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2001年03月15日 

衆議院 総務委員会 議事録


やまのい和則 質問 部分 

恩給法等の一部を改正する法律案について

○御法川委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山井和則君。

○山井委員

 質問に先立ちまして、先日、文芸春秋を私、読ませていただきましたら、片山大臣と宮崎緑さんの対談が出ておりました。その中に、これからの地方分権のあり方やIT基本法の問題、そして放送のデジタル化、また郵便局の今後のあり方について書いてあります。非常に、大臣の思いがわかりやすく私も理解できました。

 それでは、きょうのこの法案であります恩給法等の一部を改正する法律案について質問させていただきたいと思います。

 まず最初に、この法案については賛成であるという私の立場を述べさせていただいた上で、質問をさせていただきます。

 この法案趣旨の最初に、「経済情勢等にかんがみ、」というふうなことが書いてあるのですが、これはどのような経済情勢を指すのでしょうか。

 なぜこのようなことを聞くかといいますと、消費者物価も低下する中で、ほかの年金は据え置きになっております。恩給のベースアップがない中で、なぜ普通恩給及び扶助料の最低保障額の一部を引き上げるのか、その趣旨をお答えいただきたいと思います。

○片山国務大臣

 今お話がございました恩給の改善につきましては、恩給が国家補償的な性格を持つという特殊性がまず一つありますが、その特殊性を考慮しながら、公務員給与の改定や物価の動向など、そういうもろもろの状況の総合勘案、こういうことでございまして、今回私どもが大変心配しましたのは、平成十二年度は公務員給与の改定が見送られた、物価がマイナスである、こういうことの中で、公的年金をどうされるのかな、こういうふうに考えておりましたが、結局、最終的には、年金額の引き下げは行わない、据え置く、こういうことにいたしましたので、我々も、少なくとも恩給年額は据え置いてもらえる、こういうことで強く折衝をいたしまして、予算折衝の結果、そういうことになったわけであります。

 ただ、恩給制度の中でも最も低額な恩給である戦没者の遺族等に対して給付されます遺族加算などにつきましては、やはり冒頭に言いましたように、恩給の国家補償的な性格ということを重視いたしまして、これは少なくともその処遇の改善を図るということから、また関係者の方の強い要望等がありますので、ぜひお願いする、こういうことで、最終的には、大臣折衝の結果、恩給制度内のバランスにも配慮しながら、現下の財政状況の中ではこのくらいと、こういうことで妥結したわけでありまして、我々としてはこれはやむを得なかったな、こういうふうに思っております。

○山井委員

 そういう意味では、格差の是正、底上げというふうに理解させていただきたいと思います。

 さて、今百四十五万三千人の方、そして平均年齢八十一歳の方が恩給を受けておられます。

 例えば、私もこの旧軍人普通恩給受給者の生活状況調査報告書というのを今回読ませていただきました。少し私が感じたところをかいつまんで申し上げますと、例えば旧軍人普通恩給受給者の場合、平均年齢八十二歳で、平均収入が恩給と公的年金、これは国民年金や共済年金、厚生年金ですけれども、平均年額が七十七万円、それで七一%の方が病院に通院しておられる。そういう意味では、八十歳というと、もうほとんど平均寿命にも達しておられるわけです。それで、五%が既に入院をしておられるという実態です。また、一二%の方が介護を受けておられます。また、旧軍人公務扶助料の受給者、すなわち、遺族の調査でも、健康であるという方は一二%しかなくて、余り健康とは言えないが五九%、病気で一日じゅう寝込んでいるという人も一〇%おられるわけです。今少しだけ言わせてもらいましたが、このような今の受給者全体の状況について、どのように認識あるいは把握しておられますでしょうか。

○遠藤副大臣

 お答えをいたします。

 恩給の受給者の生活状況につきましては、今お話がありましたように、昭和五十一年度以降、毎年度、順次、恩給の種類別に、家族の構成であるとか就業状況、世帯の年収、家計に占める恩給の役割、公的年金の受給状況あるいは健康状態、また受給者の意見とか要望等につきまして調査を行いまして、その把握をしているところです。

 最近の調査の結果を概観いたしますと、まず第一点としては、恩給を主たる収入としている者、その方は、増加恩給受給者、これは公務で重度の障害を残された方ですけれども、この方々の中では特に多く、大体約六割の方が主な収入を恩給に頼っているということでございます。また、文官の普通恩給や普通扶助料とか旧軍人の傷病年金等の受給者については、約三割の方が主な収入を恩給に頼っているということでございます。

