衆議院議員 やまのい和則(かずのり)

民主党京都府第6区総支部長、衆議院厚生労働委員会理事、予算委員
やまのいの活動と、福祉の情報を中心に提供します。

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消えた年金について

166-衆-厚生労働委員会-29号 平成19年06月08日

○山井委員 これから四十五分にわたって質問をさせていただきます。
 最初に、例によって、本当に現在、労働法制の審議に勝手に入っていられることに関して強く抗議を申し上げたいと思います。
 長妻議員の質問で、おとつい、千四百三十万件という新たな宙に浮いた記録、その問題が明らかになりました。今の柚木議員の質問に対する答弁を聞いても、何と、この国会中にその一千四百三十万件の記録にどう対応するかは答弁ができないと。まさか、そういう状況の中で参議院でまたしても強行採決をされるのではないですね。
 また、これは衆議院の強行採決前からずっと要望しております、特殊台帳のマイクロフィルムとコンピューターデータの三千件のサンプル調査の結果、これもまだ出てこない。きょうの午前中の理事懇では、谷畑筆頭が来週火曜日の午前中に出すということをおっしゃっておられましたけれども、それもまだ出てきていない。そしておまけに、報道によりますと、安倍総理が帰国になったらまた新しい対策を発表される。衆議院の社会保険庁改革そして消えた年金の審議、終わったどころか、ますます審議をせねばならない点が続々出てくるじゃないですか。そしてまた、おとついも私、数人の実際に年金記録が今消えてしまっている、見つからない方のお話をしましたが、柳澤大臣の答弁はすべて、第三者機関が判定します、判断します。その第三者機関の判断基準はといえば、まだ未定であると。
 今、民主党の消えた年金一一〇番に連日多くのメール、ファクス、電話、手紙が届いております。大体五十歳以下ぐらいの方はメールで、そしてやはり御高齢の方はメールが使えないから直筆の手紙で、自分の年金手帳、カラーコピーを張りつけてくださって、自分の年金記録がいかに消えているか、払ったはずなのに未納扱いされて、何度社会保険事務所に行っても証拠がないからと却下されている、そういう切々たる手紙が山のように届いております。読んでも読んでも、まだこれで数日分です。きのう届いたものは処理し切れませんから、まだ私も目を通しておりません。そして、この方々が書いていられるのは、やはり第三者機関の中身がわからないから、自分たちが補償されるのか救済されるのかさっぱりわからない、そして、今の政府・与党案ではグレーゾーンが多過ぎて解決策になっていないという悲鳴がここに届けられているわけですね。
 きょうは武見副大臣にもお越しいただいておりますが、武見副大臣の質問にまで行けるかどうかわかりませんが、このことについてお伺いをしていきたいと思います。
 そして、柳澤大臣、武見副大臣にぜひ御理解いただきたいのは、私、何人もの議員やスタッフ、秘書の仲間で手分けして読んでいるんですが、本当に頭が痛くなるんです。例えばこの方も厚生年金が二年間未納になってしまっている。この方も国民年金が四年間未納になってしまっている。そして、言い出したら切りはございませんが、本当に非常に深刻な事態になっております。こういうふうな中で、月に一万円受け取れなくなったとしても年間十二万円ですから、二十年間、平均寿命ぐらいまでお生きになられたら既に二百万円ぐらい、そして長い期間の人でしたら五百万円ぐらいなんですね。
 例えば、このメールの方はお母さんががんになっていられる、メールも送れない、だからかわって娘さんがメールを打ってきた。二十年以上年金を掛けてきて二カ月ほど未納の時期があったので、区役所の人からこれだけ払ったら年金がもらえますと言われて二カ月払った。ところが、六十五歳に、ではもらいに行こうと思って行ったら、いや、その二カ月払っておられませんよと言われた、二十五年に達していないと。それで、領収書も紛失したようですが、紛失したと。そして申請の役所に、窓口に行くと、おたくは掛けなければならない時期に二カ月支払いされておりませんので支給はできませんと、けんもほろろの対応でしたと。
 そして、この方は、年金がもらえないんだったらせめて掛けてきた分の保険料だけでも返してほしいと。がんだけれども、がん保険も未加入で苦しんでいる。これ、二カ月未納になっているかなっていないかで天国と地獄じゃないですか、国民年金をもらえるのと一切もらえないのと。二十年間でいったら、五百万、一千万ぐらいの違いになりますよ。
 こういう手紙やメールも、こちらに来ておられるお年寄りの方も、五百万円、未納の関係で、もらえるべきものがもらえていない。私は本当に頭が痛くなるんですよ。五百万円、二百万円、そんな額かと思われるかもしれませんが、繰り返しになりますが、未納期間があって、一カ月に一万円でも二十年で二百万円を超えるんです。一カ月二万円ぐらい違ったら優に五百万円を超えるんです。その二百万円、五百万円、保険料を払ったはずなのにという悲鳴がこれだけ、今読み切れないぐらいに民主党に寄せられている。
 言うまでもなく、年金というのは老後の生活保障の柱であります。本当に、これは何としても、まじめに払った人の年金は保障せねばならない。今、日本の国の老後の安心というのは最大の危機に瀕しているというふうに私は思います。
 にもかかわらず、先ほど柚木議員の話にもありましたが、きょう早朝からチラシをまかれて、そのことには私は敬意を払います。しかし、まさに柚木議員が指摘されたように「お問い合わせには真摯に対応します。気になる方、心当たりのある方は、お問い合わせください。」、まだこの期に及んでも待ちの姿勢じゃないですか。柚木議員が指摘したように、私たちは五千万件に対してこう対応します、気がつかない方に関してもこう対応しますということを、ここまで問題になって、社会保険庁のミスが大きくなった以上は打ち出していくべきではないかというふうに思います。今読み上げさせていただいた末期がんの方も、もう御自分は身動きがとれないわけですよ。気になる方はお問い合わせくださいといっても、そういう待ちの姿勢じゃだめなんですよ。
 武見副大臣にお伺いしたいと思います。
 このような状況に関して、いつも柳澤大臣に聞いておりますので、副大臣、いかが思われますでしょうか。

