を物語っていると思います。 イギリスのブレア首相も産休をとりました。北欧では、大臣が育児休業をとることは、もはや当たり前のこととして受け入れられています。これらの国では、一般社会での施策も進んでおります。 日本もそのような社会に生まれ変わる覚悟があるということを示すために、ぜひ、小泉総理が率いられる与党の皆さんにも、民主党案に賛成していただきますようお願いいたします。(拍手) 鎌田議員が指摘されたように、今の日本では、パートや契約社員という雇用形態が、特に女性の間で多くございます。期間雇用と一口に言ってもさまざまで、本当に限定された期間だけ働く人もいますが、契約を繰り返し、実質上期間の定めなく雇用されている人も少なくありません。そのような場合に、期間雇用者だからというだけの理由で育児・介護休業を与えられないという現実に、多くの人たちが苦しんでいます。 民主党案では、実質上期間の定めなく雇用されている期間労働者についても、育児・介護休業が保障されるということを法文上に明記し、さらに、その要件について、厚生労働省令で定めるものとしています。 男女雇用機会均等法が施行されても、男女差別がパート差別あるいは期間雇用者差別という形に姿を変えただけという実態も多く見受けられます。真の男女共同参画を考えるためには、雇用形態によって差別されることなく、労働者としての均等な待遇が保障されるような法整備が今後の重要な課題だと考えております。(拍手) 〔山井和則君登壇〕 民主党の山井和則でございます。 鎌田さゆり議員から、不利益取り扱いについてお尋ねがございましたので、手短に答弁をさせていただきたいと思います。 御指摘のとおり、介護や育児で休業をとったからといいまして不利益な取り扱いが認められるようなことでは、この休業制度が萎縮をしてしまいます。したがいまして、解雇の禁止はもとより、不利益な取り扱いを禁止するということは当然でありますが、その中身が、今、問われております。 政府案でも不利益取り扱いについて盛り込まれておりまして、先ほど坂口厚生労働大臣から、休業の申し出や取得を決定的な動機として不利益な取り扱いを受けることがあってはならないという答弁がございましたが、これは政府案の条文の縮小解釈であると感じます。民主党案では、不利益取り扱いに関して、もっと多くのことが含まれると考えます。どのようなケースが不利益取り扱いに含まれるのかということを、もっと具体的に明記すべきであると考えます。 例えば、休業が終わった後、仕事に戻るときに、もとの職場に机がなくなってしまう、そのような危険性があれば、安心して休業をとることができません。その点、民主党案では、休業をとって、もとの職場に戻るときには、もとの仕事、すなわち原職復帰、原職にふさわしい職種への復帰を認めております。それを保障しております。このようなことを保障しているところが政府案との大きな違いであり、また、復帰後も、その休業の取得を原因としまして賃金や配置や昇進等についてペナルティーが科せられることがないようにしなければならないと考えております。 私は、高齢者福祉をよくするために立法府に身を置いておりますが、この不利益取り扱いの問題は、育児を中心とする今回の法案の柱でありますが、このことをきっちりと法案に明記することが、これからの高齢者福祉を労働法整備の面でもバックアップするものであるということを、最後に申し添えたいと思います。 以上でございます。ありがとうございました。(拍手)
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