 それから、公的年金の受給状況については、旧軍人の普通恩給や普通扶助料、傷病年金受給者について公的年金を受給している者の割合が約八割から九割程度となっておりますが、一方、旧軍人の公務扶助料受給者は六割を切るといった状態になっています。

 また、受給者の意見とか要望を聞きますと、いずれの調査におきましても、恩給があることについて感謝をしているという声が強いと同時に、恩給の増額を求める要望が大変多い。特に、低額の恩給の皆さんの中にそういう声が多いということでございまして、今回も、第二次折衝でそこの部分は増額させていただいたということでございます。

○山井委員

 資料では、恩給受給者が非常に高齢化しているということが見てとれます。今、遠藤副大臣がおっしゃいましたように、この調査の中でも、要望のトップが恩給の増額、これはある意味で当然なんですが、それに続いて手続の簡素化、手続の広報の充実、また裁定に対する疑問や不満、相談窓口の充実というようなことが出ておりますので、ぜひともこれらの要望についても対応していただきたいと思います。

 それで、病院にかかっておられる方やホームヘルパーにかかっている方が非常にふえている。恩給以外のサービスについて厚生労働省に聞いてみたところ、戦傷病者の特別援護法により、まず公費負担で傷痍軍人には無料で医療を行っているなどという取り組みがあるということなんですが、これからますます受給者が高齢化していくというふうに思うんです。総務省としては、このようなお金の問題だけじゃなくて、非常に弱っていかれる恩給受給者に対して、どのように対応されようとしているのか、御答弁をお願いします。

○遠藤副大臣

 お尋ねのように、平成十二年三月現在におきまして、恩給の受給者の平均年齢が八十一歳ということで、今後もその年齢が上がるだろうと予測されるわけでございます。こういう高齢化に対して、大体三十万人ぐらいの方々からいろいろな御相談がございますけれども、それに対して専門的にお答えができる相談室を設けて、恩給に関する幅広い知識とか経験を有する職員を配置いたしまして、親切丁寧に受給者の立場に立って御相談に応じているということです。

 あるいはまた、恩給の受給者に対する通知書等につきましても、できるだけ文字を大きくしたり、わかりやすい文章にしたりいたしまして、御高齢の方にも十分に理解をしていただけるように配慮をしているところでございます。

 あるいは、恩給の受給者のみならず、受給者の相談相手になっております近親者の方々、御家族の皆さんとかそういう方々にも御理解をいただけるように努力をしておりまして、より一層相談業務を充実しながら丁寧に対応していきたい、このように思っております。

○山井委員

 高齢化しておられますし、遺族の方もまた高齢化しておられますので、その辺の対応をよろしくお願いいたします。

 それで、今後の恩給受給の見通しについて、次にお伺いしたいと思います。

 現在は、先ほども述べましたように、百四十五万三千人なんですが、聞くところによりますと、二〇一〇年、九年後には百万人を割るんではないかということも聞いたんですが、対象者数や金額について、長期的にはどのような見通しを持っておられるのか、お伺いしたいと思います。

○遠藤副大臣

 恩給の受給者の将来推計ということでございますが、これは、恩給受給者の失権による減少というものをどのように見込むかというのはなかなか推定困難なんですけれども、仮に、平成十三年度予算において見込んだ人数が百四十五万人おりますので、それを基礎にいたしまして、厚生省が作成しております平成十一年簡易生命表の年齢別死亡率等を用いて機械的に計算をいたしますと、十年後の平成二十三年度には約八十四万人になるだろう。これは、対十三年度比五七・九%です。それから、十五年後、平成二十八年度には約四十七万人になるだろう。これは、対十三年度比三二・一%でございます。

 その後はどうなるかということでございますけれども、推計に不確定なものがかなりありますし、個別の、例えば婚姻だとか養子だとかいう要素がございますものですから、ゼロになるのはいつかというと、確定はできないわけでございますけれども、おおむね、三十年後の平成四十三年度にはかなりの少人数になるだろう、このように見込まれるところでございます。

○山井委員

 こればかりは、減っていくというのは仕方がないことなんですけれども、こういうことに関して、ある意味ではほかの年金と統合してはどうかというような意見もあるわけです。今後、選択肢の一つとして御検討いただければと思います。