○武見副大臣 既に大臣の方からも幾度となく御答弁をさせていただいておりますけれども、今回の基礎年金番号との突合が行われておらない五千万件と、さらには台帳等とのさらなる結合の問題等、さまざまな観点で国民の多くの皆様方に大変な御心配をおかけしたことについては、心からおわびを申し上げる次第でございます。
 したがって、これらの諸点について、既に具体的にもお話を申し上げているとおり、でき得る限りこれらの考え方に基づいてしっかりとそれぞれ作業を行う体制、それを早急に整えて、御安心をいただくよう最善の努力をするということが必要だというふうに私は思っております。

○山井委員 副大臣、今の話の続きになりますが、要は年金がもらえるかもらえないかで天国と地獄なんですよ。御存じのように、ただでさえ医療費の自己負担がアップして、なかなか十分な医療にかかれないんですね。差額のベッド料とか、どんどん病院から追い出されるとか、そのことは武見副大臣も一番御存じだと思います。残念ながら、このがんを患っておられるお母さんは年金がもらえない。もし年金がもらえていたら、もっといい医療を受けられるかもしれないじゃないですか。これから一年かかるのか何年かかるのかわからないけれども、その後発見されたといっても、万が一こういう方がもう病気が悪化していたら、ある意味で意味がないんじゃないですか。このことの深刻さを私はわかっていただきたいんです。この一通一通に一人一人の人生がかかっているんですよ。命がかかっているんですよ。
 柳澤大臣にお伺いをしたいと思います。
 これは通告をしておりませんが、私もきょう見てびっくりしたんですが、きょうの週刊現代、柳澤大臣、お読みになられたかどうかわかりませんが、大きな見出し、「内部告発!!消えたのは五〇〇〇万件どころじゃない 三鷹の倉庫にあった 「社保庁が隠す年金台帳一億件」」、この記事であります。ですから、私も、もちろんこのことについて真偽を確かめることはまだできません。だからこそ柳澤大臣にお伺いしたいんです。こういう報道があり、多くの国民が不安に思っているんですけれども、柳澤大臣、この件について、こういうことはあり得るんですか。三鷹の倉庫にあった、社保庁が隠す年金台帳一億件、こういうことはあり得るんですか、柳澤大臣。

○柳澤国務大臣 私、大変不明でございますけれども、今委員が御指摘になられた雑誌の記事を見ておりません。見ておりませんので何ともお答えのしようがないんですけれども、ただ、読んだのか聞いたのか、部下の者によりますと、要するに年金のオンライン化の基本になった台帳の問題ではないか、こういうことを申しておりますが、それでその記事の理解ができるのでしょうか、ちょっと私は何とも、その記事を読んでおりませんので、何か確かなことを申し上げられなくて大変申しわけないと思います。

○山井委員 これはけさのものですから、読んでおられないのは仕方ないと思います。
 ここに書いてあるのは、特に特例納付、一括納付ですね。過去三回、一九七〇年の七月、七四年一月、七八年七月からそれぞれ二年間、今まで未納だった人、長期間一気に払うことができますよと。この特例納付の記録が大量に消えているということが書いてあります。
 柳澤大臣も御記憶されていると思いますが、確かにそうなんですね。私がこの委員会で取り上げた中村さん御夫妻も、特例納付、夫婦で十一年分が消えて、合計約五百万円分の年金が不払いになりかかっている。そして、隅田さんも、十年九カ月特例納付で一括して支払ったのが消えてしまっている。本当に、もしこういう特例納付の記録がコンピューターに載らずにまだ倉庫に台帳が眠っているなんということになったら、大変なことになりますよ。
 そこで柳澤大臣にお伺いしたいと思いますが、こういうことはあり得るんですか。コンピューターに載っていない台帳が、三鷹のみならず、倉庫にまだ眠っていることはあり得る話なんですか。ないならないと否定してください。

○柳澤国務大臣 ちょっと私はその記事を読んでおりませんので、その記事について委員が御疑問に思っていることに対して的確なお答えができるかどうかちょっとおぼつかないんでございますけれども、要は、オンラインの前の台帳、一番大事な台帳ですが、それは、オンラインに収録された段階で原則は保存の義務を解除されるということになったわけですが、しかし物理的には残っているものもある。それを今社会保険庁では、その物理的に残っているものについては一体どの程度のものか、どういうものかということの調査をしているということでございます。
 なお、特例納付については、これは委員も御承知のとおり、今度、三千件のサンプル調査をいたしたわけでございますが、国民年金の台帳というものについては、オンライン化された後はもう、また保存がなされないんですが、特例納付の記録だけは、オンライン化をするに当たっても、非常に難しい納付記録を伴っているものであるという考え方から、これは現物を保存しておく必要がより高い、こういう認識を持って、それはマイクロフィルムで撮って保存をしてある。こういうことでございますので、何か参考になればありがたいと思います。

○山井委員 柳澤大臣、これは非常に大事なことなので、一般論として、一般論としてお聞きします、この記事から離れて。
 このように、コンピューターのデータ、記録に入っていない台帳が倉庫にまだ眠っている、そういうことはあり得るんですか。ないならないとちゃんと言ってください、柳澤大臣、こういう話はあり得るんですか、一般論として。

○柳澤国務大臣 基本的に、かつての台帳というものはいわば一番法律上も保存が義務づけられたものでございます。それをオンラインの上で管理しようということでオンライン化をいたしたわけでございますので、そういうものはすべてオンライン化されたということでございます。
 もとより、今回、我々は、残っている台帳とオンラインを照合するという作業を、先ほど柚木委員の分類によれば作業Bとして行うわけでございますので、そういうことで、さらに確かめの作業が行われるわけですが、何か一まとまり、集団的にそういう、今委員が言ったようなごそっと抜けるというようなことがあったかということは、我々としては考えておりません。

○山井委員 これは大事な点だから、もう一度念を押します。
 そうしたら、今、すべて台帳はオンライン化されている、コンピューターに入っているということをおっしゃいましたが、それは責任を持って言えますか。倉庫に眠っている台帳でコンピューターに入っていないものはありませんか。柳澤大臣、お答えください。

○柳澤国務大臣 基本的にないということでございます。
 ただ、この前、千四百三十万件の、昭和二十九年三月三十一日でしたか、それまでのものにつきましては、これについては、手元にあるというようなことが起因になりまして、手元にあるんだからわざわざオンライン化しなくてもというような、まあ古い話ですから定かではないんですが、そういうものであるということが多分背景としてあったんだろうと見られるわけですけれども、そういうものはオンライン化のときにオンライン化しない、そういう決定が行われたということで、オンライン化はされていないわけでございます。