 次に、ちょっと変わりまして、在日韓国人などへの弔慰金についてお伺いしたいと思います。

 まず、外国の例なんですが、恩給について、第二次世界大戦で戦ったほかの国は、国籍のない人に対してどのように扱っているのか、このことについてお伺いをしたいと思います。

○滝大臣政務官

 外国における扱いの問題でございますけれども、まず、文官と軍人それぞれが、そもそも国籍を要件としているかどうかという問題と、それから今度は、実際に発生して恩給を受け取った後、国籍が変わった場合にどうなるのかというようないろいろな問題があるわけでございますから、一概には言えないと思いますけれども、アメリカとかイギリス、そういうようなところでは、概して国籍の要件を外しているようなケースが多分にある。

 それに対して、例えばドイツ、フランス、イタリー、いわばヨーロッパの大陸系の場合には国籍を恩給の条件にしている、そういうようなことが見受けられるのではないかというふうに思っております。

○山井委員

 一九八二年の外務省の調査というのをちょっと見てみたら、アメリカ、イギリス、フランス、イタリアなどは国籍条項がなく、国籍にかかわらず同等に扱っているというように書いてありました。

 日本でなぜそうできないのか、そもそもなぜ日本に国籍条項を設けたのか、そのことについてお伺いをしたいと思います。

○滝大臣政務官

 日本の場合には、おっしゃいますように、恩給法の九条で、国籍を失ったときは恩給受給権を失うということを規定いたしておるわけでございまして、この規定は、大正十二年に現在の恩給法の制定以来、そういう条件がつけられているわけでございます。

 したがって、そういう意味では、日本の場合には、公務員の年金制度として、十二年からの公務員制度そのものに対する考え方、そういうことが基本的な約束事として一貫して維持されてきたということに由来するというふうに思っております。

○山井委員

 このあたりの不公平だという議論については、過去に議員立法のときに議論されたのかと思いますが、在日韓国人などの方の中には、甚だ今の弔慰金というのは不十分だという声が非常に強いと聞いております。

 それについて、この四月一日から在日韓国人旧軍人軍属戦没者遺族などに対する立法措置が施行されるわけですけれども、まず、その額についてお伺いしたいと思います。例えば戦没者遺族への弔慰金が二百六十万円ということですが、これについて、その根拠を知りたいと思います。

○滝大臣政務官

 御指摘のように、この四月から平和条約国籍離脱者ということで、在日韓国人につきまして新たに弔慰金を支給することになるわけでございますけれども、その金額が、おっしゃいますように、戦没者等の遺族に対しましては二百六十万、こういうふうに規定いたしているわけでございます。

 その根拠でございますけれども、これに先立ちまして、実は昭和六十三年に台湾の方々に対して同じように弔慰金法における弔慰金というものをお出ししたわけでございますけれども、そのときの金額が二百万円であった、こういうことをベースにいたしまして、以後、六十三年から今日までの恩給の改定率、それを台湾の場合の二百万円に掛けまして、今回二百六十万円とさせていただいたというのが根拠でございます。

○山井委員

 この一時金という形に対して、同じように戦場で戦ったのに、国籍の違いにより、なぜ恩給でなく弔慰金なのかという批判があると聞いていますし、また、二百六十万円という額で十分だとは思えません。このことに関して、こういう不十分な形だったら受け取らないというようなケースは出てくるのでしょうか。そのことと、あと、しかし、このような制度が四月一日からスタートする以上は漏れのないように給付してほしいと思いますが、この立法措置、四月一日からについての準備状況についてお答えいただきたいと思います。

○滝大臣政務官

 御心配の点は、一つは、二百六十万円程度であれば受け取らないという方が出てくるのじゃなかろうか、こういうような御懸念でございますけれども、私どもとしては、これは議員立法として長年の懸案を解決した、あくまでも弔慰金、そういうようなことで立法化いたしたわけでございますので、多くの方に恐らく弔慰金を受け取っていただく、そういうようなことを期待されていると存じますし、私どももそういう意味でできるだけ幅広くPRもさせていただきたい、こういうふうに思っているわけでございます。

 そこで、実際の窓口は市町村がおやりいただくわけでございますので、昨年の秋、そして、この年明けて二月にも打合会をやっておりまして、とにかく、これから四月一日以降の業務開始に先立ちまして十分なPRをまず行う、こういうことでございまして、本日も、日刊紙にもそのPRの広告を掲載させていただいているような状況でございます。