○山井委員 これは、長妻議員が指摘した一千四百三十万件以外にもまだ、台帳だけが残ってコンピューターに入っていないものがあるんじゃないんですか。
 それでは、柳澤大臣にお伺いします。
 まだ読まれていないということですので、三鷹の倉庫にあった、社保庁が隠す年金台帳一億件、このことについてぜひ調査をして、その結果を次の委員会で報告してほしいと思いますが、大臣、いかがですか。

○柳澤国務大臣 今度、各事務所あるいは市町村の方々の分も含めて、それらの原資料の存在ということについて調査をしておるところでございますので、そういうものがもし仮にあるとすれば、そういう調査の一環として調査が行われることになる、こういうことでございます。

○山井委員 大臣、逃げないでください。これは国民が非常に心配に思うことですよ。三鷹と特定されているんですから、そこで調べたらすぐ済むはずじゃないですか。ないんだったらないと言えばいいわけですから。このことは、やはりこれだけ大きな報道にもなっているわけですから、逃げないで、柳澤大臣、ぜひ調査して、ないならないというふうに報告をしてほしいと思います。大臣、いかがですか。余りこういうことで逃げると、また年金不信が拡大しますよ。簡単なことじゃないですか、これは、三鷹と特定されているんですから。

○柳澤国務大臣 私ども、今回は、もう本当に、すべてうみを出し切って国民の信頼を回復できる、そういう記録の体制というものを整えたい一心でございます。
 したがいまして、委員がそういうふうな示唆を与えてくれましたら、私としては、そういうものがあるかないか、しかし、その中身の問題なんですね。今委員が言われるように、一億件もの件数がもう一つオンライン化されていないということを今委員は御主張になっていらっしゃるわけですけれども、そういうものであるかどうかということは、これはよく調べなければならないことである、このように考えます。

○山井委員 ということは、調べて、次の委員会で報告していただけますね。

○柳澤国務大臣 とにかく、国会の議員でもいらっしゃる、またこの問題に非常に御熱心に取り組んでいただいておる山井委員の示唆でもございますので、私ども、物理的にはそれを調査いたしたい、このように思いますが、中身の確かめということになりますとやや時間がかかるのではないか、こういうことはございます。一億件ものものが本当にオンラインから抜けているかどうかということを調べないといけないわけですから、これはコンピューターと紙の話でございますので、それはまたそれでしっかりした調査をしなければならない、このように考えております。

○山井委員 私は別に、一億件が五千万件だったらどうだとか、百万件がどうだからとか、そういう数の問題を言っているんじゃないんですよ。やはりこのことはぜひ調査をして報告していただきたいと思います。
 これはもちろんわかりませんよ、私も三鷹で調べたわけじゃないですから。ただ、この報道を見て、関心を持ったり不安に思われる方が多いと思いますので、ないならないで、安心させるためにも、ぜひとも調査を早急にしていただければと思います。
 それで、先ほど、特例納付で年金が消えて、御夫婦で五百万円、本当に年金が不払いになっている中村さん御夫妻のケースとかは一番深刻で、その中村さん御夫妻はどういうことをおっしゃっておられるかというと、第三者機関の問題点。本日、参議院の参考人として、ちょうど今の時間、御夫妻が発言をされていると思います。そこで、こういう疑問を持っておられるんですね。第三者機関で被害者がその当時の記憶、払った状況をどれだけ訴えることができ、どれだけのことが伝わるのか、伝わらなかったらどうするのか、第三者機関はつじつまが合っているかどうかをだれに聞くのかという、本当に被害者ならではの、一番切実な、具体的な疑問を持っておられるんです。
 そこで、まず柳澤大臣に第三者機関についてお伺いします。これは第三者機関には本人が出て意見を言うことができるということですか。

○柳澤国務大臣 私は、第三者機関というものがまだ組成もされていない、それから、議事の運営、委員会の運営というのは、やはり基本的には委員の皆さんの御協議のもとで決まることを尊重いたしたい、このように考えておりますので、ここで、今委員の御質問に対して確定的なことを申し上げるということは差し控えたいと思います。
 しかし、私は、やはりどうしてもこのところはちゃんと出席をしてじかに話をしたいということがある場合には、それは一定のいろいろなルールは設けられるでしょうけれども、そういうことが全く認められないということがないように、先生方というか任命される委員の方々にもお願いしたい、このように考えます。

○山井委員 大臣、何か今すごい答弁をされましたね。本人が絶対に来てはならないということはないということは、逆に、本人はそう簡単に行けないということなんですか。
 ストレートにお聞きします。本人が、その第三者委員会に行って、自分の状況のこと、払ったという記憶をきっちり述べたいというふうに希望した場合、第三者委員会で述べることはできますか。

○柳澤国務大臣 いや、すごいことをおっしゃったという意味はどういうことを山井委員が意味されているかわかりませんが、山井委員は、本人が出ていくことが認められる第三者委員会になるんだろうかという問いかけを私になさったわけです。
 私は、第三者委員会の委員の運営、ルールというのは第三者委員会の……(山井委員「質問に答えてくださいよ。希望したら行けるのか」と呼ぶ)答えています。第三者委員の方々の相互の御協議の中で決まってくるであろうというふうに思います。その中で、本人の出席、陳述というものをどういうことで認めるかということは、私は今ここで予断を持ってその委員の先生方の意思を縛るような格好では明確に申し上げられないということを言っておるんですが、ただ、私の気持ちとしては、そういうことをぜひ認めていただくように、それはルールはありましょうけれども、認めていただくようにお願いしたいという気持ちを持っていますということを私は御答弁申し上げたのでございます。

○山井委員 大事な点ですから、もう一回確認します。
 希望すれば、その被害者本人が第三者委員会で発言できるようにするということでよろしいですか。その方向に持っていくということですね。柳澤大臣、大事なところですから、これは。希望しても本人が行けないんだったら、第三者委員会とは何なんだという根本的な問題になりかねませんので。柳澤大臣、いかがですか。

○柳澤国務大臣 私が確定的なことは申し上げることができませんけれども、私としてはそのようなことが認められるという方向になることでお願いをしたいということを私の意思として申し上げたのでございます。

○山井委員 この審議で一番気になるのは、もうこの第三者委員会の中身がすべて最大のポイントなんですよ。天国と地獄の分かれ目なんですよ。その一番大事なところが、国会審議では確定的なことは言えないと。では、これはどこでだれが決めるんですか。
 さっきも言ったじゃないですか、一通一通、二百万円とか四百万円とか五百万円とか、その人の老後が決まっていくんですよ。医療が十分受けられるかどうか、それもかかっているんですよ。そのことを国会で議論して決めるんじゃなくて、第三者委員会の委員がそれを決めるんですか、その基準とかを。どういう権限を持って決めるんですか。どういう根拠があって、その御高齢の方の人生が、年金が二百万円、四百万円、受け取れないかどうかという天国と地獄の分かれ目を、どういう権限でもって、どういう責任でもって、国会では議論できなくて、第三者委員会のメンバーがこれを決めるんですか。これは法的根拠もないというふうに参議院の審議で答弁されていますね。柳澤大臣、そんな大切なことを、法文に一行も書かれていない、法的根拠もない、そんな第三者委員会が決めることができるんですか。
 おまけにこれは、道義的な問題だけじゃなくて、お金の問題も大きいですよ。一人一人の二百万、五百万、そういう次元のお金ですからね。それだけたくさん政府の財政支出をする、あるいは年金を給付するということを、法的根拠がないメンバーあるいは機関が、大臣、できるんですか。

○柳澤国務大臣 法律の枠組みは、社会保険庁長官が受給権者の申請に基づいて裁定をする、こういう枠組みになっていることは、山井委員御案内のとおりでございます。
 ところが、今問題なのは、この申請をされる方々の考えの内容と裁定をする側の社会保険庁の長官の記録による認識とが折り合いがつかない、こういう問題が起こるということでございます。
 もちろんその前に、私どもといたしましては、一般のこの調査、まずオンライン上での記録の調査をする。それから次いで、私どもは、本当にオンラインができ上がるもとの資料になった台帳であるとか、その台帳がマイクロに撮られているものとか、あるいは場合によっては、国民年金の場合には市町村の名簿というようなものに当たって、そして調査をする。
 そして、今のことで言うと、さらにそれを庁に上げてもらいまして、庁の専門的なチームによってそれをさらに調べるということをやっているわけですけれども、今度の第三者委員会というのは、いわばこの庁のチームの上部に立って、実際に、社会保険庁長官による、実務的には社会保険事務所の所長さんが下す裁定という、下すのはもちろん社会保険庁長官ですが、そういうことについていろいろと高次元の御判断をしていただくということをお願いしているものでございまして、極めて現実問題を解決するためにそういうことをお願いするということでございます。
 それも、しかも、私どもも委員の方々にお願いしようと思っているんですが、本当に国民の立場に立ってそういう御裁断を、それで、そのこと自体の証拠だとかというんじゃなくて、周辺の関連する事項も全部いろいろとお聞きいただいて、それで判断をしていただくということをお願いしようとしていることでございまして、そういうことであるということを申し上げておきたいと思います。(発言する者あり)