○山井委員

 ちなみに、この特別立法措置の対象者は大体何人ぐらいと推定をされておられますでしょうか。

○滝大臣政務官

 対象者の数字は、なかなか正確にはつかみかねるところがあるのでございますけれども、今までの朝鮮半島出身者の軍人軍属の数あるいは戦没者の数、台湾の方々の場合の弔慰金の支給実績、そういうことから推計いたしますと、大体二千人から三千人ぐらい、大変粗い推計でございますけれども、そのような数字を一応推計しているような状況でございます。

○山井委員

 今おっしゃったように、戦争で戦った韓国人などの方が二十四万人、永住の在日韓国人などが約五十二万人、その中で何人がこの資格者かというのはなかなかわかりにくいと思うんです。

 そこで、そもそもこの弔慰金の申請の窓口は市町村なわけですが、やはり申請漏れがないように、特に在日韓国人などの方々への広報というのは充実する必要があると思うんですが、どのようにそのあたり、心がけておられますでしょうか。

○滝大臣政務官

 基本的には、御高齢の方が多いという前提に立ちまして、とにかくできるだけ親切、懇切に対応させていただくということが基本だというふうに考えております。

 そしてまた、言葉の問題もあろうかと存じますので、そういう面で、パンフレット等にも、言葉の違いと申しますか、日本語以外にもハングル文字でパンフレットをつくるとか、そういうようなきめ細かさが必要だということで準備をさせていただいているような状況でございます。

○山井委員

 ここの「弔慰金等の請求手続など」という資料を読ませていただきますと、公務等で死亡した場合の書類、すごく数が多いのですね。「弔慰金等請求書」「他の法令による給付に関する申立書」「弔慰金等受取金融機関に関する届」「公務傷病等により死亡したことを認めることができる書類」「外国人登録証明書の写し」「先順位者がいない旨の申立書」など、これは、それぞれすべてが必要なわけではないのですけれども、非常に申請書類が多いということで、先ほども話がありましたが、高齢で、かつ在日韓国人などの方なわけですから、こういう行政手続というので非常に混乱あるいは苦労をされると思います。

 先ほどの要望書の中でも、ただでさえ手続が非常にわかりにくいということがありましたので、このあたり、そういうことで、受け取る権利があるのに受け取りづらくなってしまうということはないようにしていただきたいと思います。

 特に、御高齢になってきて、御自分で歩いて申請ができないというようなケースはどうなりますでしょうか。

○滝大臣政務官

 当然そういうことも予想されるわけでございます。市町村の窓口におきましては、本人が病弱な場合にはできるだけ御家族を通じて手続が十分にできますように、そういうようなことで対応させていただくということを考えておるようなことでございます。

○山井委員

 御本人さんが亡くなられた後、どうしたら御遺族が受け取れるかということについて、わかりにくいというようなことがあると思いますので、その相談の窓口もまたきっちりと充実していただければと思います。

 それで、少し話は変わるかもしれませんが、在日の韓国人などの方も非常に高齢化をされてこられました。

 私、昔、京都の老人ホームで実習をさせてもらったことがあるのですが、何カ所かで実習させていただいて感じましたのが、五十人の特別養護老人ホームでしたら、京都の場合、必ずお一人かお二人ぐらい、金さんなどという名字で在日の方がおられるわけですね。それで、高齢になると、痴呆でなくとも、日本に来て覚えた日本語を忘れてしまって、もう母国語しかしゃべれなくなるというケース、あるいは、そういう言葉だけではなく、実際、食べ物も、日本料理よりもキムチなどの自分の国の食べ物が恋しくなるというようなケースも出てくると思います。

 私、非常に心が痛みましたのは、日本語もしゃべれなくなる、はっきり言って、文化も多少違うという中で、五十人の特別養護老人ホームで、ある意味で差別をされて、ただでさえ苦しい、つらい人生を送ってこられた在日のお年寄りの方が、安心できるついの住まいであるはずの老人ホームに入って、またそこで差別をされて、仲間もいずに、非常につらい日々を送っていられる。母国の言葉を話されたら、老人ホームの寮母さんも何をしゃべっていられるかもわからないわけですよね。そういうことを非常に私、戦争という一つのことに端を発する問題でもありますので、心が痛んだのです。