○山井委員 委員からも声が出ていますが、全然これは答弁になっていませんよ。さっぱりわかりませんよ、なぜそういう権限を持つのかというのが。
 そして、六月末までにこれを立ち上げると安倍総理は明言されているんですが、お聞きします、これは一カ所ですか、それとも全国に何カ所かつくるんですか、柳澤大臣、第三者委員会。

○柳澤国務大臣 これは今も申し上げましたように、庁にあるものに、今、庁がいろいろと最終的な相談というか訂正の問題について議論をしているものの上に立ってやっていただくということになるわけですけれども、現実に、それが事実問題としてどういう事務所の形態をとるかというのは、その事務の需要に応じて、また委員会の対応として、そこからいろいろな対応が出てくるであろう、このように考えます。

○山井委員 柳澤大臣、きょうは六月八日ですよ。六月末までに立ち上げると言って、何カ所かも答えられないんですか。
 大臣、そうしたら、もっと簡単に聞きますよ。一カ所ですか、一カ所じゃないんですか、これぐらい答えられるでしょう。大臣、いかがですか。

○柳澤国務大臣 これは委員会が発足をしたときに、事実問題として、どこにどういう窓口というか、そのものを置くかというのは、その事務の量によるわけでありましょうから、それとまた委員会の考え方にもよるものでしょうから、そういうことも含めて委員会におゆだねしていきたい、このように考えております。

○山井委員 何か今、柳澤大臣、ばかやろうと言われましたね。(柳澤国務大臣「そんなこと言っていませんよ」と呼ぶ)
 これは六月中に立ち上げるんですよ。そうしたら、中身の判断基準とか何カ所かというのは、具体的に来週決めるんですか、再来週決めるんですか。もう来週か再来週しかないですよ。うなずいておられますが、どっちですか、来週決めるのか、再来週決めるのか。そうしたら、ちょっとそれぐらい言ってくださいよ。今でも遅過ぎるけれども、今決まっていないと言うんだったら、来週決めるんですか、再来週決めるんですか。その箇所数と中身の、今の本人が希望したら行けるかどうかとかは、いつ決めるんですか。

○柳澤国務大臣 第三者委員会は、私どもとしては今月中の設置を考えているわけでございますけれども、具体的にどういうような事務所のしつらえ方になるかということは、やはり今後にまたなければならない面もあると思うんです。そこに一体どれだけの量の仕事というか、そういうものがかかってくるかということによる面があるだろう、このように私は想定をするわけでありまして、そういうことでございます。
 今、基本的にはもちろん、先ほど来申し上げておるように、本庁の今の機構にかわるというか、それの上部に立つ機関、こう考えておるということを御理解いただければと思います。

○山井委員 大臣、わかりましたよ。結局、何にも決まっていないんじゃないですか。何にも決まっていないけれども、安倍総理が六月中に立ち上げると言ってしまった。そして、要は、こういうケースはどうですか、判断基準はどうですかと言われたら答えられないから、答弁から逃れるために、全部第三者委員会が決める、第三者委員会が決めると、逃げるための方便じゃないですか。幽霊じゃないですか。実態は何にもないじゃないですか。これは六月中に立ち上げるということで、委員の人に二、三日前に頼むなんてことじゃ通りませんよ。一週間とか二週間前に頼むんでしょう。そうしたら、内容がもう決まっていなくてどうするんですか、これは。びっくりしました。
 そうしたら、大臣、改めてお聞きします。
 私は、一番来られる可能性が多いのが、過去一年の間、領収書がないばかりに、払ったと強く主張してもはねられた方が二万六百三十五人おられるんですね、一たん、はねられた方が。うなずいておられますが、この方々は恐らく、この第三者委員会にもう一回審査してくれと駆け込まれる可能性が非常に高いと思うんです。お一人お一人、二百万とか四百万とか五百万かかっているわけですから、泣き寝入りできないですよ。そうしたら、その二万六百三十五人は、この第三者委員会に諮ってもらうという要望を受けつけてもらえるんですか、柳澤大臣。

○柳澤国務大臣 この方々は、二次の調査の済んだ方でございます。つまり、先ほども申したように、市町村の名簿、それからオンラインの記録のもとになった台帳、こういうようなものに当たって調査結果が出たという方々でございます。
 したがいまして、あと残るのは本庁の、今でいえば本庁の審査チームにゆだねるということになりますが、第三者委員会が発足した後においては、それは第三者委員会の場にゆだねられるということですから、そういうことになれば、それが想定される姿だと私は思います。

○山井委員 そうですね、大臣。ということは、六月末に設置されたら、瞬時に二万六百三十五人ぐらいはほぼ確実に行く可能性があるんですよ。それは一カ所で大丈夫ですか、何人もいる委員会なんですか。
 それで、先ほどの答弁だと、希望した人は本人の意見を聞いてもらえる、二万六百三十五人が行く、おまけに、それぞれ、今まで審査に審査を重ねてはねられた、はっきり言って、割とグレーのややこしいケースばかりですよ。それが、まだ全然詰まっていないということで、本当にこれはどうするんですか。
 時間も限られてきましたので、もう一つお聞きします。
 これに関連して、時効撤廃法案。対象推定二十五万人、九百五十億円のお金が、今まで社会保険庁のミス、本人の落ち度が全くなしで年金不払いであったという国家の詐欺的行為が明らかになったわけなんですが、私は、実はこれは、領収書を持っていったり、証拠があって記録の訂正が認められた人だけが二十五万人なわけですから、それこそ、証拠がないということではねられた方というのはこの数倍というか、もっと数多くおられると思うんです。
 柳澤大臣、ということは、今まで時効ではねられる以前の問題として、記録訂正もできなかった方が改めて第三者委員会に要望するということはできるんですか。

○柳澤国務大臣 これは当然でありまして、調査をまたお願いしてもらって調査して、そして第三者委員会にまた持ってきていただくということは十分あり得ることだと私は思っております。

○山井委員 私も、それは当然だと思います。ということは、これは二十五万人にとどまらず、もっと対象者はふえる可能性があるということと理解してよろしいですか。もう一回、再裁定を第三者委員会で受けた場合、柳澤大臣。

○柳澤国務大臣 もともと二十五万人は推計でありまして、しかも、訂正が過去において行われた人を土台にして推計をしたことは、委員御承知のとおりでございます。
 したがいまして、今後、訂正が行われる方々が加わっていくというか、数として積み重なっていくということは当然想定されておるところでございます。

○櫻田委員長 山井君に申し上げます。申し合わせの時間が経過しておりますので、御協力を願います。

○山井委員 最後に一言だけ申し上げますが、今、柳澤大臣、また非常に重要な発言をされましたよ。ということは、今まで時効ということで年金不払いになっていた人は推定二十五万人だけれども、これは証拠がなかったからはねられていたのであって、もう少し丁寧にやったら、二十五万人がどんどんもっとふえて、あるいは国家による年金の不払いが九百五十億どころじゃなくて、もっともっと大規模であったということが明らかになるかもしれないということを今答弁されたわけであります。そのことを、私たち民主党が追及するまで、このような問題も知らず存ぜずでされてきたということに、私は強い怒りを感じます。
 最後になりますが、きょうも今見ていたら、何か与党の議員席も妙にきょうは静かで、しんとされていましたが、事の重大さがおわかりいただけたんじゃないか。第三者委員会、第三者委員会とおっしゃっていたけれども、実は、さっぱり何も決まっていなくて……

○櫻田委員長 山井君に申し上げます。
 答弁者はこちらにおりますので。
 既に持ち時間が経過しておりますので、質疑を終結してください。

○山井委員 この救済問題はまだまだこれからだということを申し上げまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。

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2007年06月08日 12:00に投稿されたエントリーのページです。

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