 そんなこともあって、私、在日の韓国人などの方から、そういう方々専用の特別養護老人ホームや、あるいはもっと小規模の、七、八人のグループホームなどが必要だ、そんな要望も受けているわけなんですが、特別立法以外にこのような介護サービスとしての在日韓国人などの方々への対応を何かお考えでしょうか。

○堤政府参考人

 介護保険制度におきましては、日本国籍の有無にかかわりませず、国内に住所があるということであれば、平等に制度の適用があるわけでございます。したがいまして、在日韓国人の方々につきましても、特別養護老人ホームを初め、介護保険制度の各種のサービスを利用していただけるわけであります。例えば、特別養護老人ホーム等におきましては、正当な理由なく入所希望者の入所を拒否するということはできない、例えば、特定の外国人のみを対象としておりますから、あなたはだめですと、その他の方々についての入所を拒否するということは認められないという建前になっております。

 ただ、そうはいいましても、実態としていろいろ見てみますと、各施設のサービスあるいは食事の内容等につきまして、入所者のニーズとか、それまでの生活実態に応じていろいろと工夫をされている例は多うございまして、例えば在日韓国人の方々の多い地域では、実態として、施設の中で韓国人向けの環境づくりとか食事の提供といったようなことも行われている例もございます。

 介護保健施設の運営基準の中でも、入所者の意思及び人格を尊重して、常にその者の立場に立ってサービスを提供するよう努めるとか、あるいは、食事の提供は、栄養並びに入所者の身体の状況及び嗜好を考慮したものとするといったようなことを決めておりまして、そういうふうな規定を踏まえて、入所者の実態に応じて、それにふさわしいサービスを提供されていくということは適切なことではないかと考えております。

○山井委員

 今お答えがありましたように、確かに特定の人を排除するとかいうことは介護保険の中でも難しいかとは思うのですが、年をとればとるほど、母国の言葉や母国の文化、母国の食べ物が恋しくなるということも御理解いただけると思います。

 私がなぜこのようなことを言うかといいますと、私も昔、いろいろな外国の老人ホームでボランティアをして回ったことがあったのですけれども、非常に考えさせられたのが、外国人労働者や移民として来られた方が今、高齢化している。だから、例えばイギリスやスウェーデンでも外国人向けの老人ホームがあったり、グループホームがあったり、あるいは一番わかりやすい例ですと、アメリカのロサンゼルスには日系人向けの敬老ナーシングホームとか、日本人の高齢者向けの老人ホームがあるわけなんですね。

 二十一世紀、国際社会であり、高齢社会になっていきます。また、本当に在日の方々にとっては戦争で傷ついた心というのはまだまだ残っていると思いますので、そのあたり、介護保険という見地だけではなく、国家補償という見地から御配慮をいただければと思います。

 そこで、もう一つお伺いしたいのですけれども、老人ホームだけではなくて、在日韓国人などの御高齢の方が在宅で暮らされるケースもふえてくると思います。そういうときに、例えば韓国の言葉がしゃべれるホームヘルパーさんとか、これは韓国に限らず、日系ブラジル人の方の御高齢の方も、呼び寄せの問題とかで、もしかしたら出てくるかと思うのですけれども、国際化に対応した、外国語がしゃべれるホームヘルパーさんがそこの家に行くというようなことも二十一世紀には必要になってくると思うのですが、そのあたりについての取り組みはいかがでしょうか。

○堤政府参考人

 サービスを利用する方は当然でございますし、もちろん、サービスを提供される側の方々についても、何人であってはいけないとか、そういうことはもちろんございません。ただ、例えば今のホームヘルパーの養成のカリキュラムの中に韓国語が入っているというわけではございませんけれども、できるだけ使っていただきますように、私どもも、介護保険のパンフレットを中国語、韓国語、英語というふうに三種類つくってお配りをしたりして、そういう要望もございましたので、そういう情報提供に関してはできるだけ配慮してやっております。

 恐らく実態として、先ほどの特別養護老人ホームの例でもございましたように、そういう地域では、韓国語も話せるような、あるいは在日韓国人みずからヘルパーになっていただいて、家庭を訪問していただくということもだんだんふえてくるのではないかと思っております。

○山井委員

 介護保険にしても、日本のお年寄りでさえわかりにくい、利用しづらいという声もあるぐらいですから、在日の韓国人などの方々への配慮もぜひしていただきたいと思います。この恩給や弔慰金を通しまして、本当に戦争で御苦労された方々が安心して長生きができるような社会にしていっていただきたいと思います。

 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。


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